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3000円書籍出版倶楽部論(2)

『イコール』創刊号は今月発売だが、同時に書籍新刊を2冊出す。
一冊は、2020年に行った「AIのべりすと文学賞」の入選作をまとめたものだ。もう一冊は橘川幸夫と真崎守で作った絵本「なぞのヘソ島」の復刻本だ。

その他にも何冊か同時進行しているので大変だ(笑)

それで、上記の2冊は、出版業界としては独自だと思う試みを開始する。
通常の書籍は、取次配本を行うので、例えば初版3000部だとしたら、トーハン1300部、日販1300部を委託配本して、残りの400部を注文用に出版社倉庫に確保しておく。うまく売れたら、増刷していく。

しかし、これでは、全国の書店に平積みされることはなく、棚指しのまま売れなければ返品されてくる。今はそこそこの作家でも初版1000~2000部からだろう。近日、友人が大手出版社から本を出すのだが、初版12000部と聞いて、びっくりした。これなら平積みになるが、資金のある大手だから出来るのであり、大体、弱小出版社では、取次がそんな部数を受けてはくれない。でも、40年前は初版8000とか1万とかあたりまえだったのだが。

今回の2冊は、初版100部である。メタ・ブレーン経由で取次には通すのでAmazonでも購入出来るが、配本はしない。「AIのべりすと文学賞」は関係者への配布で半分使う。「なぞのヘソ島」は『イコール』のクラファンのリターンの一つにしてある。残りは、文学フリマやシェア書店で販売していく。

100部の印刷だと、今はネットで激安印刷があって、10万円ぐらいで印刷出来る。それを定価3000円で販売する。リスクを下げて、多様な本を発行していく。100部が売れたら増刷を考える。書籍の最初のスタートを3000部初版ではなく、100部からスタートするのだ。その代わり定価を3000円にする。100部ずつ増刷してもよいし、3000円で購入する人が一定程度になるなら、その本は1000円にすれば、現状の出版界で戦えるだろう。

最低限のリスクで本を出して、反応が良ければ増刷してベストセラーを目指すというのが既存出版社の方法であるが、初版3000部をスタートにするには、ある程度の企業体制がなければ出来ないが、初版100部なら、著者個人や、小規模出版社でも可能だろう。

シェア書店や、新しい書籍流通の動きが盛んだが、現在の取次・全国書店の仕組みが崩壊したら、そのシステムに依存している出版社も崩壊する。避けなければならないのは、コンテンツ提供者側の崩壊である。

出版は、他の製造業と違い、多種多様な出版社が、多種多様な書籍を発行することで、多種多様な読者のニーズに応えているビジネスである。年間約7万冊、毎日200点の新刊が発行されているエネルギーを絶やしてはならない。

3000円書籍出版倶楽部を作って、連携をはかっていきたい。

関心のある方は、5月30日の説明会にどうぞ。

▼5月30日19時から、青山で、シェア書店・シェア図書館の研究会より中間報告を行います。シェア書店のオーナーさんは無料で参加出来ます。



3000円書籍出版倶楽部論(1)



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2024年5月、橘川幸夫責任編集の『イコール』が創刊されました。 著者(仲間)と読者(これから仲間に…

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