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【MERY Lab】なぜU25の女の子たちは「韓国カルチャー」にハマるのか

本コラムはMERY LabがForbesJAPANに寄稿したものです。https://forbesjapan.com/articles/detail/35669/1/1/1

女性メディアの「MERY」は、上半期のトレンドワード10選を発表。そのうち3つが韓国由来のものとなっていた。なぜMERY世代の女子たちは韓国に興味を持つようになったのか? 韓国カルチャーに詳しい2人の若者にも話を聞きながら、その背景や理由を考察した。

10個中3つが韓国由来!2020年上半期のトレンドワード

上半期トレンドワード10

20200625トレンドワード上半期

「MERY」では、10代~20代の女の子たちが持つインサイトを探るべく、2020年1月~6月までの半年間にアップされた記事やユーザーヒアリングから見えてきた「2020年上半期のトレンドワード10選」を発表しました。

「地雷メイク」「オーロラネイル」「ピスタチオカラー」など、さまざまなワードが並ぶ中、「ビーズリング」「ソイキャンドル」「おうち時間改革」という3ワードが韓国由来のものとなっていました。

実は今、第3次韓流ブームが起こっているといわれています。そして、そのブームの中心にいるのは10代~20代の若者たち。特に女性は、韓国の音楽やドラマだけでなく、コスメやファッション、グルメにまでアンテナを伸ばしているといいます。

若い女の子たちが「韓国」に熱狂する背景にはどのようなものがあるのでしょうか……。価値観や世の中の動向など、さまざまな角度から検証し、MERYなりの3つの仮説を立ててみました。

仮説1-SNSや通販サイトの普及により韓国の情報が入りやすく

まず考えられるのは、InstagramやYouTubeといったSNSの普及により、韓国の情報が簡単に入りやすくなっているということです。

「人気のインスタグラマーやインフルエンサーの影響力は大きいと思う」

こう話すのは、MERY読者のエリナさん。というのも、そもそも韓国では、人気のインスタグラマーが身に着けた服やアイテムは爆売れし、インフルエンサーが紹介した店舗の来客数が急増するといった現象が起こっています。そうした効果を期待して、韓国の若者向けのプロダクトは徐々に「SNS映え」に特化されるようになっていきました。

その代表的なものが韓国コスメ。「思わず自分も欲しくなっちゃう!プレゼント用フォトジェニックな韓国コスメ4選」の記事でも紹介したように、韓国コスメにはカラフルでキュートな、「SNS映え」するパッケージのアイテムが多く存在しています。アイシャドウやリップなどのカラーバリエーションも豊富で、発色が良いのも魅力の一つです。

【韓国コスメ】 MISSHA 「グリッタープリズム シャドウ」を全色スウォッチ!GOP01 CandyPrism等一気見せ

そんなフォトジェニックな韓国コスメを、日本の女の子たちが放っておくわけがありませんでした。特に、指原莉乃さんなどの芸能人はもちろん、『たかいこうこ』さんや『時空の歪み 韓国コスメ図鑑』さんといった韓国のトレンド情報を発信する人気のインスタグラマーたちが紹介したことで爆発的に流行。こうして、SNS映えを重視する現代女性たちの間で、韓国コスメはただのメイク道具ではなく、自身のSNSを彩る存在として欠かせないアイテムとなっていったのです。

さらに、「プチプラから大人向けまで。日本で買える韓国のファッション通販サイト25選」の記事で紹介したような通販サイトができたことで、日本でも韓国のプロダクトを買いやすくなったことが後押しになりました。

SNSの普及により、手軽に韓国コスメやファッションの情報を知ることができるようになり、さらに、欲しいと思ったものをすぐに購入できる。そういった現状が、韓国のカルチャーが若者の間に根付いた理由の一つではないかと考えます。

仮説2-アイドルやドラマにより韓国の存在が身近に

「韓国が流行しているのには、アイドルの存在が大きいのでは?」こう話すのは、MERYの大学生読者のアユミさんです。

韓国のアーティストが日本の音楽シーンで活躍するようになってから数年が経ち、今やすっかりK-POPというジャンルが確立されました。その代表的な存在が、世界的にも人気のBTSやBLACKPINKをはじめ、日本人メンバーも所属するTWICE。彼らのファンの大半は10代、20代の男女です。この世代は物心ついたときからK-POPが身近にあり、洗練されたパフォーマンスを見ながら育ってきました。

そもそも韓国アイドルたちは、ファン獲得のためにSNSを活用し、お金がなくても楽しめる無料コンテンツを多く発信しています。そのため、SNSネイティブな若者の間に広がるのは簡単でした。

