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DOMMUNE年末特別配信「都市は誰のものなのか?! METACITY Presents 多層都市「幕張市」年末特番スペシャル!!!!!!」アーカイヴレポート:「幕張市の射程」編

METACITY

実在しない行政区「幕張市」を題材に、豊かな文化を育む新たな自治のあり方やオンライン上の祝祭性を⾼める⽅法など、都市に必要となる基本機能のアップデートや代替案を模索するMETACITYが主催するアートプロジェクト「多層都市『幕張市』プロジェクト」。

そのプロジェクトの⽴ち上げを記念して、日本を代表するライブストリーミングスタジオ/チャンネル「DOMMUNE」から「都市は誰のものなのか?!
METACITY Presents 多層都市「幕張市」年末特番スペシャル!!!!!!」と題した特別配信を行なった。この記事では配信で繰り広げられた様々な議論──SFからブロックチェーン、多自然主義に至るまで──の一部始終をレポートする。

本記事は「幕張市創立記念展」マガジンの連載企画の一環です。その他連載記事はこちらから
・TEXT BY / EDIT BY: Naruki Akiyoshi, Natsumi Wada, Shin Aoyama

第三部「幕張市の射程」

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ボトムアップで形成される以上、幕張市が将来どんなものになっていくのかということは制御できない。歴史も存在せず不明瞭な時間軸上にあらゆる可能性が開かれてる幕張市。いまこの時代に都市を考えるとはどういう意味を持つのか。第三部では、DOMMUNE主催の宇川直宏とMETACITY共同代表の青木竜太と共に、あり得る都市の未来を議論していく。

死を伴う快適・便利ではない何か

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宇川:いま都市について考えるには、多自然主義を前提としたビジョンが求められるのではないでしょうか。すでに都市論は、特にポストパンデミック以降、グリーンリカバリーの概念が前提になってきますので、人間だけの問題ではなくなっており、それ以外の生命全体から考えない限り成り立たないと思っているんです。


青木:多自然主義的な発想は今回展示している茶の湯アート集団「The TEA-ROOM」が制作したパブリックアート「人工の月」でも表現しています。この作品は海浜幕張に建つ150m規模の建造物のライトアップなのですが、「幕張市の月」として仮想空間に9つの月をモデリングし、それらの不規則な運動のようすを16台の世界最大級の光量を持つムービングライトを使って外壁に投影しました。私は人間中心の世界の外部にある自律システムこそが文化を生み出すパルスだと考えており、この作品には人間以外のものとの繋がりを忘れてはいけないというメッセージを込めているんです。

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宇川:なるほど。ただ、快適・便利ではないヴァナキュラーな何かが文化にとっては大変重要だと思いますね。幕張市の話を聞いて、保谷市が田無市と合併して西東京市になったときのことを思い出したんですよ。合併によって突然違う市になったことで歴史と文化・伝統まで混交してしまった。行政管理の合理化や交通網の再整備でどんどん快適・便利になる一方で、土着的なものは薄め、漂白されていってすごく寂しくなった覚えがあったんですね。だからこそ僕は、都市には快適・便利だけではない独自的な変革をもたらす構造が根底にあるべきだと思います。そうすることで都市としての本当の奥行きが生まれてくるような気がしています。
快適・便利じゃなくなったときにどう生きるのか?。それが、現在新型コロナウイルスの問題に直面している我々人間が乗り超えていかなくてはならないレイヤーだと思うんです。例えば、「幕張市では人間とは全く異質な存在に従わなくてはならない」としたらどうでしょう?。巷によくあるような借り物のゲーミフィケーションではなく、本当にそこで人が死ぬような構造がない限り、人間は真剣に生きないと思うんです。

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都市は何を畏れるべきなのか

──これまでも人類は途轍もない異物などに対する畏れから、それを祀るための祝祭を生んできたと思います。

宇川:その通りです。だからこそ多自然主義というものが守られてきたんだと思うんです。災害を受け入れることが生命の性であり、進化の歴史において重要なものだった。単なるシミュレーションを超えた所に身を置かないといかないと魂が宿らないんですよ。あわせて社会実装って言葉も疑っていかないといけない。もちろん社会実装自体は重要だけれども、そろそろファインアートのような実装できないからこそ価値のある概念にも目を向けるべきだと思うんです。実装されたら芸術ではなくデザインになってしまう。

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──そもそも幕張は埋め立てで生まれた人工の場所です。ゆえに多自然主義的な世界と向き合うためには、ここに自然への畏怖をいかに降ろすのかを考える必要があると思います。ではそもそも私たちは一体なにを畏れるべきなのでしょうか?

