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 トップ画像の卵、白身までも木彫りなのだ。透明なのに木彫り? えっ、どういうこと……? だがここ、大丸東京店で開催されている「キボリノコンノ展」では、ほかにも溶けかけの氷、味のり、コーヒー、イチゴゼリーといった「透明な木彫り」が展示されている。
 いったいどうやって透明感を木で表現しているのだろう。
 実は肉眼でよく見ると、木の塊だなぁとわかる。それなのに、写真に撮ると透明にしか見えないのだ。トリッキーさがまた面白い。
 こうした「透明」もよいが、焼き菓子好きのわたしが一番驚いたのは、ヨックモックの「シガール」だ。SNS投稿が話題となってヨックモック社長の目に留まり、なんとヨックモック青山本店の売店入り口にディスプレイされていた作品。絶対に見てみたいと思っていた作品が、いま目の前にある。
 ショーケースに入っていたが、4倍のギャラリースコープを持っていったので、焦点を合わせてじっくり眺めてみた。
 焼けた生地に無数にあいている穴、くるっと巻いた生地のつなぎ目。スコープでじっくり見ても、シガールそのものだ。とくに、生地を丸めたはじっこの質感(一番美味しいところ!)は、生地を伸ばした「はじっこ」の輪郭といい、焼き色の強さといい、ほんものにしか見えない。紅茶を入れておやつタイムにしたくなる。
 会場をぐるっと一周したところで、出口の少し手前に、2問の「間違い探しクイズ」もあった。
 1問目は、ピーナッツ、アーモンド、ジャイアントコーン等の6つのナッツのなかから「ニセモノ(木彫り作品)」を見つける問題。
 ギャラリースコープを使って文字通り四方八方からよーく見ると……わかった。このナッツの殻がなんとなく「木」の感じがする。やった、正解! だがこちらは初心者向けらしい。
 もう1つは難問だ。6つの石のから「木彫り」を探すというミッション。これもスコープをつかってよくよく見たが、色も質感もすべてが石にしか見えず、全然わからない。人がいなくなったタイミングでまた戻ってきて見てみて……を何度も繰り返した。だが、やっぱりわからない。
 ギブアップして解答を見たら、石だとはまったく疑っていなかった番号の「石」が、じつは「木彫りの作品」であった。うそ! うそでしょ! とスコープでもう一度見たが、やっぱり石にしか見えない。うーん……。まさに脳が錯覚を起こしている。SNSでは何度も見てきたが、これが実物だけが持つ存在感なのだろう。
 間違い探しと言えば、キボリノコンノ氏はこの8月に初の作品集である著書『キボリアル』を上梓した。現在進行中の次の本は、会場のクイズのような「間違い探し」になるらしい。
 ということは、時々SNSで展開されていた「このなかから木彫りを探してね!」のクイズが1冊丸ごと展開された本になりそうだ。楽しみ! さて、最後はお楽しみのグッズ購入だ。ポストカードにしようと決めてどれにしようかさんざん迷った。まず代表作であろう「のび~るチーズトースト」、次に透明さを表す作品群のなかから「注がれるコーヒー」を手に取った。そして、焼き菓子好きとしては外せない、「ホットケーキ」と「かじられたたい焼き」を選ぶ。
 ホットケーキは蜜の部分が透明で、生地の部分はプツプツと穴が空いていて「おいしそう」。すでにかじられてアンコが見えているたいやきも、皮のぱりぱり部分に今すぐかじりつきたくなる。
 次に「不思議」がほしくなったとき、このポストカードアルバムをめくればよい。4枚の「不思議」が脳を別世界に連れて行ってくれる。

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