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おばあちゃんの一番の喜びとは「○○」

先日、祖母に結婚式の写真と手紙を送った。
祖母と会う機会があって、別れたあと、ポストに投函した。

祖母からは届いた日に、私が仕事が終わるであろう19時ぴったりに電話がかかってきた。

「Rita、届いたよ、ありがとう
 あん時に渡さんで、送ってくれたんやね
 ありがとう 嬉しい
 郵便受けを覗いて、手紙が入ってるのが
 ばあちゃん、一番嬉しいんよ」

手紙のパワーというものはわかっている方だと自負していたが、今にも泣きそうなくらい喜ぶ祖母の声を聞いて、まだまだわかっていなかったな、と反省した。

暑中見舞、年賀状、旅行先、美術館に行ったときなど、祖母には葉書を出すようにしていたけれど、最近は旅行にも美術館にも行かなくなり、その回数は格段に減っていた。

すまん、ばあちゃん。
また手紙書くね。

私は祖母の声を聞きながら、小学校のこくごの教科書に載っていた大好きなお話を思い出していた。

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がまくんは、
げんかんのまえにすわっていました。

かえるくんがやってきて、いいました。

「どうしたんだい、がまがえるくん。
 きみかなしそうだね。」

「うん。そうなんだ。」

がまくんがいいました。

「いま、一日のうちのかなしいときなんだ。
 つまり、おてがみをまつじかんなんだ。
 そうなると、いつもぼく、
 とてもふしあわせなきもちになるんだよ。」

「そりゃ、どういうわけ?」

かえるくんがたずねました。

「まいにち、
 ぼくのゆうびんうけはからっぽさ。
 てがみをまっているときがかなしいのは、
 そのためなのさ。」

ふたりとも、かなしいきぶんで、
げんかんのまえに、こしをおろしていました。

すると、かえるくんが、いいました。

「ぼくもう、いえにかえらなくっちゃ、
 がまくん。
 しなくちゃいけないことがあるんだ。」

かえるくんは、大いそぎで、
いえへかえりました。
えんぴつとかみをみつけました。

かみになにかかきました。
ふうとうに、こうかきました。
がまがえるくんへ。

かえるくんは、いえからとびだしました。

<<中略>>

「きっとくるよ。だって、
 ぼくがきみにてがみ、だしたんだもの。」

「きみが?てがみになんてかいたの?」

「ぼくはこうかいたんだ。
 "しんあいなる、がまがえるくん。
 ぼくは、きみがぼくのしんゆうで
 あることを、うれしくおもっています。
 きみのしんゆう、かえる"。」

「ああ。とてもいいてがみだ。」

それから、ふたりはげんかんにでて、
てがみがくるのをまっていました。

ふたりとも、とてもしあわせなきもちで
そこにすわっていました。

─アーノルド・ローベル  「おてがみ」より
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内容なんてどうでもいい。
手紙で伝わるのは、内容だけじゃない。

郵便受けを覗いて、手紙が入っている時の祖母の嬉しそうな顔を想像しながら、えんぴつとかみを手に取ろう。

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