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いくつになっても誰かの役に立つ幸せを 〜映画『マイ・インターン』

こんにちは。キャリアコンサルタントの松岡澄江です。

今回は、公開当初に観て心に残った映画「マイ・インターン」(2015年公開)をキャリアの視点でお伝えしてみたいと思います。

この映画を観た時、「年をとってもこんなふうに誰かの役に立てる人になりたい」と心の底から思いました。また世代の違いを組織の中で活かすヒントも満載のストーリーです。

【あらすじ】
ファッションECサイトで成功した企業の社長ジュールズをアン・ハサウェイが演じています。ジュールズの夫が主夫として家事や子育てを担ってくれているし、事業は順調に拡大中。
会社の社会貢献の一環として高齢者をインターンとして雇用する取り組みに応募してきたベン(ロバート・デ・ニーロ)が、最初は嫌煙されたりもするけれど、少しずつジュールズの支えとなっていくストーリーです。


ベンが働いていたのは、電話帳を制作する会社。携帯電話が普及した現代は電話帳を使う人はいなくなりましたね。
一方ジュールズの会社はデジタル技術を駆使して拡大するIT企業。時代の流れを印象付けます。

他にも、昔ながらの働き方を大事にする70歳と先進的なチャレンジをする30歳、過去と現代のニーズの違い、仕事に使う道具の違い、世代の価値観の違い…いろんな対比が丁寧に描かれているのもおもしろい映画です。

いつだって誰かの役に立つ喜びを感じたい

ベンは電話帳会社の重役をリタイアした後、最愛の妻に先立たれブルックリンで一人暮らし。今の生活は幸せだけれど、ぽっかり空いた穴を埋めたいとシニア・インターンの応募に挑戦します。
インターン応募の映像で話している、「誰かに必要とされたい」「私も変わりたい」という言葉がとても印象的です。

いくつになっても、役割があることが大事なんですね。

キャリアの理論の中には「人生の役割」について解説しているものがあります。ドナルド・E・スーパーのライフキャリアレインボーです。

スーパーはこの理論で、キャリアとは役割の組合せであると伝えています。子ども、学ぶ人、働く人、配偶者・パートナー、親、市民、余暇を楽しむ人等、人はいろいろな役割の組合せを持っているといいます。

例えば私は、働きながら子育てしてきました。でも、娘たちが独立すると、“親”という役割はほとんど発揮されなくなりました。
娘たちの独立と同時に、食事作りや掃除・洗濯等が自分のための活動に変化しました。娘たちのために食事を作っていた時は、栄養バランスを考えたりバリエーションを増やしたりして創意工夫しながら楽しんでいたのですが、自分だけのために作ることになったらかなりモチベーションがダウンした時期がありました。

誰かのために何かをするってすごく大事なことです。役割とは「誰かの役に立つこと」ではないかなと考えています。
「行動あるのみ」とシニア・インターンに応募するベンは、もう一度誰かの役に立つための場を得たかったのではないかと感じました。

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シニア活用に参考になるシーンがいっぱい!

ジュールズの運営する会社はIT企業で、若者がたくさん働いています。私服の社員たちが自由にふるまう中で、アタッシュケースを持ってスーツで出勤するベンの姿はとても目立ちます。
PCの周辺機器を充実させる社員の隣で、手帳やペン、電卓を並べるベン。新しい働き方と古い働き方の対比が映像でコミカルに描かれています。

【1】シニアが見習いたいポイント

以前、定年退職する方の再就職面談を担当した時、とにかく過去の栄光を語りつくす人、前職と同等の立場を望む人が多くて、正直なところ、辟易したことがありました。
お気持ちはわかりますが、シニアとなれば働く場は限られていきます。これまでの経験は偉大ですが、それを引きずってばかりでは新しい時代を担う若者と一緒に働くことはできません。

それでいうとベンは働き方の変化を受入れ、若者たちと共に働くための努力も怠りません。「今どきの若い奴は…」なんて言いません。自分が働いた会社とはなにもかも違う環境の中でも自分の居場所を作っていくために、あれこれ試行錯誤をするのです。
過去の栄光ではなく「働く喜び」を求めている姿がそこにはあります。

ぜひこれからのシニアの姿として見習ってほしいですし、私自身も見習いたいと思います。

【2】受け入れる側に求められること 

ベンの存在感は少しずつ増していき、ジュールズだけでなく多くの社員が頼りにするようになっていきます。

新しい技術、新しい働き方、新しい価値観。

時代の変化に対応して仕事が猛スピードで変わっていく一方で、昔から変わらないことがあることをベンが教えてくれるのです。
経験があるから見えることってありますよね。若い人はつい目の前のことに必死になって視野が狭くなりがちですが、経験豊かなシニアは俯瞰的な見方ができたりします

ジュールズをはじめ若い社員が、ベンの仕事の仕方を「古い」とないがしろにするのではなく、世代の違いを理解しアドバイスを受け取りながら少しずつ変化していくのがとてもよく描かれています。

今、ダイバーシティが注目されています。
多様な人材、多様な価値観を受け入れることの中に、シニアの経験を活かすことも入ってくるのではないでしょうか。

年齢も経験も性別も違うけれど、「働くこと」を通じて理解し合うベンとジュールズの姿はとても素敵ですし、心が温かくなる作品で私は大好きです!

■ 文/松岡澄江(まつおか・すみえ)
国家資格キャリアコンサルタント、研修講師


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