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【面談事例】何のために働くのか、わからなくなったとき

こんにちは。キャリアコンサルタントの松岡澄江です。

キャリア面談の事例紹介、今回はコロナ禍の影響をもっとも強く受けた業種のひとつ、旅行業界にお勤めの女性とのやりとりをお伝えします。

Go Toトラベルキャンペーンが動き出したものの、コロナ禍の傷は大きく、まだまだ先読みができない現状。

なるみさん(仮名)とのオンライン面談は、まずはご本人の不安に耳を傾けるところからはじまりました。

《ご来談者プロフィール》
なるみさん(女性・20代後半)仮名
旅行関連企業勤務。インバウンド事業の中核で、外国人向けツアーの企画や新たな観光資源の発掘等を担当。

※この記事は、個人の特定を避けるため、一部プロフィールや内容を変更して作成しています。
※キャリアコンサルタントには「守秘義務」が課されています。

追いかけてきた夢が遠のいていく…

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新型コロナウイルスによる出入国宣言、続いて発出された緊急事態宣言で、一時はほぼ自宅待機となってしまったなるみさん。
やりたいことを仕事にできていただけに、この先の自分が何をめざしたらいいのかわからなくなってしまいました。

「コロナ禍で仕事への不安が大きくなり、
将来も見えなくなってしまいました。
これからどうしようかと思って…」

学生の頃から海外旅行が大好きで
「旅を仕事にしたい!」と思って入った業界です。

夢は「海外の多くの人に自分が企画したツアーで
日本の良さを知ってもらう」こと。

東京オリンピック・パラリンピックも目前に迫り、めざしてきた夢の実現のために寝る間もおしんで準備を重ねてきました。
ところが、「さぁ、これから!」というときに新型コロナウイルスが拡大。日本だけでなく、世界中がコロナ禍となってしまいました。

なるみさんは、インバウンド事業担当。
海外からの渡航客を受け入れられなければ
緊急事態宣言が解除されても、
Go to トラベルキャンペーンがスタートしても、
仕事のほとんどがストップしたままです。

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そのため、働く意味がわからなくなり、
抜け殻みたいになってしまった
といいます。

「夢を仕事にできたと思っていたのに…」
「やりたいことができるようになってうれしかったのに…」

なるみさんの切実な思いが言葉になって
次々に流れていきます。

将来が見えないなら転職した方がいい?

落ち込んだ気持ちと将来が見えない不安から

「今のうちに違う仕事を見つけた方がいいでしょうか?」

…と相談してくれたなるみさん。

私は、彼女の切実な気持ちに寄り添いながら
「今、転職を考えた方がいいのか?」を含め
これからを一緒に考えていくことにしました。

「観光業は、感染症が拡大すると仕事が無くなる」
「もしかすると、会社も危ないかもしれない」
「今後を考えるともっと安定した仕事がいいのでは?」
「でも今、転職して求人はあるのかな…」
「あ、でもどんな仕事なら、安定しているんだろう…」

次々と口をついて出てくる言葉から、転職に向けて
気持ちに勢いがついているのがわかります。

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「焦る気持ちはわかりますが、少し整理しませんか?」
私はそう提案してみました。

まずは冷静に状況を知る、足もとを見つめてみる

確かに、観光業には大きなダメージを受けていますが、
なるみさんの会社は、ツアー企画の会社なので卸が中心です。
ダメージの大きいホテルや旅館、レジャー施設、
旅行会社よりも状況は良いのではないかと考えました。

「会社や上司からは何か経営状態について言われていますか?」
と聞いてみたところ、

「いえ、今のところは特にアナウンスはありません」
とのお返事。

ここ数年、経営改善もしているので数字は悪くないそうで
今日、明日で倒産することは無いように感じられます。

現在のように、ネガティブなニュースばかりが目にとまると
それを受け取る側の気持ちもザワザワ
としてしまいます。

なるみさんも、
「今すぐ、動かないと取り返しがつかなくなるのでは?」
と根拠なく焦りを感じていたようでした。

ウィズコロナなどといわれ、今後もしばらくは
ウイルスとつき合っていくことになるのでしょうが、
治療薬やワクチンなどが供給されるようになれば、
観光業も回復してくることが予想できます。

このような客観的な視点も交えてお話をしながら
一度落ち着いて状況を整理し、あらためて
今のお仕事についてお話してもらいました。

迷ったら「やりたかったこと」を思いだしてみる

「私は、担当しているさまざまな業務の中でも
SNSを使ってツアーのプロモーションをしている時が
何よりも楽しいんです」

「旅行者と双方向でコミュニケーションできるので
企画したツアーをどう表現しようかと、
Web担当者といつもアイデアを出し合っています」

「ウェブのことをもっと知りたいんですよね。
そうすれば、ツアーのターゲットにもっと効果的に
魅力が伝わるようになると思うんです」

仕事の醍醐味を話すなるみさんに対し、

「Webプロモーションや
デジタルマーケティングと言われる分野ですね」

「今は、ユーザーのアクションがどんどん見えるようになって
かなり専門知識も必要でしょうね」

…といった受け止めをしていたら、次第に
なるみさんの表情が明るくなってきました

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「今すぐ会社がつぶれるわけではないと思えるようになったので、
 この自宅待機期間に勉強してみます」

「もし会社が危なくなっても、知識があれば転職先も
見つけやすくなるでしょうし、
プログラミングを学んだ方がいいでしょうか?」

もともと積極的なタイプです。
いつの間にか、一人でどんどん思考を広げるモードに

後日、お話をうかがったところ
「プログラミング講座に行ってみたら、
作りたいわけじゃないことがわかったので
Webマーケティングの講座を受講中」
とのことでした。


大きな夢を持って取り組んでいた仕事が、急に止まってしまったショックは大きかったと思います。

先のことが見えず、真っ暗な世界にいるような気持ちだったかもしれません。

自宅で一人、考えていれば、ネガティブな気持ちの方がふくらんでいきがちです。

そんな状況の中、キャリアコンサルタント(私)と話すことで気持ちと状況を整理し、今の自分だからできることを考え始めてくれたのがとてもうれしかったです。

なるみさんの今後を、コロナの状況も注視しながら
支援していきたいと思います。

松岡澄江(まつおか・すみえ)
国家資格キャリアコンサルタント、研修講師
ブログ「自分らしい生き方・働き方を考える」


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