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中学音楽 授業づくりのポイントと授業の基本的な進め方

(2022年5月更新)

授業開始のチャイムが鳴りました。

さて、まず何をしますか?

この質問に対する答えは先生によって全く違うはず。

使用する教科書や扱う題材が同じでも、授業者によって進め方は異なります。

もし「どのように授業を進めればいいか分からない!」と授業づくりや授業の進め方にお悩みであれば、まずは「授業の型」(授業の流れのパターン)をつくることから始めませんか?


「授業の型」をつくるとこんな効果が!

<生徒目線>
授業の流れがパターン化されると、次に何をするのか予測でき、目指すゴールに向けて自ら考え、活動に取り組むことができるようになります。

<教師目線>
日々の業務に追われていると、教材研究まで手が回らず、毎回の授業を一から組み立てるのは大変。慣れるまでは、歌唱ならこうする、鑑賞の場合はこうする、というように各領域の「型」に当てはめて授業を組み立てるようにすると、楽に授業準備ができます。


でも「授業の型」は人によって違うから…

残念ながらすべての教員にガチっと当てはまる「授業の型」はないので、自分で型をつくらなければいけません。

とは言っても「どうやって音楽の授業の型をつくればいいのか分からない」という方のために、中学校で音楽を教えていた経験を基に、授業づくりについてまとめてみました。


この記事では、【授業づくりのポイント】として、「音楽の授業の型」をつくるためのヒントや活動の具体例と授業をつくるための準備や留意事項、そして【授業の基本的な進め方】として私の実践例(特に気を付けていたこと)をご紹介します。

初めての音楽の授業の前や授業の進め方に悩んだときに役立てばいいなという思いで書いていますので、音楽の授業づくりの参考にしていただけたら嬉しいです。


以下はこの記事の概要です。

【この記事で分かること】
🎶「授業の型」をつくるためのヒント
0 授業の型の基本
1 「導入」について

(1)授業の始め方(授業の号令)
(2)目標(流れ)提示のタイミングと方法
(3)通年で行える活動例
2 「展開」について
(1)表現領域で行う活動例
(2)鑑賞領域で行う活動例
3 「まとめ」について
(1)3つの観点
(2)通年で行える活動例

🎶授業づくりのポイント
1 1時間分の授業をつくるための準備
(1)学習指導要領の熟読
(2)年間指導計画の作成
(3)題材計画の作成
(4)題材計画をもとに詳細決め→1時間分の授業完成!
2 授業をつくる際の留意事項
(1)目標の明確化
(2)発問の内容とタイミング、方法の検討
(3)教材(使用する曲)・教具の選び方

🎶私の授業実践例を紹介
(基本的な進め方と授業を行う際に気を付けていたこと)


※この記事は中学校の音楽の先生になる方向けです。私の経験を基に綴っていますので、全ての学校、先生に当てはまるとは限りません。


🎶「授業の型」をつくるための手引き

0 「授業の型」の基本

「授業の型」の基本は「導入→展開→まとめ」です。領域や題材によって活動内容や時間配分は異なりますが、だいたいの時間の目安は導入3~10分、展開30~40分、まとめ3~10分くらい。この基本を崩さず、「導入」「展開」「まとめ」の進め方を決めます。

ここからは、3項目の進め方について、具体例を挙げながら説明していきます。


1 「導入」について

授業で大事なのは「つかみ」。
いかに生徒を音楽の授業にひきつけ、これからの学習内容に興味をもたせるかが非常に大切です。
「導入」をしくじると、「展開」も「まとめ」もうまくいきません。まずは(1)授業をどう始め、(2)目標達成までの道のりをどう提示し、(3)どのような活動を行い学習内容に興味をもたせるかを考えると良いと思います。

(1)授業の始め方(授業の号令)
皆さんの所属する学校には授業の号令に関して学校あるいは学年全体で共通化されているルールがありますか?
ある場合は、そのルールに則って授業を始めなければいけません。(学校という場は、ある程度足並みを揃えることが求められるので)

