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サプールをめぐる冒険 第4話(コンゴ初日)

ボレ国際空港の出国ロビーは多くの人でごった返していました。

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昨夜、エチオピア名物のインジェラを食べながらダンスショーを楽しむ予定で少し多めに両替しておいたエチオピアブルが、うたた寝のせいでだいぶ残ってしまい、使い道はないかとスーベニアショップを覗くが欲しいものはナシ。なおかつ値段が恐ろしいほど高い。結局このエチオピアブルはどうすることもできず(ナイロビの空港でも両替を断られた)。

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コンゴ行きET861便は意外と空いていて、乗客はざっと6割ぐらい。約4時間のフライトを経て時刻は現地時間で正午前。
ブラザヴィル上空に到達した機体は、対岸のキンシャサ側から大きく右に旋回しながらマヤマヤ国際空港の滑走路へとランディング。ついに念願のコンゴに到着しました。
サプール写真家SAP CHANOさんの写真集や、リーマントラベラー東松さんのサプール突撃弾丸ツアーのブログを読んでは想いを馳せたあのコンゴに、遂に自分も降り立つ時がやってきました。

涼しかったエチオピアとは打って変わって、アフリカらしいムッとした熱気に包まれたマヤマヤ空港。空港内の案内表示がほとんどフランス語なので一瞬戸惑いつつも、入国審査の方へと進んで行きます。

イミグレの前には入国者のパスポートをチェックする鷲鼻の痩せたポリスが一人。前に並ぶ人達と同様そのポリスにパスポートを渡すと、何故か険しい表情で僕のパスポートを何度もめくり、渡航目的や泊まるホテルなどを聞いた後で唐突に、「エンプテーションは持っているか?」と訪ねてきました。
「エンプテーション?」
僕にはそう聞こえました。それが何なのかさっぱり分からず、「エンプテーションって何?よく分からない。」と答えると、鷲鼻の痩せたポリスは僕のパスポートを取り上げて「あっちのソファーに座って待ってろ。」という指示。
「いやいや、パスポート返せよ。」と反抗するも聞き入れられず、後ろにいた乗客も「お前はあっち行け。」とガヤガヤ言うので仕方なくソファーへ。
「何か不備があったかな?」と自問自答するも、入国ビザは日本の大使館でちゃんと取ったし帰りの航空券のEチケだって見せた。何も悪いことはない。
まったく意味がわからず、指定されたソファーの近くにいるぽっちゃりしたポリスに事情を話し「何とかしてくれ」と頼み込むと、「わかった。ちょっと調べてくるよ」と言ってイミグレ掛け合いに行ってくれたので、同じポリスでも彼はいいヤツで良かったと安心して待つことに。
なかなかこんな経験もできないし、後で話のネタにしようと、一眼カメラの画像を確認するフリをしてイミグレの部屋を1枚だけ撮影。すると向こうにいた別なポリスがこっちに向かってきて「今写真を撮っただろう?没収だ!」と言ってきたので、慌ててエチオピアの観光地の写真を見せて「ほら、撮ってないよ!これはエチオピアだよ!」と釈明。ホント油断も隙もない。撮った画像は念のためすぐ消去(笑)

結局「エンプテーション」が「temptation(誘惑)」なのか、それとも「reputation(評判)」なのか、あるいは全然違う言葉だったのかは今も不明です。

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ちなみに「Temptation」といえば本田美奈子さん

とにかくその後、僕の隣にはイギリス系アラブ人1人と中国人5人が並ぶことに。ここで何となく「あー、これって賄賂要求か。」と少し状況が解ってきました。
僕をヘルプしてくれてるぽっちゃりポリスは英語がグチャグチャだったので、「ホテルスタッフが迎えに来てるはずだからこっちに呼んできてくれ」と依頼。するとしばらくして女性のスタッフ(ホテルのマネージャーだった)が登場。彼女の通訳により解ってきたのは、どうやら僕ら7人は謎のペナルティが課せられており、罰として50ドルを払わないと入国出来ないということ。

やっぱり。これぞ賄賂ホイホイ。
こんなトコで足止めされてても意味がないので「わかった、20ドルなら払う。」と交渉させてみたが、どうやら50ドルは揺らがないらしく、同意してぽっちゃりポリスに50ドルを渡すことに。
またしばらく待っていると、鷲鼻ポリスとぽっちゃりポリスが詰め所みたいな小さな部屋に入っていくのが見え、数分後ぽっちゃりポリスが「こっちに来い」と僕らを呼ぶ。
中に入ると小さなテーブルの奥に鷲鼻が偉そうに座っていて、その目の前に僕が座る。ホテルのマネージャーとぽっちゃりは僕の左隣りで立ったまま。
すると突然、鷲鼻がテーブルの上に30ドルを投げ出す。僕は意味が分からず、しばらく考えてから「あ、やっぱ20ドルで良かったのか。お釣りが貰えるんだ。」と理解し、手を伸ばそうとした次の瞬間、
「50ドルと言ったはずだ!なんでお前は30ドルしか払わないんだ!」と鷲鼻。

