お母さん
母の人生について最近考えてしまう。
母は20歳頃からうつ病だったらしく
おそらく40代の頃には統合失調症を発症していて
64歳で亡くなるまでの間ずっとずっと精神を病んでいた。
人生の3分の2以上を病んだ精神で生きてきた彼女は幸せだと思う瞬間がどれほどあったんだろうか?
私が25歳の頃から本格的な介護生活が始まった。
統合失調症は陰性症状が進むと認知症とほぼ同じ状態になり、要介護3の認定を受けた。
周囲の人間には認知症で通していた。
統合失調症なんて普通の人は知らないから、1から説明をするのも面倒で、何より凄く疲弊していた。
それまでの陽性症状がバリバリの時期の方がずっと大変だったから、もう今となってはいつから発症していたのは分からないけど、私が小学校低学年の頃には意味不明な事で罵倒された記憶が残っているので、あの頃には発症していたんだろうな。
かといって陰性症状が介護者にとって楽かと言うと全くそうではなく、四六時中徘徊するわ、路上で草食べるわ、路上で糞尿垂れ流しするわ、冷蔵庫の中の物は生魚でも食べ尽くすわetc…で本当に目が離せない状態になってしまった。
徘徊で何度も警察に保護されてその度迎えに行かなければいけなかったし、何より姉との相性が最悪だったのだ。
姉は知的障害だ。その上精神も情緒もイカれてる。しょうがない、全く療育してこないまま障害を認めず放置してきたのだから。
善悪の区別もつかない、最低限の倫理観もないモンスターが出来上がってしまったのだ。
姉は昔、母に頭から熱湯を何度もぶっかけて全身大火傷を負わせて半殺しにしかけた事がある。
その時でも何が悪いのかよく分かっていない様な人間だった。
思い通りにならないとすぐに手が出て叫びまくる。
よく障害者は純粋だと発言する何も分かってない人間が巷にたくさんいるが、違う。
障害者は獣に近い。人間よりも。
これはダメだと教えても理解ができない。
犬のしつけの様にこれが出来たら餌が貰える、これをしたら叱られる、レベルなら多少出来る程度なのだ私の姉は。
※個人差あります障害者全員がそうではない
精神が不安定な母親と
精神が未発達な姉
そして私は多分情緒がおかしい。
姉が母を誰も見てない所でストレス発散で何度も叩きつけている場面を見てから本当に目が離せない日々が続いた。
父に訴えても、仕方ない、オカンも昔姉を叩いていたんだから、その報いだ、と
とんでもない発言をかまされ、どこまでもこの男は保守的でそして姉のことが可愛いんだなと打ちのめされた。
私は母が凄く好きで凄く嫌だった。
認知症状態でトイレもお風呂も着替えも自分ですることが出来なくて、優ちゃん、優ちゃん、て子供のように甘えて頼ってくれる所が凄く可愛くて大好きだった。
おむつでかぶれないようにベビーパウダーをふったり、肌が弱い母の為にお風呂上がり薬やクリームを塗る時間がとても好きだった。
きっと私が小さい頃、母が私にしてくれていた事を今私が母にしているんだと思うと嬉しかった。
子供を産まない、と子供の頃に固く誓った私に
子育てを経験させてくれてるんだとまで思えた。
だけど徘徊や病院で暴れたり他人に迷惑をかける所は凄く嫌だったし、何よりこんなに一生懸命介護してお世話している私よりも、姉の方が可愛いんだと思わされる瞬間がちらほらあって、その度に打ちのめされた。
何をどう頑張っても1番には愛されない、報われない事に。
そういう愛情飢餓感はもう一生埋められない。
お母さんともっと話をしたかった。
もっともっと、色んな事を聞きたかった。
私は貴女の事、尊敬は出来ないし
貴女みたいにはなりたくないって
今でも強く思うくらい
酷い娘だけど
貴女の娘に生まれて良かったって思ってるよ。
声に出して伝えたかった。
私を産んだ事が
少しでも貴女の幸せであったなら
生まれてきた価値が
私にもあるよね、きっと。
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