サプールをめぐる冒険 第5話(コンゴ2日目)
梅雨入り前だというのに夏の日差しを感じることも多いここ最近。
ついつい美味しいビールが飲みたくなりますね。
コンゴにも色々なビールがあるみたいですが、僕にとって最初のコンゴビールは、泊っていたホテル「Résidence Hôtelière de Moungali」で飲んだ「33 Export」というラガー。BRALICOというメーカーが出してます。
熱い国のビールはさっぱりしてて何杯でも飲めます!
そして一番多く飲んだのが「PRIMUS」です。アフリカを代表する有名なビールらしくて、ブラザヴィルの人たちは「こっち(コンゴ共和国)のビールだ」って言ってたけど、製造元のBralima社はDRCコンゴ(コンゴ民主共和国)に本社を置くビール会社で、更に調べると元々はブルンジとルワンダが発祥だそうです。(出典はこちら)
このお店、現地ではちょっと高めのお店で、スーツを着たビジネスマン達が商談なのか何なのか3~4人で話し込んでる姿をよくみました。ここでPRIMUSを飲むと1本1000XAF(セーファーフラン)。セーファーフランと米ドルの為替レートは1$=583XAF(2019/6/3現在)なので、だいたい1.7$ぐらいです。街中のもっと安い店では500XAFでビールが飲めました。
アフリカに来て3日目。飛行機の中で全く眠れていない僕は、睡眠不足と時差ボケでだいぶ頭が回っていません。特に為替の計算。今回の旅では2~3日ごとに国と通貨が変わっていったので、最後のタンザニアシリングに至っては、全くと言っていいほど計算が追いつきませんでした(笑)
というわけでサプール捜し2日目。昨日と同様、ブラザヴィル・Bacongo地区で僕の捜索拠点となったレストラン「Montagne Kojack」で身体に冷たいビールを流し込んでからスタート。
さて、今日も晴天。昼下がりのコンゴはとにかく暑い。
サプールばりのスーツ姿で35℃を超すBacongoの街を歩き続けるのは、なかなかの試練。ワイシャツの汗が半端ないです。
まずはMontagne Kojackからマツワ通りというメインストリートに向かい、マツワ通りに入ったら人が多く集まっていそうなショッピングモール(マルシェ)の方向に向かって西に歩いてみます。
道端には金物だったり日用品だったり洋服だったり、とにかくいろんな店が立ち並んでいます。昨日は夜だったせいか、同じ通りでもまるで違う場所に来たような感覚です。
(3日目の朝にタクシーの中から撮ったマツワ通りの風景)
ショッピングモール付近はもう大混雑で「ココ渋谷か!」ってぐらいです。
人混みに紛れて細い路地に入っていくと、今度は屋台のような小さなお店がひしめき合うマルシェゾーンに入ります。こっちはまるでアメ横の路地裏みたいな感じ。
野菜、果物、肉、魚の干物、香辛料などが並び、店を切り盛りする地元の人たちの強烈なエネルギーと食料の匂いが辺り一面に漂ってます。
あてもなく歩いているうちにさっきのマツワ通りに出たので、今度は逆方向に歩いてみることに。途中で横道に逸れてみたり路地裏みたいに怪しいトコを通ったり。そうやって歩きながら優しそうな人を選んでは「サプール知らん?」と尋ね続けるんですが、相も変わらず手がかりはナシ。
ひたすら3時間近く歩いているうちに、42歳のおっさんはもうぐったりしてしまいました。
暑い!もうホント暑い!!そしてサプール居ない!!!
そもそもサプールって実在するんだろうか?
ってか、そもそもコンゴまでわざわざ会いにくる必要性あったのか?
何でサプールから影響を受けちゃったんだろう俺。。。
暑さと疲労と結果が出ないことで、自分が今、何のために頑張ってるのかをつい見失いそうになる42歳。
最初の頃は、
「歩こう~ ♪歩こう~♪ 私は元気~♪」
と口ずさみながらルンルン気分で歩いてましたが、今となってはそんなテンションも遥か昔のこと。「メイのバカっ!サプールのバカっ!」
もし仮に、結果としてサプールに会えずに帰ることになったらどうしよう?