もし学校で決めたルールがないのであれば、まずは授業を号令で始めるのか、それ以外の方法で始めるのかを決めます。

それぞれの場合の具体例を少し紹介します。

<号令で始める場合>
誰が 
学級委員 ・音楽係 ・号令係 ・先生
どのように
「起立・気を付け・礼」 ・「これから音楽の授業を始めます」
・ピアノで和音演奏

<号令以外の方法で始める場合>
どのような始め方でもよいのですが、授業と休み時間との切り替えができるよう工夫は必要です。
(例)
・チャイムが鳴ったらすぐに導入活動開始
・音楽室に来た生徒から順にピアノの周りで歌い始める。
・授業前から曲を流しておく。(評価には含めない)


(2)目標(流れ)提示のタイミングと方法
授業の目標や達成するための流れを生徒にいつ、どのように伝えるのか。授業の型によって効果的な方法、タイミングは違います。

下記はそれぞれの具体例です。

<目標(流れ)提示のタイミング例>
・授業が始まる前(事前に黒板に書いておくなど)
・号令のすぐ後
・導入活動の後(発声練習後や鑑賞後など)

<目標(流れ)提示の方法例>
・口頭で伝える
・配布プリントに記載しておく
・黒板やホワイトボードに記載する
・パワーポイントで表示する

※尚、この記事では、「目標」と記載していますが、「めあて」「ゴール」など言い方は様々です。学校で統一してある場合にはそちらを、そうでなければご自身が一番しっくりくる言い方で統一するのが良いと思います。


(3)通年で行える導入活動例
導入活動は、学習内容によって異なります。
ですが、1年間(または3年間)を通じて同じ活動を行うことも効果的なので、ここでは表現領域・鑑賞領域問わず行える、おすすめの導入活動例を紹介します。

<導入活動例>
・発声練習

歌唱時以外(鑑賞や器楽、創作)に行ってもよいと思います。
というのも、音楽の授業は週に1時間しかないので、歌唱以外の授業が続くと、次に歌うのは何か月後ということもあります。
本来は各領域に沿った導入活動を行うのが適切ですが、先生によっては毎回発声練習を行う人もいます。

(発声練習の方法について)
既習曲を歌うことで発声練習としても問題ないですが、発声練習を行うのであれば、その進め方もある程度型をつくっておくと良いです。

・リズム遊び
リズム打ちやリズムゲームです。
通年で行うことで、リズム感や拍・拍子に対する意識が高まります。
難点は、1年間ずっと同じゲームをするわけにはいかないので、定期的に内容を工夫する必要があることです。

・復習タイム
フラッシュカードを用いて、前時で学習したことや、これまでに学習した楽典の知識などを復習します。
知識を定着させるためには、この活動がおすすめです。題材のまとめ時に小テストを行っても良いですね。

・5分間ミュージック
毎回の授業の始め5分間に色々な曲を聴かせる活動です。
準備は大変ですが、その分生徒たちの音楽への興味・関心は高まります。



2 「展開」について

授業の要である「展開」では、教師の説明は端的に行い、「歌う」「演奏する」「つくる」「聴く」「観る」「話し合う」など、生徒がアクティブに活動する時間を多くとると良いです。

各領域の展開で行う活動をいくつか例として挙げてみます。

(1)表現領域で行う活動例
<歌唱>

・CD等の音源を用いた模範演奏の鑑賞
・音取り(教師の真似またはCD等の音源を使用)
・楽譜に出てくる音楽記号や速度、合唱形態等の確認
・曲がつくられた背景の理解
・歌詞理解
・歌詞や曲想を踏まえた表現(強弱や歌い方)の工夫
・パート練習やグループ練習、全体練習
・指揮者、伴奏者との練習
・歌唱や合唱に関しての意見交換

<器楽>
・CD等の音源を用いた模範演奏の鑑賞
・楽器の仕組みや特徴の確認
・奏法の確認(教師の模範またはDVD等の映像を使用)
・楽譜に出てくる音楽記号や速度、演奏形態等の確認
・演奏する曲がつくられた背景の理解
・楽器の音色や曲想を踏まえた表現(強弱や演奏の仕方)の工夫
・個人練習やパート練習、グループ練習や全体練習
・演奏についての意見交換

<創作>
・創作のテーマやルール、創作方法の確認
・使用楽器や演奏形態の選択
・創作活動(個人またはグループ)
・創作に対しての意見交換


(2)鑑賞領域で行う活動例
・鑑賞する際のポイント確認
・CDやDVD等の教材を用いて鑑賞
・鑑賞曲のジャンルや演奏形態の確認
・作詞者、作曲者についての確認
・時代背景や作曲意図の理解
・感受したことや気付いたことについての意見交換



