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このご時世にあえて転職して教員になった話②

最初の会社は三年で辞めた。

やっとの思いで就職できた電機メーカー。

職種は法人営業。

決して待遇が悪い訳でもなく、飛び込みやノルマもない。

人間関係も良く、今で言うホワイトな環境。

給料は安かったが、会社の寮にいたので金はかからない。

毎日スーツを着て、電車に揺られ、8時には部屋に帰る。

ビールを飲んでテレビを見て眠る。

良く先輩に飲みに連れて行ってもらって、会社員って生き方を教わった。

同期の女の子と仲良くなったりもした。

しかし、そんな日々も長くは続かなかった。

・・・平和な毎日に耐えられず三年で退社。

そんなもったいない話、と思うかもしれないが、自分だけじゃなかった。

2〜3年で会社を辞めてしまう若者が社会問題になり始めた頃だった。 

青い鳥症候群?自分探し?

これ、もちろん自分に原因がある。

しかし、突き詰めたら教育なんじゃなかろうか、と今は思うのだ。

働くことに対する経験、考えが育っていなかった気がする。

とはいえ、なんでこれ、手放しちゃったのかな。

約20年前の自分に言ってやりたいよ。

親元に戻り(大層悲観され、グチグチ言われた。もちろん)半年ほど自由な生活を謳歌した。

お金がなくなったらコンビニの深夜のバイトをした。

当時はまだ時給もよく、それでも暮らしていけるかと錯覚するくらいまだ世の中は寛容だった。

自由からの・・・

毎日会社に行かなくて良い自由。

バイトをしながら始めたのは、資格の勉強。

何か資格を取って自分で仕事を始めたら良いのではないか。

サラリーマンが退屈だ、と辞めてしまった自分には会社員はまっぴらだ、という思い込みがあった。

ならばと、資格を調べ、社会保険労務士が良いのではないかと思って勉強を始めた。 

ユーキャンの人気講座ランキングで決めた。

資格を取り、資格を必要とする仕事に就き、いずれ独立・開業。一国一城の主人。

今なら分かる。

甘すぎるし、根本から間違っている。

誰がの役に立ちたいとか、能力を活かしたいとか目標や目的がないのだ。

強い動機が。

社労士は立派な仕事だと思うが、そもそも全然興味もないのに、試験勉強が捗るだろうか。

なんとなく資格とってなんとなく稼いでる人なんか存在するのか。

しかし当時の私は、開業して順調に稼いでいる自分のイメージしかなかった。

我ながらおめでたい奴だと思う。

2年ほど試験を受け不合格。中には何年も受け続ける人もいるそうだが、簡単に心が折れた。

さらに追い討ちをかけるように親父が定年退職。

実家のぬくぬく暮らしもさすがにマズイと背中を冷たい汗が伝う。

「仕方ない。働こう」

再び何処かに雇ってもらうべく動き出した。 

そう、仕方なく。

九州の田舎には碌な就職先はなく、再び東京へ。

気づけば28歳になっていた。

再就職は難航した。

続きます。

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