ウルトラシリーズや仮面ライダーシリーズや『ドラゴンボール』シリーズの、変化を必要十分条件から探る
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注意
これらの物語の重要な展開を明かします。特に、PG12指定の映画『ターミネーター』シリーズと『シン・仮面ライダー』にご注意ください。
実写映画
『ターミネーター』
『ターミネーター2』
『ターミネーター3』
『ターミネーター4』
『ターミネータージェニシス』
『ターミネーター:ニュー・フェイト』
漫画
『ドラゴンボール』
『ドラゴンボール超』
『真の安らぎはこの世になく シン・仮面ライダー』
テレビアニメ
『ドラゴンボール』
『ドラゴンボールZ』
『ドラゴンボール超』
特撮映画
『シン・ウルトラマン』
『シン・仮面ライダー』
小説
『AΩ』(小林泰三)
『三◯◯万』(小林泰三)
『ソリトンの悪魔』
はじめに
2024年8月20日閲覧
以前、ウルトラシリーズと『ドラゴンボール』、『NARUTO』、『るろうに剣心』、『ターミネーター』シリーズの作品の変化を扱いました。
怪獣が環境破壊により暴れる『ウルトラマンマックス』などの展開から、逆に怪獣が環境を破壊する要素を扱う『ウルトラマンメビウス』への変化が、私個人の重視するものです。
それは、ある作品で描いた主張に偏りがあり、それをさりげなく突くために別の事態や状況を描いているとも考えられます。
また、論理学には、4の倍数であるためには2の倍数であることが必要である、2の倍数であるためには4の倍数であることは十分であるなどの条件があります。
ある物語の矛盾や偏りを指摘するために必要な、なおかつ過剰でなく十分だと言える展開を続編や次回作で描くためには何が必要か、この機会に取り上げてみます。
『ターミネーター』シリーズの『2』への反論
『ターミネーター2』の「男が作り出したのは死と破壊だけ」と、兵器開発を批判するサラ・コナーの台詞に反する事態として、『ターミネーター3』で女性型のターミネーターが現れており、なおかつ、女性の姿でも制服を着た状態になり軍の施設に入れることから、女性の軍人の存在を示唆しています。
『ターミネーター4』でも、『3』の影響は曖昧なものの、ターミネーターを操るスカイネットが女性の姿で話しています。
『ターミネーター:ニュー・フェイト』では、サラの息子と別の抵抗軍が生み出されたのですが、その指導者の母親と思われたダニーが指導者自身であり、サラは誤解していました。
『ドラゴンボール』から『ドラゴンボール超』へ
2024年8月20日閲覧
『ドラゴンボール』では、ドラゴンボールで死者を蘇生し、徐々にあの世の存在が明示され、あの世での修行などもあります。
こうして生死の垣根を低くしたことへの反論として、『ドラゴンボール超』では、「魂ごと消す」、「あの世に行けない」攻撃をする破壊神が登場したとも考えられます。
生死の垣根の低さ、たとえば『ドラゴンボール超』アニメ版序盤で孫悟空が、自分の死なせたものの、元々あの世で暮らす北の界王に、「元々神様なんだから生きててもあまり変わらないだろう」と言うところに、破壊神ビルスが現れています。
ビルスの「破壊」ならば、元々生きている悟空でもあの世に行けず消されてしまいます。元々死んでいる北の界王が、さらにその特殊な体で死ぬと消えてしまうのに近いとみられ、北の界王と悟空が悪い意味で同じ条件になったと考えられます。
「死後の世界」により死が軽くなったことへの反論として、「完全な消滅」が必要であり十分だとも言えます。
『シン・ウルトラマン』や『シン・仮面ライダー』と必要十分条件
また、『シン・ウルトラマン』や『シン・仮面ライダー』では、元々特撮として戦うウルトラマンや仮面ライダーへの疑問を、必要十分条件で描いたとも考えられます。
小林泰三さんの『三◯◯万』では、「映像作品の宇宙人の多くは生身の全裸で戦う」ということに、ウルトラシリーズへのSFの皮肉として描いたとも考えられる展開があります。
しかし、『AΩ』では、ウルトラマンを連想させる宇宙人が、宇宙のプラズマの環境で生きる生命体で、体そのものがプラズマで自由に変化させられるので機械を必要としない状態でした。人間と融合しても、生身の体で戦うのはまだしも、人間らしい遺体をなめて分析するなどの残酷さがありましたが、それは機械を必要としない体のためでしょう。逆に融合した人間に経験のない銃は扱えませんでした。