3 「まとめ」について

授業内の「まとめ」には3つの観点があります。
単に「今日の授業楽しかった!」で終わらせないために、この観点を意識した「まとめ活動」を行うことが大切です。

その3つの観点とは、以下の通りです。

(1)3つの観点

①まとめ(授業で何を学んだか)
②振り返り(目標を達成できたか、学んだことに対してどう思ったか)
③課題想起(学んだことを次の時間やその他の活動、日常生活にどう活かしたいか)

具体的に言うと、例えば「拍子について理解する」というテーマで授業をした場合、生徒が以下のようにまとめてくれるのが理想的だと私は思います。

①まとめ
・拍子とは、拍と拍のつながりのこと。
・各拍子によって強拍と弱拍の位置が違う。
②振り返り
・強拍と弱拍の位置が違うだけで曲の雰囲気が変わることが分かった。
③課題想起
・次回の授業で「エーデルワイス」を歌う時には、いつもより強拍・弱拍・弱拍を意識して歌いたい。


(2)通年で行える活動例
授業の目標や内容によって「まとめ」の活動を変えても、1年間同じ「まとめ」方で定着させても、どちらでも良いと思います。

ここでは、例として、通年で行える活動例を紹介します。

<通年で行える活動例>
・各領域の「展開」活動を「まとめ」にする。
例えば歌唱授業の際、学習したことを生かしながら歌って終了!というように「展開」での活動をそのまま「まとめ」にするという方法です。
歌い切ったぞ!という達成感をもったまま、気持ちよく授業を終えられます。

・教師がまとめる。
「今日はこんなことを学習しました」と教師主導でまとめる方法。楽ではありますが、あまりにも受動的すぎるので私はあまり好きではありません。

・生徒に発言させる。
ペアもしくはパートごとやグループごとで話し合う時間を設けたり、全体の前で1人に発表させたりと、生徒自身の発言でまとめる方法。授業の目標と活動をしっかりリンクさせておかないと、期待する「まとめ」とは違う形でまとまってしまうことがあるので注意が必要です。

・プリント等に個々に記載させる。
授業内に扱ったプリントや振り返りカード等に記載させる方法です。生徒が授業の中でどのように感じ、どのように取り組んでいたかを見とることができます。
ただ、何のために書かせるのかを明確にしておかないと、「楽しかった」の一言で終わってしまう生徒が出てくるので、事前に「まとめ」の観点を提示するなどの配慮が必要です。


♪ ♪ ♪


さて、ここまで「授業の型」を決めるためのヒントや具体例を紹介してきました。「授業の型」が決まれば、どんな題材であれ、日々の授業は「型」にはめていくだけです。
とは言うものの「型」はあくまでも授業の枠組み。
具体的に何をするのかは各時間ごとに考えていかなければいけません。

というわけで、ここからは「授業づくりのポイント」をご紹介します。


♪ ♪ ♪


🎶授業づくりのポイント

○1時間分の授業をつくるために準備すること

(1)学習指導要領の熟読
学習指導要領とは、文部科学省が定めている教育課程の基準のことです。
当然のことですが、教科書は学習指導要領をもとに作られていますし、学習指導要領は全ての授業、学習活動の根拠となるものなので、学習指導要領を読まずに授業を行うことはできません。

昭和33年に定められて以来、10年に1度、社会のニーズや時代の変化に沿って改訂されている学習指導要領ですが、新学習指導要領は、「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間力等」の三つの柱に基づいて教科の目標・内容が整理されるなど、旧学習指導要領からの変更点が盛りだくさんです。


(2)年間指導計画の作成(多くは前年度に行う)
年間指導計画とは、各年度の指導目標や指導内容(指導方法)を具体化した計画のことです。
いつ、どのように学習活動を行うのか、そして、その学習活動を通して生徒にどうなってほしいのか、1年間の生徒の学習の様子を具体的に思い浮かべながら作成します。

年間指導計画の様式は各自治体(各学校)によって異なりますが、一般的な記載事項は題材名、題材目標、主な学習活動、指導時数、活動時期など。
その他に評価規準や評価方法、各教科等との関連などを記載する場合もあります。
各教科書会社のHPに掲載されている年間指導計画例を参考にしながら、勤務校の学校経営目標や全体計画、生徒の実態を踏まえ、多くの場合前年度末(1~2月頃)に次年度分を作成します。


