ほろっとパリっとクロワッサン

 ほろっとはがれる生地の層を口に入れる。いつもどおりさくさくだ。いつも、パリのマダムよろしくカフェオレに浸して食べてみたいと思うのだが、パリっ、サクっの食感を楽しんでいるうちに食べ終えてしまって経験できていない。
 ブールアンジュ東京ドームミーツポート店では、クロワッサンの種類も豊富だ。チョコやピスタチオ、カシスといったクロワッサンそのもののバージョンのほか、具を入れたクロワッサンサンドも置いてある。だが、まずはバターの香りがただよい、噛めば外側の層がほろっとくずれてくる歯ざわりを大事にするなら、プレーンが一番だ。
 昨年8月まで6年半の間、毎日水道橋に来ていた。ハードな仕事だったため、自然にかかりつけのクリニックや整体院ができた。いまでは、そのとき働いていたビルは取り壊されてしまったが、それでも毎週、身体のメンテナンスにここまで足を運んでくる。
 完全在宅フリーランスとなった現在は、あまり外出の機会がない。自然と週1回の水道橋ランチを楽しみにするようになった。だがこの店を知ってからは決まってここのパンを持ち帰り、自宅でランチをとっている。そのためにクリニックや整体院の時間帯をずらしたくらい、気に入っている店なのである。
 なんといってもクロワッサンがNo.1ではあるが、「これは明日のお昼の分」と自分に言い訳をして、ベーコンエピ、クロワッサンコルネ、スコーンのどれか、クイニーアマンの5つは必ずトレイに載せてしまう。おやつ用として、レジカウンター前のタルトを追加するのもいつものことだ。
 こうして、パンとタルトを7~8個抱えたわたしは、1時間かかる自宅まで心もそぞろに飛んで帰り、紅茶を淹れて「今日の幸せ」を文字通り噛みしめている。
 実はブールアンジュには、テラス席のカフェも併設されている。ここでカフェオレとクロワッサンをためしてみたいが、真冬でも客でいっぱいだ。だが諦めてはいない。どんな人気店であってもしょっちゅう通っていれば、席が空いているときにぶつかることが必ずあるはず。
 この店を発見して毎週通うようになってから、まだ3か月しか経っていない。きっとチャンスはある。そう信じて毎週通い続けよう。そして、そのときはきっと、カフェオレにクロワッサンを浸して新しい味を発見したい。

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