宇川:畏れの起源とは、人間の命を育む自然と表裏一体になっている、突如として豹変して猛威を振るい人間の生命を脅かすような自然、いわば「大自然」なのだと思うんです。実際に幕張に行くと、花見川区側では感じていた生々しい多自然の生態と波動が美浜区側に入った途端、消え失せてしまう。ピリピリと切迫した大自然のタフなバイブスもなく、埋立地ゆえの無波動な快適さのみに包まれる。ゆえに大自然をいかに捉え直せるかによっては幕張市は興味深い試みになるかなと思っています。

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幕張市における「親」の存在

青木:たしかに実際の幕張は大自然の脅威性が漂白されてしてしまっている土地なのかもしれません。幕張市が目指すことの1つに、土地性や物理性から解放された純粋な文化の構造の探求があります。実際の幕張の土地から一歩離れて、ゼロから大自然の脅威を伴う環境をつくれるのかを見つけていきたいと思っているのですが、どのような要素があればそれは可能だとお考えですか?

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宇川:おそらく「親」という概念がキーになってくるでしょう。人間であれ都市であれ、ルーツたる親の存在は必要であり、その存在をどこに置くかが重要になるはずです。美浜区側にもルーツは存在するのに、整備が行きとどきすぎていてまるで60年代に急に出現した都市のような錯覚に陥ってしまう。つまりこうした親からの断絶が快適・便利な空間と物足りなさを招いているのではないかと思うんですよね。

青木:ときに厳しくも最終的には何か包み込んでくれるような、自身と繋がりを持っているストーリーがない限り、人々は動き出さないだろうなとは感じますね。

宇川:「都市と制度」で触れられたバージョン管理で言えば、最も古い「0.0」が必要だということです。なので幕張市は「0.0」を育んだ親をまずは見つけるところから始めるのもいいかもしれません。「0.0」を消しさった時に都市は崩壊する、「市」が「死」を迎えるというわけですね(笑)。お後がよろしいようで。

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次回、「『幕張市』をSFするーCivic Vision SF Workshop Series」第一回アーカイヴレポートは5/28公開予定です!

登壇者プロフィール

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宇川 直宏|UKAWA NAOHIRO(現”在”美術家/DOMMUNE主催)
現”在”美術家。映像作家、グラフィックデザイナー、VJ、文筆家、大学教授など、80年代末より、さまざまな領域で多岐にわたる活動を行う。2001年「Buzz Club: News from Japan」(MoMA PS1・ニューヨーク)、「JAM: Tokyo-London」(Barbican Art Gallery・ロンドン)に参加して以来、国内外の多くの展覧会で作品を発表。2010 年には、日本初のライブストリーミングスタジオ兼チャンネル「DOMMUNE」を個人で開局。記録的なビューワー数で国内外にて話題を呼び、2011年文化庁メディア芸術祭推薦作品に選出される。宇川はDOMMUNEスタジオで日々産み出される番組の、撮影行為、配信行為、記録行為を、自らの"現在美術作品"と位置づける。2019年、リニューアルした渋谷PARCO 9Fにスタジオを移転。「SUPER DOMMUNE」に進化し、5G以降の最前衛テクノロジーと共に未来を見据えたUPDATEを図る。

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青木 竜太 | RYUTA AOKI(コンセプトデザイナー/社会彫刻家)
ヴォロシティ株式会社 代表取締役社長、株式会社オルタナティヴ・マシン 共同創業者、株式会社 無茶苦茶 共同創業者、一般社団法人ALIFE Lab. 代表理事、一般社団法人METACITY COUNCIL 代表理事。「TEDxKids@Chiyoda」や「Art Hack Day」、そしてアート集団「The TEA-ROOM」の共同設立者兼ディレクターも兼ねる。新たな概念を生み出す目にみえない構造の設計に関心を持ち、主にアートやサイエンス分野でプロジェクトや展覧会のプロデュース、アート作品の制作を行う。

モデレータープロフィール

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和田夏実|NATSUMI WADA
1993年生まれ。ろう者の両親のもと,手話を第一言語として育つ。視覚身体言語の研究、様々な身体性の方々との協働から感覚がもつメディアの可能性について模索している。さわる会話から生まれた「LINKAGE」「たっちまっち」、手話の視覚化プロジェクト「Visual Creole」などを展開する。2016年手話通訳士資格取得。2017-2018、ICCにてemargensis!033「tacit creole / 結んでひらいて」展示。

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青山 新|SHIN AOYAMA
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科在学中。METACITYメディア編集長。
2019年より、批評とメディアのプロジェクト「Rhetorica」に加入。2020年より、「ありうる社会のかたち」を試作/思索するデザインスタジオ「VOLOCITEE」に加入。興味領域は建築デザイン、デザインリサーチ、クリティカルデザイン、スペキュラティヴデザインなど。
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思考実験とプロトタイピングを通して「ありうる都市」の形を探求するリサーチチーム。活動にまつわる記事を投稿していきます。 https://metacity.jp/