見出し画像

ダンジョンに装甲変身ヒーローがいていいのだろうか#3(終)

前回へ

『アーマーの強化にあたり、まず関連スキル【装甲服作成】を取得してください』
「追加で? 痛いな」
『コストは最低です。今のところ』
ほんとだ。1ポイントだ。実質タダ。
取得済みスキルに関連するスキルはコストが跳ね上がる【調整】がされている場合があるので、このコストは破格だ。今後何らかの情勢変化……このスキルセットが大人気になったりしたら……スキル取得・育成に必要なポイントが【調整】され、所要ポイントが跳ね上がってしまうのだろう。

『次に装甲を解除して、ウインドウを開いてください』
ほうほう。
『その中の強化を選び、インベントリが開きます』
丁寧だなあ。
『あとは、既存の装備を合成することで、装備に応じた強化が付与されます』
なるほどなるほど。
『装備は不可逆的に消滅します』
おおっと。

「この俺のメイン武器、アイアンメイス+4を入れた場合、どのくらいのステータスになる?」
『このくらいですね』と示されたのは、凡そ合成元装備の性能に8がけした程度の性能。8がけとは言うが、2割落ちてるわけで、絶対的に見ると数段性能が落ちたと言っていい。
これがサブにしている装備ならさらに下落。だいぶ見劣りする。
「追加で何個も合成すると累積するか?」
『累積はしません』
つまり、この【装甲変身】に賭けるか、捨てるかの二択になる。並行して育てることは、先程の【調整】の関係で好ましくない。

それなら、俺は……

「チェンジ、ストライクフォーム!」
『了解。装甲形状を変更』
グリーブパーツが肥大し補助ブースターを形成。同時にガントレットが腕全体へと広がり装甲化する。
突撃する俺にオークが手斧を投擲するが、半身を捻り弾きながら目の前まで接近。醜悪な顔面に鉄塊の如き拳がめり込み、そのまま粉砕。派手に吹き飛んだかと思うと壁に叩きつけられ絶命。粒子化した。
『mage pop』
「バスターモードだ!」
『フォームじゃないんですか』
「気分だ」
下半身装甲がさらに巨大化し、腕部装甲は右腕だけに集中し砲口を形成。エネルギー弾が収束し放たれると、オークメイジの火炎弾と交差、お互い着弾。装甲で受けて俺はダメージ有ながらも無事だが、相手は吹き飛び暫く戦線を離脱したようだ。

結局、俺はこのスキルにゲーム内全資産をかけた。単純に惚れ込んだ……戦闘方法に……事が大きいが、アンテシダント(先行者)報酬に釣られたのもある。
『アンテシダント報酬の方が決め手ではありませんでしたか』
そんなことないよ
ゲーム内で初めてまたは極初期にスキルを取得してキャラビルドしたことに対する報酬、アンテシダント報酬で初期投資が大体賄えそうだからエイヤっとやったとかそういう事実は一切ない。
『まあ私は心の中までは推し量れませんから構いませんが。高度な予測はしますけど』
あと、このスーツを着ないとリリイフラワーと喋れないことも決め手なんかではない。

そんな感じで、ブラックゲートの新しいキャラタイプ、変身ヒーローが誕生したのである。

【おわり】

41>>変身ヒーローの人技名とかモードチェンジ叫ぶの良いけどたまに虚空と喋ってね
42>>なんかあれ【たねお】さんだけ支援AI付いてるらしいぞ
43>>え、ずるい
44>>そんな事あるのかよ
45>>つーかあの人変身ヒーロースキルに全振りしてるにしても強すぎんだろもう全部あいつ一人でいいんじゃないかな
46>>声聞いたけどAIの声すげえ可愛かったぞ
47>>は?
48>>なにそれ
49>>裏山
50>>ぶっ頃
51>>この書込みは削除されました
52>>この書込みは削除されました
53>>この書込みは削除されました このフォーラムは一時的に書き込みが制限されています...

資料費(書籍購入、映像鑑賞、旅費)に使います。