(3)題材計画の作成
題材計画とは、その名の通り題材ごとの計画のこと。
題材目標を達成するために、どのような教材を用いて、どのような学習活動をどのくらいの時間をかけて行うのか、また、各時間において何を基準にどう評価するのかを計画します。
「前時の授業で学んだことを本時ではどのように活かすのか」ということを意識させることで、学びが分断されることなく、授業ごとにつながりをもたせることができます。最初のうちは毎日の授業をどう行うか考えるだけで頭がいっぱいになりそうですが、1時間の授業は題材計画の一部という意識をもって授業の計画を立てられるとよいと思います。

題材計画を立てる際に考えるべきことは以下の通りです。

・題材目標(=評価基準)
題材目標および評価規準は、年間指導計画作成時に設定することがほとんどなので、ここでは確認程度になりますが、どのレベルに達したらA、どこまでがBというような具体的な評価基準を決めていないのであれば、このタイミングでしっかり決めておく必要があります。

・使用する教材
目標を達成するために、どの教材を使用するか決め、教材研究や教科書の分析を行います。

・学習活動
目標を達成するために効果的な学習活動の内容を考えます。
生徒の実態(これまでの学習状況)と学校の実情(行事がある、地域との連携が必要等)を考慮しなければいけません。

・大まかな時間配分
1時間目に何をどこまでやるのか等、大まかな時間配分を決めます。
基本的に題材の1時間目は題材全体の導入、最後の時間は題材全体のまとめというイメージで、題材全体の流れを考えます。

・各時間の目標(評価)設定
例えば2時間扱いで「作曲者の意図を理解し、表現を工夫しよう」という題材を行うとした場合、1時間目には「作曲者の意図を理解すること」2時間目には「表現を工夫すること」というように、題材のゴールに向けて各時間で何を目標にするのかを決めます。


(4)題材計画をもとに詳細決め→1時間分の授業完成!
題材計画作成時に使用する教材や各時間の目標、大まかな活動内容は決めるので、あとは、詳細を詰め、自分の授業の型にはめれば1時間分の授業が完成します。

詳細とは、以下のようなことです。

・目標と流れ
題材計画作成時に設定してあるので確認程度でOKですが、前時の活動をふまえて修正したい箇所があれば、どんどん修正します。
(ただし、研究授業の際は事前に指導案を提出するので、大幅な修正は難しいです。)

・評価の具体的な方法
授業中の様子や、提出プリント、テストなど具体的な評価の材料と基準を決めます。

・活動の詳細と時間配分
合唱を練習するといっても、その練習方法は様々です。
どのような活動を行うのか具体的にイメージするとともに、プリントの記入時間は3分、パート練習は15分など、各活動の時間配分も決めます。

・教具
CDやDVD、楽譜等の準備をします。
教科書準拠のCD等を使用するのが一般的かと思いますが、世の中にはたくさんの演奏資料があるので、せっかくならおすすめの演奏をどんどん紹介して良いと思います。
私はカラヤン指揮の『ボレロ』や、ウィーン少年合唱団が歌う『赤とんぼ』など、補助資料として役立ちそうな演奏を授業の中に取り入れていました。

・発問
目標達成に導く発問を考えます。
授業内での先生の発言は思っている以上に大切で、発問の仕方や内容によって授業の方向性は大きく変わります。
なので、たった1つの発問であっても、じっくり言葉を選ぶ必要があると個人的には思います。



○授業をつくる際の留意事項

(1)目標の明確化
目標が明確でない授業は、生徒にとっても苦痛です。
題材終了後に生徒にどうなっていてほしいのかという目標が明確でなければ、生徒も何のために授業を受けているのか分かりません。
ゆえに、まずは授業の目標を明確にすることが大切です。
目標さえしっかり定まっていれば、それを達成するためにどのくらいの時間が必要で、どのような活動を行えばいいのかが自然と見えてくるでしょう。


(2)発問の内容とタイミング、方法の検討
発問には、目標に直結する「主発問」と、主発問につながる「補助発問」の2種類があります。
どのような発問をいつ、どのように生徒に投げかけるかによって、活動の充実度や学びの深さが変わります。

