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【序章】トップアスリートの事例 〜プロの選手も、1人の悩める人間〜

信じ抜く力〜武器としてのスポーツ心理学〜

【序章】を掲載します。
これはKindle出版オーディション前からある程度形にしていたもので、出版刊行時にひっそりと初お披露目の予定でしたが、マガジンそのものを一つの書籍の様なものにすればいいのかなと思い公開します!

【序章】
〜トップアスリートの事例〜
プロの選手も、1人の悩める人間


「今から部屋行っても良いですか?
…相談したいことがありましてm(_ _)m」



試合で地方に遠征中のある夜、滞在先のホテルでチーム全員で夕食を済ませた後、僕にこんなLINEをくれた選手がいた。



彼は全日本にも選ばれた経歴のある選手であり、文字通り、トップアスリートである。



僕は、バレーボールのトップリーグであるこのチームでマネージャーをしながら、『メンタルアドバイザー』という肩書きでチームに関わっていた。



そんな僕に、彼は意を決して相談をしてくれたのであった。



僕の部屋に来た彼は、沈痛な面持ちで椅子に腰掛けると、抱えていた不安を苦しそうに少しづつ吐き出していった。。。



一通り彼の話を聴き、私が感じたことや思ったことを伝え、話が深まっていって…ふと気付くと2時間くらい経っていた。



濃密な2時間を経て彼は、肩の荷が少し軽くなった様で、前向きな言葉を口にして部屋を後にした。



以降、毎週2回、試合前に遠征先で話すのがルーティンとなり、結果彼はこれまでのシーズンで最高と言っても過言ではない程のパフォーマンスを発揮することが出来た。


⭐︎⭐︎⭐︎


さて、この話を最初に持ってきたのは、僕が何か特別すごいことをしたのだと自慢するためではもちろんありません。


この本を手に取ってくれたあなたに、ここで伝えたいのは2つ。

①トップアスリートは特別な人、ではない

1つは、トップアスリートでさえ、自分のパフォーマンスが発揮出来ないことに不安になり、押し潰されそうになることがあるということ。


むしろそうした戦いに常に晒され、それでもなんとか踏みとどまって、選手として活躍しているのだということを知ってもらいたいのです。


あなたがもし、試合や大切な場面で力が発揮できないと悩み、不安になっていたとしても、それは決してあなたが「弱い」からでも、「ダメなやつだから」でもないということを、知って欲しいのです。


誰もが羨むようなトップアスリートの抱えている課題も、あなたが直面している壁やさいなまれている不安も同じです。優劣はありません。同じように、乗り越えられる課題であり、克服出来るものなのです。


②学ぶべきは取り組みの姿勢


2つ目は、彼の姿勢から、学んで欲しいことがある、ということです。


日本代表を経験していても、競技の経歴が長くてもそれに驕らず、自分の不安や課題に真摯に向き合い、それを克服する為に愚直に行動することが出来る。


これこそが、何より素晴らしい姿勢だと思います。



僕はチーム内では、普段基本的に、マネージャーとしての役割を担っています。選手とも、その様に関わっています。



スポーツ心理学や心理学全般の知識や知見は、押し売りするものではありません。



なので、僕から選手にアプローチすることは殆どありませんし、むしろあえてしない様にしています。



それはやはり根底に、心理学的な知見は

「自ら必要だと本気で自覚し、自らを本気で高めようとしない限り、頭で知識として理解してもなんの意味もない」


という考えがあるからです。


なので多くの選手にとって僕は、単なるマネージャーです。



しかし、彼にとっては、

「自分を高めてくれる存在」

となったのです。



彼が自ら行動しなければ、この変化や結果は得られなかったでしょう。



また、僕から彼にアドバイスを押し売りに行っていたとしたら、同様に良い変化はもたらせなかったと思います。



よって、この本を読んでくれているあなたも、ただなんとなく読むのではなく、彼と同じ様に「自分を高める」と心に誓って、積極的に読み込んで欲しいなと思います。

その姿勢はきっと、スポーツをすることだけではなく、すべてのことに繋がっていく。そして、あなたの人生をより良くしてくれることでしょう。

この本を読んで、「自分を信じ抜く力」を高めて下さい。


あなたを強くするためのヒントを、僕は提示出来るかもしれません。
でも、あなたを強くするのは、あなた自身です。
あなたを信じ抜くのは、あなた自身です。

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