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二人の年上の女性

日曜日の朝、夜勤明けの帰宅前に施設の調理の女性から「自宅で朝採ってきたのよ」と、キュウリをたくさんいただいた。
「今日はこのあとソフトボールの試合があるのよ」と元気に話される。
失礼だが、まったく70歳に見えない。
長くここの利用者の方々を見て来たそうで時々いろんなことを教えてくれる。
年齢もご自身から教えてくれた。(私から女性の年齢を聞くことはめったに無い。それくらいのデリカシーは持ち合わせているつもりである。)
私の兄もそうであるが障害者、高齢者の施設は多くの人たちによって成り立ち、利用者の方たちの生活を支えている。

私は帰宅し、キュウリを冷蔵庫に放り込み、着替えて、道着を持って合気道の稽古に向かった。
稽古が終わると、また稽古。
そこで、先輩の女性指導者に久しぶりに出会った。
私より年上の女性師範である。
お元気である。
わりと最近まで看護師を続けていらっしゃったと思う。
たぶん70歳近いと思う。(デリカシーは関係なく、怖いから聞かない。)
時々、ハガキを頂く、貼り絵を載せたきれいなハガキを頂く。
「本、お好きでしょ。」とわざわざ用意してきてくれた栞を頂く。
その先輩とお会いするとまだまだ頑張らなければならないなぁ、といつも鼓舞されるのである。

稽古が終わって焼酎を飲み帰った。
久しぶりに日付の変わらぬうちにベッドに入り、ミケ猫ブウニャンとともに寝た。

朝早く起き出し、ためていた頼まれ事の仕事にかかった。
腹が減り、BSで「ちむどんどん」を流しながら朝メシを作る。
冷えたキュウリをかじりながら、なんとかこのキュウリを消費しようとペペロンチーノにキュウリと鯖の水煮を炒め合わせた。
キュウリは種のある水気の多い部分は思い切って切り取ってそれは別に食べることにして、歯ごたえある皮に近い部分のみを炒めた方が美味かった。
ニンニク風味のサバ缶の塩味が熱いキュウリに合っていた。

二人の女性の元気を感じながらペペロンチーノを口にした。
どんなに長生きしてもベッドの上でじゃ意味がない。
好きなことが自由にできる、好きなものを自由に食べれる。
そんな自由を友にして、多少は仕事か誰かの役に立つことをやっていた方が元気に生きて行けるようだ。
たぶん、女性に限ることじゃないだろう。
自身の残りの人生を考えさせてくれるお二人であった。

喉が渇き、冷蔵庫にたまたま鎮座していたノンアルビール。
アルコールではないのに朝からなんとなく罪悪感を感じる自分に「まだ、まともじゃん」と思いながら、ほどよい唐辛子の辛さが絡まったキュウリとサバがノンアルの喉越しをさらに心地よいものにしてくれた。

頂いた栞である。まだ、かなりの自身の時間を稽古に費やしているのによくこんなことをやってる時間があるなと感心しつつ、人生には関係ないことに費やす時間も必要なんだろうな、と思った。

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