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13歳からのアート思考

また大好きな本をみつけてしまった~。


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これ、とても面白いです。
きっとビジネス書に分類されるのだと思うけど。
読んでいて眠くもならないし、「ちっともすすまないなぁ」と、もどかしく思うこともなかった。むしろ、夢中で読んでしまいました。


 「13歳から」というタイトルを見てしまうと、子ども向けの本なのかなぁと思ってしまいそうだけど。
幼稚にかかれていることもなく、大人も普通に楽しめます。むしろ、思考が凝り固まっている、大人こそ読んで面白い本かもしれません。


なぜ、13歳からなのかというと…。


13歳からみんな「美術」に苦手意識を覚え始める。
13歳と言えば、中学一年生にあたる年齢です。じつはこの年齢は、美術に対して子どもたちが苦手意識を感じ始める、ターニングポイント的な時期なのだそうです。

小学生の時は、図工とか絵を書くことが大好きだったのに。
中学生になると、なぜか美術は、難解でとっつきにくい教科に変化する。
テストのために作品名を覚えるとか、
ものすごくきれいな優れた絵を書くとか。
一体何を体得するべき授業なのか、すっかりわからない。


これは私にも覚えがありました。
小学生までは、図工だけは得意!みたいなところがあって、何かを作ったり、書いたりする授業は大好きだったし、自信もあったのに。
中学生になると、美術はちっとも親しみの持てない授業になってしまったこと。


そうだったことを、深く考えて認識したことはなかったし、一般的なことだということにも驚いたけど。

まず、あ、これみんなそうなんだ!という気づきが一つありました。

中学の美術で覚えていることは、
テスト期間に難しい仏像の名前をゲームみたいにしてなんとか覚えたり、
テストで、歌詞を題材に絵をかかされたり。
とにかく、なんの意味があるのか謎だった。

テストで私が書いた絵には、確か10点中6点という微妙な点数が付いていました。
それも、私が書いた空想の人物に「顔がなかったから」という本当によくわからない採点方法でした。
さて、先生の希望通りに人の顔があったとして、いったい何点だったのでしょうか…。

成績を上げようと躍起になっている子が多い中で、美術の授業って、なかなかに上げ方がわからない、厄介ものだったのではないかと思います。


作品鑑賞を通してアート思考を鍛える!
この本では、美術の歴史において重大な変化や発見をもたらした有名な作品を6つ紹介しています。

マティスやピカソといった誰もが知る超有名画家から、カンデンスキーや、デュシャンという(私は初めて知った)芸術家に至るまで。
幅広いラインナップです。
個人的には最後にアンディー・ウォーホルが入っているのが嬉しかったな。

こういったアート作品を通して、作品の背景にある意味や、問題提起、作品の意味を学んでいきます。

彼らは、人々が「人から求められるものをつくろう」とするときに、自分の探求心に従って、「新しい発見」をつかみ取ってきた人たちです。
アートとはこうあるべき!というものに対し、世間に「本当にそうなのか」という問いを投げかけてきた。
だからこそ価値があると、認められている。


こうして書くと堅苦しそうだけど、そんなことはありません。発想が本当にすごくて、論理的だけど不思議で、勉強するのがとても楽しくなります。


この本では、歴史やその功績も語られますが、学校の授業とは違って、「あくまでもこれは一つの考え方であって正解はない」
というのが大前提です。

名前を覚えたり、ただ解説して、みたいな読んで受動的に納得・理解することには、重きを置かず、まずはじっくり見てみて、自分がどう感じるか。
絵の中に何が見えるか。
どんな発見があるか。
それがいちばん大切だとしています。

自分で自由に考えてみましょう、と導いてくれるような本なのです。
そしてそうして導き出された自分独自の発見も間違ってはいないのだと。

そして、参照されるアーティストたちが、作品を通して一体何をやり遂げたかったのか、何を問題提起しようとしていたのかを教えてもらうことによって、アートとは一体なんなのか?アート思考とはどういうものか?
という本質に迫ります。

そうして最終的には、自分で考えることの視点を持つことができます。
(問題形式で進むうえ、ネタバレすると本当に面白くなくなるので、内容はこのくらいにしておきます。)



美術鑑賞のスタイルが変わりそう。

私は美術の授業に疎外感は感じても、美術館に行くことは今でも大好きです。年に2.3回は行っているかな、と思います。
それから、原田マハさんや、サマセット・モームなどの、美術が題材の小説を読むのも大好き。
その延長でこの本に手を伸ばしたような感じもします。
文学と絵画や美術は深くつながっていると思っています。音楽も。
(これについてはいつか書こう)

だから何度か美術館に足をはこんだり、本を読んだりしているうちになんとなくだけど、その変遷の外郭をつかめてきているような気はしていました。

本来絵画は宗教画から始まっていることとか。

だけど、自分が美術館で、この本に書かれていたような思考の目での鑑賞をできていたかと言われると、かなり怪しいものです。
人ごみを避けながら、焦りながら解説を読んで、絵を眺めて。
なんとなくすごいんだなー、みたいな。
消化不良感が否めない。
でも、これを読んだら見る目が変わりそうです。

今度行くときは、もっとじっくり眺めて、
あれこれ考えてみようと思います。


基本的には、芸術家というのは、その時、その時で、あらゆる「アートとはこういうものだ」という定説を打ち壊してきているようです。

リアルに描くことがアートなのか?
技術的に優れていることがアートなのか?
みたいな。

でも、おもしろいのは、こういった芸術家たちが、「私はこういう風に考えたから、この作品を作りました」という答えの提示をしていないことです。
あくまでも著者や世間が読み取ったことで、作った本人は曖昧に濁している印象が強いです。
だからこそ、謎めいているのかもしれないけど。
わたしだったら、「こういうことを言いたいのです」って、スパッと言ってしまいそうだけど。
そうせずに、作品に語らせるところがまた、芸術家だなーと思います。


でも、人々はそうやって謎めいた存在に困惑させられながらも、アート思考をもって議論をしながら「世界的価値がある作品」として見落としていないこともまた、素晴らしいなぁと思いました。



なんだかんだいって、こういう勉強が一番好きです。
もっと深めたいなぁ。







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