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あの時あの場所にいたかもしれない人と、あの人へのボトルメール

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Just Like Honey⑥

Just Like Honey⑥

翌朝、特に気まずさはなかったけど、気を使ってるのか後悔なのか罪悪感なのか、妙に優しくしてくれた。
シマ君は仕事だったから一緒に家を出た。
すぐ近くの駅に着くまでに、寒いからっていって手を繋いでシマ君のコートのポケットに入れてくれたりして。はーあ、青春。

駅で別れてから、シマ君の気持ちはわかんないけど、好きになるなーって考えながら、通勤ラッシュの電車にむぎゅっと乗りこんだ。
何だか浮ついた気持ちで

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Just Like Honey ⑤

Just Like Honey ⑤

ケイトの話はちょっと休憩。
きっかけになったシマ君の事を。

某音楽雑誌が主催してたクラブイベントでシマ君と初めて会った時、お互いまだ二十歳ぐらいだった。
流行りのUK、USロックが中心に流れているそのイベントにはよく遊びに行ってて、そこでできた友達とは少ないけど今も仲良くしている子もいるほど、私の交友関係に大きな影響を与えたと思う。

シマ君を初めて見かけた日は、見た目、というか服装がすっごいタ

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Just Like Honey ④

Just Like Honey ④

延期になる前の予定通りの日程でのライブだったら、ケイトとは出会ってなかった。

なぜって、後日きいたところによると、知り合うきっかけとなったシマ君が前年冬の間は仕事で違う街へ行ってたから。
だから延期にならずにいたら、シマ君は関東で、私とケイトは関西で、それぞれライブハウスに来てはいたけど、シマ君がいなかったせいで、ケイトと話すきっかけもなくすれ違うだけで終わってたってこと。

このことを思い出す

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Just Like Honey③

Just Like Honey③

ライブハウスの外で1人佇んでいたケイトの第一印象は、影が立ってるの?って思うぐらい、冬なのにうっすら日焼けしてて、タレ目でおとなしそうで人畜無害そう、、、。
ケイトは私のことなんて思ってたんだろう。

さて、じゃあ5人で飲みに行きますかーって、妙に楽しくてテンションが高かった。

駅まで歩いてる時、シマ君に初めて下の名前で呼び捨てにされて、その時なぜだか「あ、私この人と結婚するわ」ってピシャっと浮

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Just Like Honey②

Just Like Honey②

職業柄ずれた時期にとる冬期休暇中だった2月。
晴れてたと思う。
The Jesus And Mary Chainのライブ前に、ハナとドキュメンタリー映画「ヤクザと憲法」を観に行った。

その日のジザメリのライブは本来なら前年の冬に予定されてたけど、メンバーの体調不良だったかの理由で延期になってたんだ。

私とハナはそれを全く知らずに、当日会場まで行ってやっと知ることになり、うそー!!なんて言ってた

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Just Like Honey①

Just Like Honey①

本題に入る前に当時の私のバックグラウンドというか、自己紹介的なのを。

若さもあったのかもしれないけど、あの頃の私は思い出したら恥ずかしくなるほどに、精神的に未熟で他力本願で空っぽだった。

優しくしてくれる友達にも、ひどいことをたくさん言ってしまった。思い出すだけで最低で恥ずかしい。
もちろん自分のことだって全然大切じゃなかった。だって何も持ってない人間なんて、無価値だと思ってたから。

仕事も

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Just Like Honey(端書き)

Just Like Honey(端書き)

子供の頃、ボトルメールやタイムカプセルに憧れてた。
自分が流したメッセージを、見知らぬ土地に住む誰かが見つけてくれて、返事は来なくても読んでくれたらと想像するとワクワクしたもんだ。
タイムカプセルは、小学生の頃に友達と埋めたけど結局掘り出してなくて、ボトルメールは憧れだけで終わっちゃった。

大人になった今、途切れ途切れの片思いの相手に宛てたメッセージを詰めたボトルを、ネットの海に流そうと思う。

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