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図書館もいいけど、本屋もいいぞ。

小学生で図書館に通い、中学生でラノベにはまり、大学生で海外の図書館や書店を知って、最近はビジネス書の要約もしている私。
思えば本好き歴20年、このたび、本屋さんになりました。

11月から塩尻市にある地域の本屋さん、中島書店でお世話になっています。

中島書店 高原通り店

本屋に向かう理由

かねてから本屋に憧れはあった私ですが、もしやるなら古本屋よりも、新刊書店がいいなぁ、と思っていました。

というのも新刊は、今、同時代に生きている人が出版する本です。
新刊書店では、本の並びを眺めるだけで、今世の中で起こっていることを簡単に把握でき、「今生きてるあなたの悩みの原因は多分〇〇で、それにはこういう知恵が役に立ちますよー」という他の人(著者)の視点を簡単に借りることができるんです。

私にとって書店に向かうのは、課題解決をしたいという思いもありますが、同時に、漠然と社会と繋がってると思えるのも理由の一つだったりします。

ちょっと大げさにいえば、棚に向かって自分の状況を客観視しながら「あ、今、私ちゃんと生きて、悩んでるんだな。真面目な私、えらいぞ」と思える。
それだけで、ちょっと元気が出たりするのです。

図書館との使い分け

私的には図書館と本屋との大きな違いは、情報のタイムリー感。
新刊、最新号、現代の世の中全体のこと、住んでる地域のトレンドなどなど、
本屋は今、この時代に欲しい情報が手に入る可能性が高い。

加えて、いわゆる地域の本屋さんは、場所感がプラスされます。
店のスペースが狭い分、その本屋さんの推し本や、地域の人の興味に沿った棚が目立つので、その本屋さんの特色が出やすいのです。

中島書店にあるおすすめ棚。テーマは自由に、個々の書店員の推し本が並びます。

ちなみに数年前、中島書店に最初に入った時は、長野県特集の本や農業書、時代小説などが目立つ印象でした。しかしいざ店員として立ってみると、コミック、新書、絵本など、まんべんなくさまざまなジャンルが手に取られている印象。
つまり、小さな書店でありながら、とっても客層が広いのです。

改めて、塩尻市の本好き人口の底上げにとても貢献している本屋さんだなぁと思います。

一方で、本屋さんには弱点もあります。
本屋に並ぶ本の多くは、出版されてから2〜3年、または定番と言われるようなロングセラーが多いので、どうしても古い本や昔の情報を探すのには不向きです。

普遍的で、いろんな人が必要とする情報をいつでも得られるという点では、やはり図書館に利があります。

私は、悩みがあったりモヤモヤした時、今の生活や世の中の悩みだったら、とりあえず書店に行き、棚を眺めます。
大体の場合、同時代に同じ悩みを抱えた人が本から切り口を与えてくれますが、それでも気持ちが晴れなかったら、過去に同じように考えた人がいたことを信じて、図書館の棚に立つ。そんな使い分けをしています。

文学・小説好きなら、古本屋も活用して使い分けているでしょうし、最近は本のある雑貨屋、ブックカフェなど、特徴的な施設も増えています。

本をめぐる環境はその土地さまざま。しかし、棚の前に立つと、その時興味のある言葉(本のタイトルや帯)が目に飛び込んでくるのは、新刊も古本も同じです。

本をめぐる業態の話は、私が本屋になるにあたって読んだ『もういちど、本屋へようこそ』(田口幹人、PHP研究所)にも、広義の「本屋」についての記事がありますので、気になる方は読んでみてください。

本好きよりも「棚好き」だった

そして働き始めて発覚したことですが、どうやら私は本好きよりも「棚好き」であるようです。

一番楽しいのが、新しい本の入った箱を開けて、それをジャンルごとに各棚に振り分け、並べることです。

本のジャンルは、厳密にいえば人によって捉え方が異なります。

例えば、今日新しく健康法の本が入ってきた。一般的には健康・医学ジャンルの棚に並びそうな本ですが、実は内容がテレワーク時の座りっぱなしに対処する本だったら、ビジネス書棚が適しているかもしれません。
または有名人が著者の本だったら、新刊コーナーに積んでおいた方が売れるかもしれない。
置き場所を悩んだり、相談したりしてから、各棚に本を並べていきます。

1冊の本に対するこだわりよりも、どちらかといえばその本たちの「並び」がどれだけわかりやすいか、どれだけ今の人たちの悩みに刺さるかを考えるのが、めちゃくちゃ楽しいんです。

本屋になってすぐ読んだ『本を売る技術』(矢野潤子、本の雑誌社)にも、棚作りについてのポイントがいくつか書いてありました。

中でも棚づくりは「(置いてある本の並びによって)時間をかけてその場所に意味を持たせていく」という言葉に影響を受け、早速担当をいただいたパソコン・コンピュータの棚を並べ替え中です。

Windows、Excelといった定番の本に、DXの本、GIGAスクール活用本を加えたり。Webサイト運営の並びには、もともとあったコーディング系の本のほか、意外と見過ごされがちな書く技術の本として『超ライティング大全』(東香奈子、プレジデント社)を置いてみました。

この点は、地域の本屋さんならではの、自由度高めな並びがなせる技です。

初ポップ記念。これから充実させます!

そんなこんなで、ひとまずは楽しく本屋さんの一歩を踏み出しました。

お給料は他の職業に比べて高いとは言えない業種ですが、私のこれまでのお仕事(ライターやABDなど)が本に繋がっていたことを考えると、この一歩はとても大きいように思います。

本と共に歩むキャリアは今後も続きますが、どうなることやら。

【追伸】セルフで新米本屋のための研修プログラム、企画してみました↓↓

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