見出し画像

米墨関係:米大統領、メキシコへの新型コロナウイルスのワクチン提供拒否

 メキシコの報道によれば、外国筋の話として、2021年1月22日に実施された、米国のバイデン大統領とメキシコのオブラドール大統領との電話会談で、メキシコは米国に対して、メキシコに対する新型コロナウイルスのワクチンの提供支援を依頼した。ところが、これに対して、米国はメキシコへのワクチン支援を拒否したという。バイデン米大統領は、メキシコに対してコロナウイルスのワクチンを供給する時期ではなく、米国内居住者に対するワクチン接種を優先すべきである、と返答したという。
 また、電話会談において、オブラドール大統領は、合法・非合法に関わらず、米国内に居住しているメキシコ人に対する接種の必要性について言及したところ、バイデン大統領からは、ワクチン接種は普遍的なものであり、米国内のメキシコ人居住者の在留資格の状況により左右されるものではない旨発言したという。
 ただし、両国の外交当局者は、上記やり取りの存在を正式には認めていない。
 オブラドール大統領からバイデン大統領に対して、ワクチンの提供依頼の要請があった背景として、メキシコ政府は、数百万回分のワクチンを確保したと発表しているものの、必要量に到達できていない状況にある。2021年1月時点で、米製薬大手ファイザーと独ビオンテックが開発した新型コロナウイルスのワクチン65万7千人分しか確保出来ておらず、メキシコの人口1億26百万人の0.5%にしか過ぎない。また、1月中旬まで提供される予定であったファイザー製ワクチンは、50%削減されて到着することとなった。ファイザーのベルギー工場の改修工事による生産遅延が原因とされている。
 他方、オブラドール大統領は、ロシアのプーチン大統領と1月25日に電話会談を実施して、ロシア製ワクチン「スプートニクV」2400万回分をロシアから購入することで合意した。だが、「スプートニクV」については、臨床実験が不十分との批判が出ている。
 メキシコの全人口をカバーするワクチンを確保できるのは、いつになるであろう。(2021/2/1記)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?