僕とホテルのマネージャーはほぼ同時にぽっちゃりを凝視。
するとぽっちゃりは最初、僕に向かって「お前20ドル足りないぞ、、、」みたいなことを言いかけたので、さすがに僕も「てめぇ!早く金出せよ!」と日本語でけしかける。ぽっちゃりは文句を言いたげな顔つきで渋々ポケットから20ドルを取り出し、テーブルの鷲鼻に差し出しました。
すると鷲鼻は「よし、50ドル。オーケー。」と言って僕を部屋から連れ出し、イミグレの検査官に一言二言伝えてからまた小部屋に戻っていく。
イミグレを抜けた後もぽっちゃりは僕らの後を付いてきて「お前を助けたじゃないか。俺にも金をくれ!」とせがんでくるので、僕とマネージャーは二人で「うるせー!あっち行け!」とぽっちゃりを追い払う。
空港の外に出たら出たで、駐車場まで歩く間に今度は別な男がマネージャーに何か話しかけてきた。車までずっと付いてくる。マネージャーも再三追い払うが男も引かず、最後はケンカのような言い争い。なんなんだろ、この国は。

コンゴに来てようやく「アフリカらしさ」に触れた気がしました。
ホテルの送迎車はトヨタの1BOX車・ノア。友達が昔乗ってたのと同じ型だったので妙に懐かしくなり、ここでようやく気持ちも一安心。やれやれ。こんな国でひとりサプール捜しをしなきゃならないかと思うと、軽く頭が痛くなってきました。

だいぶ遅れて14時過ぎにホテルに到着。チェックインしてから空港で両替するのを忘れたことに気付き、ホテルのマネージャーに両替の相談。ひとまずユーロをセーファーフランに替え、ついでに宿泊代もそこから先払いし、冷えたビールを飲みながらこの後の作戦を練ります。
ひとまず今日はサプールがいるというBacongo地区の土地勘を掴んでおきたい。しかも金曜だから、運が良ければどこかのバーでサプールに遭遇出来るかも知れない。地図を見てひとまず捜索の拠点となる店を固めると急いで部屋に戻り、「対サプール」用の服装に変身。表でタクシーを捕まえBacongoに向かうことにしました。

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気取っててすいません(汗)

サプール捜しの拠点に決めた「Montagne Kojack」というレストランの前でタクシーを降り、いよいよ本格的にサプール探しがスタート。時はすでに夕方。Bacongoの街に闇の気配が漂い始めます。
まずは店に入ってビールを頼み店員にサプール情報を聞き込むと、英語を話せる若い店員が「この前、この近くの店に集まってたよ。」というので、ビールを飲み干しハンバーガーを平らげてからそこに向かいます。

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しかしまだ時間が早いのか、それらしい人影はどこにもない。深くなる闇に抵抗を感じつつも、前に進まなければサプールどころか棒にすら当たらないので、とりあえず車の通りが多い道を選んで付近を捜索することに。

Bacongoのストリートは外灯がほとんどなく、車のヘッドライトが照らしてくれないと自分の足下も見えないほどの暗さ。ところどころに人だかりは見えるも、サプールらしい人は見当たらず。1時間ほど歩き回って、なんとなく人が多く集まってる場所が把握できたところで1本の横道に入ると、妙にやかましい店が。
「何かクラブっぽいな。」まさかコンゴでいきなりクラブに出くわすとは。
喉も渇いたしどんな音がかかってるかも知りたかったので中に入ってみると、想像以上に人だらけ!すげーいる!

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人をかき分けてバーカウンターに辿り着くまでやたら時間がかかる。ようやくカウンターでビールをオーダーし、お釣りを貰おうとするとすぐ隣りに若い女子が2人。目があったので、貰ったお釣りをそのまま2人のビール代に。
話しかけてはみるものの、こちらは英語、向こうはフランス語。身振り手振りで頑張ってはみたけれどサプールの手がかりは引き出せず。でも、日本にはない種類の熱気がクラブ全体に漂っていて、なかなかのカオス感。素晴らしいです。

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しばらくすると更に女の子が2人合流。「この子達もビールが飲みたい。」まぁそうなるよな。帰りのタクシー代がなくなりそうだったので、今夜はここで打ち止めることに。

クラブから通りに出た時、街からちょっと離れた場所に煌々と光る、ライトアップされた大きな橋が見えました。僕がサプールに会うためのバイブルとしてブログを読み込んだ「リーマントラベラー」の東松さんは、見事にサプールと出会いあの橋をサプールと一緒に歩いていました。
「まだ初日だ。」
自分にそういい聞かせながらタクシーに乗り込みホテルへと戻るのでした。

第5話(コンゴ2日目)につづく

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