また、エリナさん、アユミさんともに『Nizi Project※』などの「オーディション番組の影響もある」と話します。

彼女たちのいうオーディション番組とは、アイドルの卵である練習生たちが、デビューへの生き残りをかけて競い合う韓国のテレビ番組のこと。練習生たちのリアルな成長や陰で努力する姿を見ることができるだけでなく、視聴者が練習生たちの才能を発掘したり、自主的に応援広告を作成したりと、番組を通して自分たちがアイドルを育て上げているという感覚を味わうことができることから、若者の間で人気に火がつきました。そこで興味を持ったアイドルのメイクや服を真似したい、生まれ育った国の文化や言葉をもっと知りたいと思うのは、ごく自然なことのはずです。

韓国ドラマの存在も忘れてはいけません。韓国ドラマといえば、王道のラブストーリーやサクセスストーリーを思い浮かべる方が多いでしょう。しかし最近は、「アカデミー賞を獲得した映画『パラサイト 半地下の家族』のように、社会問題を取り上げるヘビーな内容の作品も増えていて、男性も夢中になっている」(エリナさん)と言います。現に、2020年上半期に大ヒットした『愛の不時着』『梨泰院クラス』も、ラブストーリー、サクセスストーリーでありながら、韓国特有の社会問題やダイバーシティといったテーマも取り上げています。日本と韓国が抱える社会問題は違うとはいえ、劇中の登場人物たちが社会的困難に立ち向かう姿に共感を覚えた人も多いのではないでしょうか。

このように、アイドルやドラマを通して、韓国の存在をより身近に感じるようになったことも、理由の一つになっていると思うのです。

※ 韓国大手事務所JYPエンターテイメントとソニーミュージックによる共同ガールズグループプロジェクト

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仮説3-外出自粛による在宅時間の増加が後押しに

新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛により、在宅時間が増加したことも、韓国の流行が根付くことに影響したと考えています。

というのも、エリナさんによると、「韓国では、家でカフェっぽい写真や動画を撮って投稿する『ホームカフェ遊び』という文化がもともとあった」と言います。

【おうちカフェASMR】無印良品で作るタルゴナコーヒー&タルゴナアレンジ(抹茶 ほうじ茶 チャイ味) dalgonacoffee

韓国のスイーツやドリンクはインスタ映えしやすいものが多く、中でも「タルゴナコーヒー」は、家でも簡単に作れるうえ、ふわふわのコーヒークリームの見た目がおしゃれでSNS映えすると話題に。日本にも徐々に浸透してきていたところ、外出自粛をきっかけに、本や雑誌で紹介されたり、kemioさんなど人気ユーチューバーが取り上げたことで、日本でも『おうちカフェ』といった言葉の流行につながったそうです。

また、トレンドワードに選出した、韓国ドラマで話題になった「ビーズリング」や、韓国の『ondo』さんや日本の『HINATABOKKOひなたぼっこ』さんをはじめとする人気の丁寧な暮らし系YouTuberが紹介したことで注目を集めていた「ソイキャンドル」も在宅時間の増加が追い風になったと考えています。

幼い頃の懐かしさを。ビーズリングが韓国のお洒落さんに取り入れられているって噂」「あのモコモコのろうそくは一体?おしゃれ写真に使える、ソイキャンドル図鑑」の記事でも紹介した通り、どちらもSNSで話題となっている「おしゃれ写真」として、MERYでも注目していました。自粛中の家の中でも、簡単に楽しめる可愛いアイテムとして、さらに人気が急増したのです。

以上、3つの仮説を立てて、若い女の子の間に韓国のカルチャーが定着した理由を検証してきました。しかし、それだけではここまでのブームにはなっていないのではないでしょうか。

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実は今、若者の価値観が少し変わってきているようなのです。たとえば、以前は安室奈美恵さんのような、「カリスマ性」を備えた完璧な芸能人が多くの支持を得ていました。それが現代では、「憧れの存在ではあるけれど、自分も頑張ったら近づけそう」、「自分の応援でビッグになっていく」と思えるような「親近感」のあるモノやヒトが若者の心を掴んでいるというのです。

すごく人気があるけれども、一般人なのでなんとなく身近に感じるインフルエンサーや、自分の応援で成長していく韓国アイドル、自分も感じていたような社会問題に立ち向かう韓国ドラマの登場人物などが当てはまるのではないでしょうか。

「SNS映え」、「親近感」、さらに、近いけれど海外であるという「ちょっとした特別感」。そんなところが、韓国のカルチャーが若者たちにうまくハマった根本にあるのかもしれません。

文=MERY Lab

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