「青木さん、仕方ないっすよ。ってか、よく一人でコンゴまで行きましたよ。凄いっす。行っただけでもヤバイっす。オレは行けねーっす。」
そう言ってくれそうな仲間が何人か頭をよぎりました。
確かに、想像していた以上に会えるきっかけがみつからない。
むしろ渋谷で芸能人とかモデルさんを見つけることのほうが、よっぽど簡単なことのように感じてしまう。
いやいや、会いたい。今逢いたい。逢いたくてしかたない。
助けて、郷さん。
よし、攻め方を変えよう。これでは体力の無駄だ。
Bacongoをひととおり歩いてみた結果、どうしても気になるエリアがありました。昨日の夜に潜入したクラブがある辺りです。
クラブの前を通り抜けた先の木陰に、小さなお店を発見。そこに10人ぐらいが集まってサッカー中継を観てたので、ここでひとまず休憩しようとお店の主人にビールをオーダー。
この日、この木陰で飲んだビールは今回の旅の中でも格別の1本でした。
もう、木陰大好き!ビールもっと好き!
汗が引いて気持ちも落ち着き、完全に生き返りました。
ふと隣りのテーブルを見ると、暇そうに座ってるヒゲのおじさん発見。
「あの~、サプールに会いたいんだけどサプール知らないですか?」と、今まで幾度となく人に尋ねたセリフを何の気なく投げかけてみました。
するとまさかの、
「サプール?マイフレンド!」
「・・・えっ?」
「サプール、マイフレンド!サプール!」
そういうとおっさんは突然、店の中に向かって何かを叫びました。
なんだ?なんだ?何が始まるんだ??
しばらくして若い男の子がやってきます。
どうやらヒゲおじさんは英語が話せる人を呼んでくれたらしい。
英語が話せる若い男の子の名は、通称ビエン。
ビエンに事情を説明し、どうしたらサプールに会えるかと尋ねてみます。
するとヒゲおじさんが
「とりあえず友達に電話してみるか」
と言って電話をかけ始めました。その結果、
「まあまあ近くにいるらしいから、1時間以内にこっちに来るって。今日はサプールの格好はしてないらしいけど、来たら相談してみよう。」
とのこと。
マジかー!すげぇ!
自分ごとながら「なんだこの急展開!」って感じです。ついさっきまで暑さと疲労で撃沈しそうだった僕に、突如一筋の光が差し込み始めました。
左がヒゲおじさん。真ん中がビエン。そして右がビエンの兄貴分。
ひとまずみんなに飲み物をおごり、後から加わったビエンのビッグブラザーも交えて4人でいろんな話をしていると、しばらくしてさっきの電話の相手が登場。パッと見は全然サプールに見えないサプールおじさん。
「あ、こんにちは。メルシー。。。」と、恐縮しつつひとまずご挨拶。
その後、ヒゲおじさんとビエンがサプールおじさんと打ち合わせを開始。
「シゲ、いつまでコンゴにいるんだ?」とビエン。
「明日の深夜のフライトでケニアに向かう予定。」と僕。
「オーケー。じゃ明日は空いてるね。またココに来られる?」とビエン。
「大丈夫。何時でもOKだよ」と僕。
「サプールは何人来て欲しい?」
「え、何人?3人ぐらい?うん、3人来てくれたら超うれしい!」
また3人でゴニョゴニョと打ち合わせ。どこから集まって来たのか、いつの間にか周囲にはたくさんの人。誰かに電話をかけるサプールおじさん。どうやら話がまとまったらしく、サプールおじさんは「明日10時に会おう。じゃ!」みたいな感じで帰って行きました。
事が動いた。
明日の朝10時にこの場所で僕は、念願のサプールに会える。
良かった。とにかく良かった。
ひとまずは明日の段取り。ビエンには通訳をして貰わないとサプール達とのコミュケーションが取れないし、ビッグブラザーには僕がサプールと並んでる間のカメラマン役をやって貰わないといけないと思ったので、彼らに明日も一緒にいて欲しいとお願いしました。
その後もビエン&ビッグブラザーと色々な会話をしました。ビエンは今コンゴの大学で化学を専攻していて、いつかはアメリカや中国、日本にも行ってみたい。そして将来的にはコンゴの発展の繋がるようなビジネスをしたいと思っていることがわかりました。
「コンゴの発展のために最も必要なことは何だと思う?」
という僕の質問に対し、二人とも声を揃えて言った答えは、
「教育だ!もっと教育が必要だと感じている。」
偶然だったけど、本当に素晴らしい若者たちに出会えた、と思いました。
明日のためにやっておく準備がいくつかあったので、しばらくしてから二人に別れを告げ、暗くなる前にホテルに戻りました。
ホテルに着いた途端に疲れがドッと押し寄せてきて、シャワーを浴びた後は夕食も取らずにそのままベッドで寝落ち。気付いたら深夜でした。
明日、サプールに会える。
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