例えば、「魔王」の授業内において、曲を聴いて気が付いたことを生徒にまとめさせたいときの発問例を3つ挙げてみます。

A:曲を聴いて気が付いたことは何ですか。
B:1人4役を歌い分けるために、歌い手が工夫していたことは何ですか。
C:詩の内容を表現するために演奏者はどのような工夫をしていましたか。

Aは曲想や演奏形態など何でもOK
Bは歌い手の工夫に限定
Cは歌い手・ピアノ伴奏者どちらでも良いが、詩の内容との関連付けが必要
というように、各発問によって生徒に求める答えは異なります。

どのような発問が適切かは授業の目標次第ですので、目標とリンクさせた発問をすることが大切ですね。

また、上記の発問は曲を聴く前と聴いた後どちらに投げかけるのが適切でしょうか。
これも目標や発問の内容によって異なりますが、私は曲の鑑賞前に発問することが多かったです。
気づかせたいポイントを事前に明確にすることで、鑑賞中の生徒の意識はぐっと変わります。

さらに、口頭で伝えるのか、板書やプリント内での提示するのか、また口頭で伝える際にはどのようなトーンで話すのか等、発問の方法もいくつかありますので、どのような伝え方が適切かいろいろと試してみてください。


(3)教材(使用する曲)・教具の選び方
・教材について
教材(使用する曲)は目標達成のための道具の一つです。
極端な話、「曲に込められた作者の想いを考えながら鑑賞しよう」という題材の場合、扱う教材は「ブルタバ」でも「交響曲第5番ハ短調」でもいいわけです。
大事なのは、その教材を扱うことで、題材目標が達成できるかどうか
たいていは教科書に載っている教材を使用するので、どうしても教材ありきの授業になってしまいがちですが、「ブルタバ」教えるのではなく、「ブルタバ」教えるという意識が大事だと思います。

・教具について
鑑賞領域でCDとDVDを使い分けたり、表現領域でどの楽器を使用するか決めたり、必要あらば拡大楽譜を準備したり、授業で用いるさまざまな道具の必要性を考えます。
使用する教具によっては、手配に時間がかかったり、メンテナンスが必要だったりするので、早い段階で準備に取り組むと良いです。

例えば私は3学期に箏を使用した授業を行っていたので、2学期の後半から以下の教具を準備したり、点検したりしていました。

・箏(柱も含む)
・箏爪
・畳(床がフローリングだったので)
・奏法が分かる模範演奏DVD
・「六段の調」の模範演奏CD
・演奏曲の楽譜(個人用と拡大楽譜)
・プリント類

このように、1つの題材で準備しなければいけないことが非常に多いので、チェックリストやTODOリストを作るなどして、漏れのないようにしなければいけません。


♪ ♪ ♪


以上、1時間分の授業をつくるための準備と留意事項をご紹介しました。
ここまで長々とお伝えしてきましたが、正直、初めから自分のスタイルで授業できる人はいません。
最初のうちは誰かの真似から始め、様々な先生のやり方を吸収したり、生徒の様子をみたり、自分で試してみたりしながら、徐々に自分なりの「授業の型」を決めてくださいね。

最後に、私の実践例(授業の基本的な進め方と特に気を付けていたこと)をご紹介しますので、参考にしていただけたら嬉しいです。


♪ ♪ ♪


🎶私の授業実践例を紹介(授業の基本的な進め方と気を付けていたこと)

0 準備(授業開始10分前~3分前)

(1)前の授業の生徒対応
授業後の質問や相談、雑談などのために、生徒が集まってくるので、真摯に対応します。(ちょっとした積み重ねで信頼関係はより強固なものになっていきます!)
合唱コンクール前には指揮者や伴奏者に「ちょっと見てください」とお願いされるので、アドバイスすることもあります。


(2)次の授業の準備
前の授業の生徒たちと話している間に、次の授業の生徒がちらほら音楽室にやってくるので、気持ちを切り替えて、次の準備を行います。

 ・日付、本時の目標、本時の流れを板書する。
 ・授業で扱うプリント、CD、DVD等の教具を準備する
 ・振り返りカードを配布する。


(3)授業の雰囲気づくり
私は、授業開始3分前には自席に座っておくというルールを設定していました。
授業時間は目一杯活動に使いたかったので、チャイムが鳴るまでの3分間に以下のようなことを行っていたのです。

