[2022年版]カンデル 神経科学を買おうか迷っています,他にもある良書たち
イントロ 前回からの続き
これまで
とお話してきました。
今回は、
もっと馴染みやすい書籍があるんです
と、「カンデル 神経科学」を買う前に、
"こちらも検討してもみてはいかがでしょう本"
を挙げていきます。
もちろん、神経科学や脳科学の書籍はたくさんあります。
わたし自身が
「カンデル 神経科学」を買う前に検討した本、買ってしまった後に知った本
これらから「もともとこれでよかったのでは?」に絞っています。
ちなみに、神経科学の網羅系です。
分野別はべつの機会に挙げる予定です。
難易度が高い(専門性が高い)順です。
カラー版 ベアー コノーズ パラディーソ 神経科学 脳の探求 改訂版,西村書店,2021
おすすめ度 ★★★
難易度 ★★★
2021年に和訳・改訂版が、原書の最新版である"Neuroscience: Exploring the Brain,(4e,2020)"をベースとして翻訳され、出版されました。原書では、こちらも人気があるようです。(参考:amazon.comの検索結果) 800ページ未満、「カンデル 神経科学」ほど長大ではありません。この"ベアー コノーズ パラディーソ"は専門家になるための教科書という位置づけのようです。教育的配慮がなされた記述です。英和対照用語集(Grossay)がついているのもうれしい。一方で、「カンデル 神経科学」は専門家のための専門書といえます。そのためか、「カンデル 神経科学」には原書(2013)・翻訳書(2014)ともにGrossaryはついていません。「カンデル 神経科学」新版原書"Principles of Neural Science" 6e(2021)"では、立ち読みした際に確認したところ、Grossaryはありませんでした。「カンデル 神経科学 第2版(2022)」にも英和対照用語集(Grossay)つくことはないでしょう。このベアー コノーズ パラディーソ改訂版を買うのもいいですが、型落ちした前版(2007)を買うのもアリです。
※ 「カンデル 神経科学」でもGlossaryは存在してはいます。章末にそのテーマごと配置されています。
改訂版 もっとよくわかる! 脳神経科学〜やっぱり脳はとってもスゴイのだ! (実験医学別冊 もっとよくわかる! シリーズ),工藤佳久,羊土社,2021
おすすめ度 ★★★
難易度 ★★
工藤佳久さん、お一人で執筆されています。そのため、統一感があります。全体の難易度が均等で、日本人による著書ということで文章の読みやすさも優れています。専門と入門を行き来する、ほどよい難易度です。しかも図も著者さんが描かれており、内容と図の融和性が非常に高いです。索引を和項目に英語が添えられており、神経科学 用語の和英単語集として使えます(これ重要!)。こちらも2021年に改訂版がでました。こちらは改訂版を買うのをおすすめします。費用対効果からすれば、改訂版で十分に精算できます。あとがきに「カンデル 神経科学」への入門も想定されていると書かれています。この本を読み進められないのであれば「カンデル 神経科学」はやめたほういいでしょう、という試金石的なポジションの書籍です。
森岡周の「脳」レクチャー・シリーズ 脳を学ぶ 改訂第2版,協同医書出版社,2014
おすすめ度 ★★★
難易度 ★★
隠れた名著です。この森岡周さんは(おそらく)高次脳機能障害のリハビリテーションを専門されており、脳科学や神経科学の専門に進まない医療学生向けに書籍を多く書かれています。医療従事者として理解してほしい内容にしぼって書かれており、わかりやすく、未消化になりにくいです。この本にはなんと脳のペーパークラフト(第1版の紹介のPDFが開きます)がついています。珍しい企画ですよね。手に模型を乗せて、立体的に脳の構造を把握するのに役立ちます。ただ、一般人が知る有名出版社からの書籍ではなく、コスパが若干よくないのが残念。通常は模型は別途買うことになるので、この点を考慮すればこの本はお得です。こちらで目次をみたり、立ち読みできます。森岡先生の著作で忘れてはならないのは「高次脳機能の神経科学とニューロリハビリテーション」(協同医書出版社,2020)です。専門的すぎない高次脳機能の本では決定版といえます。書店では脳科学・神経科学の棚ではなく、リハビリテーションの棚に並んでいる可能性があります。だからあまり知られていないのかも。
以下3冊は、有名出版社による著名な新書シリーズからです。著者は日本での脳科学・神経科学の第一線で活躍されている方々ばかりです。編集が行き届いており、読みやすく、内容も十分に備わっています。ほとんど人がこれら書籍で十分ではないでしょうか。
脳を司る「脳」 最新研究で見えてきた,毛内拡,ブルーバックス,2020
おすすめ度 ★★★
難易度 ★
おすすめ度 ★★★
難易度 ★
アマゾンで比較的上位にランクインしている次の
おすすめ度 <未評価>
難易度 <未評価>
よくある"図鑑的な"書籍。図・イラストが多用されており、見た目はいいです。内容・文章面では、上記のブルーバックスや岩波ジュニア新書に劣ります。そもそも、著者のように記名されている先生方は監修であって、著者ではありません。図書館に所蔵があるはずです。一冊目として一読するのに向いているかもしれません。わたしは持っていません。
ところで、「カンデル 神経科学」の指標を書けば、
おすすめ度 ★
難易度 ★★★★★
本自体は高額ですが、ページあたりのコスパはいいです。ページ数が多いため、情報量単価がよくなるためです。ただ、難易度が一般読者にとって壁となりますです。そう、読まなければ、支払った分がサンクコストとなってしまいます。
サブ的に持っていたい本
小脳や前頭葉など、解剖学的な脳のパーツについての解説は、
「カンデル 神経科学(2014)」では、
"中枢神経系の構造"として15章に掲載されています。
みずらい、読みづらい、検索性が低い !!
上記で挙げた 「ベアー コノーズ パラディーソ改訂版」 や 「もっとよくわかる」では、もっと使い勝手がいいです。
本の厚さ(ページ数)にもよる取り扱いの勝手かもしれませんけれど。
いずれにしても解剖学的な脳のパーツについて、一冊持っておくと探しやすいんです。
この本は調べやすいです。定価はそれなりな価格ですけど、ユーズドでかなり安価で出回っています。コスパ抜群です。若干重めの本ですが、片手で持てるサイズと重量です。英字表記も日本語表記に隣り合って記載されているのも特徴です。
ちなみに、この辺りの分野名を神経解剖学と言うらしいです。
注意したいこととして、解剖学はグロい内容であることがあります。
写真記載であると、一般人にとってはかなりキツイです。
この手の本を買われるときは、立ち読みをおすすめします。
「解剖学アトラス」はグロくありません。
精細なイラストで掲載されています。
ご安心ください。
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