新聞の日付ミスに思う~現場をオンライン見学してみたい

一面題字の横の日付が違う

 昨日、つまり5月19日に、ある地方紙で朝刊の日付ミスがあった。一面で「新聞名」の題字の横にあるサイズの大きい文字だ。本来5/19とすべき箇所が4/19になっていた。
 締め切りが厳しい新聞の世界。誤植をゼロにするのはほんとうに困難だろう。想像してみるだけで、時間との戦いが勝負の現場だということがわかる。
 胃がぎゅうっと縮むプレッシャーのなかで、記事の内容を一言一句確かめ(ファクトチェックをして)、誤字・脱字も拾うというのは相当に訓練した人であってもきついはず。
 そんな新聞で、「大きい文字を見落とす」誤植があった。発行日の日付である。

ヒューマンエラーはゼロにはならない

 校閲者の分担がきっちり決まっているであろう現場では、ふつうなら考えられないミスである。だが、ヒューマンエラーをゼロにすることはできない。どんなミスだって起こり得るのだ。それを改めて知る一件となった。
 人間はミスをする。訓練された校閲者から成るチームが分担制を敷き、さらに一面の右上という、何人もが目を通す箇所であっても、「非盲目性」による重大な間違いは起こり得るのだ。
 ほんらいは「5日」とすべき日付のが「4」となっている。下に記された曜日と六曜は合っている。単純に「5」とすべき数字を「4」と入力してしまったか、前日のパターンを使って日付を上書きするのを失念したのだろう。
 本件を報じた朝日新聞には、「新聞14紙を購読して読み比べが趣味」という芸人、プチ鹿島さんのコメントも載っていた。読んでみたが、知り合いに「同紙(現物)を確認してもらって、ほんとうに間違いであることを確認した」とあるだけで新情報は得られなかった。

新聞校閲見学オンラインツアーがあったらなぁ

 本件は、媒体が新聞であるだけに、恐ろしさだけが際立つ誤植である。
 この一件から自分の学びを得たい。
 締め切り時間が迫ってくる中、張り詰めた緊張感で校正紙に向かう校閲記者チームの様子を少しでも見ることができれば、自分の仕事(出版物・産業文書の翻訳校閲・校閲)にも必ず役立つと思う。
 「校閲講座」を売りとしており、わたしの翻訳校閲セミナーも開催してくれる毎日文化センターでは、オンラインで「新聞校閲講座」を主催している。このほど「校閲力講座」も開講しており、シリーズ化する予定とのこと。新しい企画に意欲的なのだろう。
 次は、新聞現場の校正・校閲を垣間見ることのできる「オンライン校閲見学ツアー」をお願いできないだろうか。校閲者なら誰でも興味あるはずだから、参加者もそこそこ集まるはずである。ぜひ企画していただきたい。

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