・振り返りカードに日付、本時の目標、本時の流れを記入させる。
・忘れ物チェック(本人に申告させる)
・授業に多少関係のある雑談
・既習曲の復習(ふいに伴奏を弾き始めると、生徒たちは歌います。)



1 導入

(1)挨拶
私は音楽係の号令の合図(「起立・気を付け・礼」)で挨拶をしていました。服装が乱れていたり、適当に礼をしていたり、顔を上げる前に座ろうとしていたりするような生徒がいれば、やり直しをさせていました。(学校全体で取り組んでいたことなので)
挨拶は休み時間と授業との切り替えになるので大切だと個人的には思います。


(2)本時の目標と流れの説明
本時の目標と流れは授業前に板書しておきました。(もちろん口頭でも説明します。)

イメージとしてはこんな感じです。

黒板の左3分の1に目標と流れを板書し、残りを本時の活動用板書スペースとします。

パート練習を行う際は、時間や練習場所、練習箇所、CDのトラック番号等を左側のスペースに板書しておくと親切かなと思います。

余談ですが、「本時の目標」と「本時の流れ」の見出しを毎回板書するのは面倒なので、マグネットシートに印刷したものを用意しておくと便利です。


(3)導入活動
前時の復習と発声練習(歌唱指導時のみ)を行います。
歌唱以外の授業の場合には発声練習や既習曲の歌唱は行いませんが、生徒が歌を忘れてしまわないよう、休み時間にしれっと既習曲を伴奏し、歌わせていました。(授業ではないので強制はしていません。)



2 展開

実技教科は動かしてなんぼですよね。
なので、表現領域の活動においては、説明は必要最低限にとどめ、なるべく活動量を増やすようにしていました。

私が展開時に特に気を付けていたことは3つです。

(1)指示は具体的かつ端的に、明確に!
例えば合唱授業においてパート練習の指示を出す際、「パートごとに『時の旅人』を練習しましょう。」ではなく、「これから10分間ソプラノは○○(練習場所)、アルトは○○、テノールは○○で『時の旅人』の「やさしい雨」~最後まで強弱に気を付けながらCDに合わせて練習しましょう」というように、「いつ」「どこで」「何を」「どのように」行うのか明確に指示するようにしていました。
何をすればいいか分からない状態をつくらないことが大切だと思っていたからです。


(2)教師主導になりすぎない!
ある程度授業の方向性は教師が決めますが、生徒がまるで自分たちで課題解決の糸口を見つけたかのよう裏で操ることが理想でした。
例えば歌唱指導において「こう歌いましょう」と教師が言うのはナンセンスだと思っています。
「クレッシェンド」の記号ひとつとっても何らかの作者の意図があるので、単純に「クレッシェンドして」と指示するのではなく、「なぜクレッシェンド?」「もしデクレッシェンドだったらどうなる?」と考えさせたり試行錯誤させたりしながら歌わせるようにしていました。


(3)生徒の素直な反応は逃さない!
例えば、鑑賞指導において「なんだか小さくタンタンって聴こえる」と生徒がぼそっと言えば、すかさず「よく気付いたね、実はね・・・」と生徒の発言から話を広げています。
こうして生徒たちを巻き込むようすると、生徒主体の授業になっていくのかなと思います。



3 まとめ

授業のまとめと次時の予告を行います。
授業の最初に示した目標を達成できたか確認し、次回の授業へ意欲をもたせる時間です。(私は生徒自身にまとめさせたいので、毎回振り返りカードを書かせていました。)

振り返りカードを提出させ、きっちり挨拶をして授業終了としていて、「ありがとうございました~」と言いながら生徒が動き出すのはNGとしていて、できていなければやり直しをさせていました。(学校全体の取組です)

おかげで、最後まで緊張感を保てていたかな?とは思います。


♪ ♪ ♪

私の実践を基にした、授業の基本的な進め方は以上です。

各題材ごとの授業例(進め方やワークシート等)はそれぞれ記事にしていますので、よければ合わせてご覧ください。

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というわけで、この記事では授業の基本的な進め方や授業づくりのポイントをご紹介しました。

少しでも皆さんの授業づくりや授業準備のお役に立てていれば幸いです。


最後までご覧いただきありがとうございました。

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