『ソリトンの悪魔』でも、プラズマではなく海の水に囲まれた世界で暮らす、海水のみの波動生命体が、海水を活用した多彩な動きをしますが、同族だったのが敵対する波動生命体の体の欠片の波動を吸収するのはいとわないとも取れるところがありました。
つまり、プラズマなどの特殊な材質の生命体ならば、機械や道具を使わずに生身で活動するのも合理的だとみなされているようです。
『シン・ウルトラマン』では、敵の外星人(宇宙人)もウルトラマンも、特殊な重元素で構成された体らしく、人間もその体になれますが、何故かその元素での機械は登場せず、あくまで人間や外星人が自らを巨大化させることしか出来ないようです。
『シン・仮面ライダー』では、漫画版も含めて、AIが人間の技術を発展させるときに、自ら研究を進めるのではなく、何故か人間の身体性を重視すると説明されています。それが人間をオーグメントという怪人に変えています。
その原因は分からないにしても、『シン・ウルトラマン』も『シン・仮面ライダー』も、人間の体や生身の活動の延長でなければ特殊な物質や技術を扱えないという設定により、「人間が機械や道具に頼らず格闘で戦わなければならない」必要性を与えています。
また、『シン・ウルトラマン』で外星人メフィラスが人間を直接支配しないのは、「人間の方から私の協力を求めるように導く」として、人間の自律意識も重視して、人間が一方的に攻撃されるわけではない、逆に人間側の責任もある展開を生み出します。
さらに、『シン・仮面ライダー』で、オーグメントが人間の兵器の物量で必ずしも倒せないわけではない設定でも戦うのは、「自らの手で殺傷する手応え」を重視する心情が、必要十分条件を満たしているとも言えます。
まとめ
こうして、『ドラゴンボール超』や『シン』シリーズは、過去作への批判や疑問に応えるのに必要かつ十分な変化をしているとも言えます。
参考にした物語
実写映画
ジェームズ・キャメロン(監督),ジェームズ・キャメロンほか(脚本),1984,『ターミネーター』,オライオン・ピクチャーズ(配給)
ジェームズ・キャメロン(監督),ジェームズ・キャメロンほか(脚本),1991,『ターミネーター2』,トライスター・ピクチャーズ(配給)
ジョナサン・モストゥ(監督),ジョン・ブランカートほか(脚本),2003,『ターミネーター3』,ワーナー・ブラーズ(配給)
マックG(監督),ジョン・ブランケットほか(脚本),2009,『ターミネーター4』,ソニー・ピクチャーズエンタテイメント(配給)
アラン・テイラー(監督),レータ・グロリディスほか(脚本),2015,『ターミネーター新起動/ジェニシス』,パラマウント映画(配給)
ティム・ミラー(監督),デヴィット・S・ゴイヤーほか(脚本),2019,『ターミネーター・ニュー・フェイト』,パラマウント・ピクチャーズ
漫画
鳥山明,1985-1995(発行期間),『ドラゴンボール』,集英社(出版社)
鳥山明(原作),とよたろう(作画),2016-(発行期間,未完),『ドラゴンボール超』,集英社(出版社)
山田胡瓜,藤村緋二,石ノ森章太郎,庵野秀明,八手三郎,2023-,『真の安らぎはこの世になく-シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE』,集英社
テレビアニメ
内山正幸ほか(作画監督),上田芳裕ほか(演出),井上敏樹ほか(脚本),西尾大介ほか(シリーズディレクター),1986-1989,『ドラゴンボール』,フジテレビ系列
清水賢治(フジテレビプロデューサー),松井亜弥ほか(脚本),西尾大介(シリーズディレクター),小山高生(シリーズ構成),鳥山明(原作),1989-1996,『ドラゴンボールZ』,フジテレビ系列(放映局)
大野勉ほか(作画監督),冨岡淳広ほか(脚本),畑野森生ほか(シリーズディレクター),鳥山明(原作),2015-2018,『ドラゴンボール超』,フジテレビ系列(放映局)
特撮映画
樋口真嗣(監督),庵野秀明(脚本),2022,『シン・ウルトラマン』,東宝
石ノ森章太郎(原作),庵野秀明(監督・脚本),2023,『シン・仮面ライダー』,東映
小説
小林泰三,2004,『AΩ』,角川ホラー文庫
小林泰三,2008,『天体の回転について』,ハヤカワSFシリーズ(『三◯◯万』)
梅原克文,2010,『ソリトンの悪魔』,双葉文庫
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