見出し画像

月経痛の薬はどう選ぶ?どう服用する?

「生理は痛くて当たりまえ」
「女性なら生理痛は耐えるもの」

そんな風に思い込み、辛い月経痛をひたすらこらえる人がいます。

生理の痛みは人それぞれですが、その多くは、適切に薬を飲むことでかなり和らげることができるもの。

「薬はできるだけ飲まない方が良い」
「飲み始めると次第に効かなくなる」

……といった、都市伝説のような話を信じている人もいるようですが、真実はその逆です。

月経痛をがまんしていると痛みがひどくなり、薬を飲んでも痛みをコントロールするのが難しくなってしまいますよ。

画像1

今回は、身近なようでいて案外知らない「月経痛の薬」について、その選び方や服用のしかた、薬を飲んでも痛みが緩和されない場合にどうすればいいのか?についてお伝えします。

月経痛の薬はこの成分をチェック!

下記の成分が入っている薬をおすすめします。

・ロキソプロフェン
・イブプロフェン
・アセトアミノフェン

ロキソプロフェンは、比較的どんな痛みにも効くとされていますが、月経痛の場合は、イブプロフェンの方が痛みを抑えやすいことが知られています。

またロキソプロフェンやイブプロフェンはプロスタグランジン(※)の産生を抑えますが、アセトアミノフェンは脳が痛みを感じにくくする働きを持つので、効き方が異なります

※プロスタグランジン …月経痛の主な原因といわれる物質。月経の際、子宮内膜が剥離(はがれる)ことによって産生され、子宮を収縮させます。


これらの成分が入っている主な市販薬を紹介します。

●ロキソプロフェン …ロキソニンS
ロキソプロフェンを含む市販薬は、薬剤師のいる薬局でのみ購入可能です(薬剤師が不在だと購入不可)。用量用法は、1回1錠、1日3回まで服用できます。なお、15歳未満は使用できません。

●イブプロフェン …イブA錠EX/エルペインコーワ
薬剤師のいない店舗やオンラインでも購入可能ですが、体調変化などを感じたら、医師や薬剤師に相談してください。こちらも15歳未満は使用できません。

●アセトアミノフェン …バファリンルナJ/小中学生用ノーシンピュア/ナロン錠
アセトアミノフェンを含む市販薬の中には小児(※)に使えるものもありますが、小中学生に使用できる商品は限られているので、必ず適応年齢や用量用法を確認してください。また、同じ成分、同ブランドでも、適応が異なることがあるので注意が必要です。

※「小児」の定義は15歳までとするのが一般的です。


痛み止めの薬は飲むタイミングも大切

冒頭にも触れましたが、月経痛をがまんしていると痛みがひどくなり、薬を飲んでも痛みをコントロールするのが難しくなってきます。痛みをがまんする必要はありません。

画像2

平均的な月経の持続期間は5日程度ですが、その期間中ずっと薬を飲み続けるという方はまれ。多くは月経直前、あるいは月経開始とともに痛みなどの症状があらわれ、出血が多い1、2日が辛いという人がほとんどですから、常時服用し続けるということにはならないと思います。(もしそのような方がいたら、逆に医師の診断を受ける必要があります)

また、薬の服用のタイミングは、ぜひ痛みがひどくなる前に

服用してすぐに薬の効き目があらわれるわけではないため、痛みがピークの時に服用しても、効き始めるまで辛い時間が続くことになってしまいます。

「私はいつも2日目が辛い」「開始日のうちに腰のだるさが激しくなる」など、ご自身の月経をモニタリングし、薬が効き始める時間を逆算して、服用のタイミングがはかれるといいですね。

がまんは禁物!こんな場合は病院へ

ただし、月経のたびに寝込んでしまうなど、日常生活に支障が出るほどのつらい痛みがある場合は、医療機関で診察を受けることをおすすめします。

とくに、以下のような症状が思い当たる場合はがまんを続けず、すぐに受診をしてください。

・市販薬を用量・用法通りに使っても痛みがおさまらない
・月経のたびに鎮痛薬を飲まなければならない
・痛みが以前に比べてひどくなっている
・月経以外の期間にも痛みがある


こちらの記事でもお伝えしているように、「生理は痛いのが当たり前」と思っていると、思わぬ病気を見過ごしてしまうこともあり、とても危険です。

薬の飲み方に配慮したり日常生活で工夫をしても痛みがおさまらない場合には、子宮内膜症などの病気である可能性も考えられますので、医療機関を受診しましょう。繰り返しになりますが、これは将来のご自身の健康のためにも、重ねてお願いしたいところです。

月経痛で病院を受診することは、決しておかしなことでも大げさなことでもありません。毎月の痛みが辛いと感じている方は、ぜひ一度、婦人科で相談してみてください。

「婦人科」は女性の健康パートナー

画像3

もしかすると、産婦人科は「妊娠した人だけがかかる病院」と思っている人もいるかもしれませんが、それは誤解です。月経痛で悩んでいる女性も、気軽に相談して良い場所なんです。

婦人科を受診することは、決して恥ずかしいことではありません。気にしている人が多い内診も、必ずしもするとは限りません。

むしろ、婦人科の医師は女性のミカタです。男性医師でも女性医師でも、女性特有の症状や辛さにしっかり耳を傾け、一緒に解決策を考えてくれると思います。できればかかりつけの婦人科医をもち、健康な人生を送るパートナーとしていただきたいと考えています。

婦人科受診についてのお話は、また後日詳しくお伝えしたいと思います。

何度も言います。月経痛を甘く見てはいけませんよ。

■文/西岡 笑子(にしおか・えみこ)
順天堂大学保健看護学部看護学科母性看護学領域教授。順天堂大学医療看護学部助教、神戸大学保健学研究科准教授、防衛医科大学校医学教育部看護学科母性看護学講座教授(2015~2021年度)を経て現職。母性看護学・助産学とウィメンズヘルスが専門分野。2児の母でもある。“mezame”では、女性研修の監修をおこなう

構成/阿部志穂(mezame公式note編集長)

“mezame”は健康とキャリアの両輪で
はたらく女性を支えるプログラムです

さんぎょうい株式会社が提供する“mezame”は、産業保健師と国家資格キャリアコンサルタントがタッグを組み、

*女性の健康知識とキャリアプランニングの基礎研修
*ライフステージ別・職級別のオーダーメイド研修
*従業員個別のキャリア面談によるモチベーションアップ

をおこなうキャリアサポートプログラムです。
女性特有の周期的なからだの変化、年代やライフステージごとに変わっていく役割、体調、かかりやすい病気…。

ウィメンズ・ヘルスをふまえて“はたらく”を考えれば、女性従業員のパフォーマンスは今以上に向上し、女性自身もなりたい自分、叶えたい人生に近づくことができます。

女性活躍推進や健康経営施策としても最適なmezame。
経営者、人事・HRご担当のみなさん、ぜひ導入をご検討ください。

▼▼ 詳しくは下記リンクより▼▼
資料の無料ダウンロードができます


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?