ヤクザの鉄砲玉は悪魔を撃ち抜けるか?
「こいつ消せ。報酬は五千万。前払いで千万。サポートもつける」
「ヤスさん、すみません。この写真だと本人確認がちょっとなんですけど……」
任されている古本屋のバックヤード。パイプ椅子にどっかと座ったヤスさんが前置きも無しに僕に差し出したのは、滅茶苦茶気合の入った特殊メイク姿の女の写真だった。撮影の角度的に、盗撮されたもの。
バチっとした細身のダークスーツ姿はまだしも、露出した肌は真っ青。目の白目部分が黒い所謂黒白目で、瞳孔は赤。側頭部から角。歳の頃は僕と同じ20代半ば程。