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自分のための読書 エピソード・0.5 「紙の本 VS 電子書籍」

前回の投稿に続き、うっとうしい題名をつけてしまったが、一度これをまとめて書いておきたかった。

それは

紙の本 VS 電子書籍

である。

日本での電子書籍の普及具合は低いらしい。数字はきちんと調べてないが、中韓と比べてもかなり低いそうだ。
その大きな理由は価格だろう。出版・印刷会社の利権問題も当然あるだろうが…。
同じ本でも、紙媒体と電子媒体での価格がほとんど同じだから、Kindleなどの電子書籍リーダーの価格を回収するのにかなりの冊数を読むことが必要になる。
ただ、日本の家は狭小で本を置くスペースが限られていることを考え、かつ本棚代金分を電子書籍リーダーに置き換えたと思えば、そうも高くない気はする…。
それに、高齢者にとっては、文字を大きくして読めることも大きなメリットになるだろうと思う。

フランスは、日本よりも普及していないように感じられるし、実際、2018年の調査では販売額・数量の9割以上が紙媒体の本だったそうだ。それでも電子書籍のシェアは、ごく微量ではあるが少しずつ増えてきているらしい。
フランスの家は日本のよりもやや大きいから本を置く場所にあまり困らないし、むしろ本棚をしっかりと設置して読んだ本をとっておきたい文化もある。
「Salon du Livre」(本市、と訳したらいいだろうか)は、パリのものが一番有名だが、フランス各地で行われ、ありとあらゆるジャンルの、いろいろな装丁の本が販売される。
古いもの・アンティーク好きなお国柄なので、古書に対する関心も高く、古くなった紙のにおいを嗅ぎながらページをめくっていくという「触覚的な好み」もある。
そして、「自分の本棚にどんな本が並んでいるのか」、はある種の教養の指標であると黙認されてさえいると思われる。
ワインと同様、どんな本を読むのかはその人の人格の表れとでも言わんばかりである。

余談だが、コロナの時代になり、テレビでは、スタジオからではなく自宅からのリモートインタビューが多くなったが、
その時もけっこうな数の人が自分の本棚の前でインタービューを受けている。
これを私はひっそりと「フランスっぽいなw」とか思って見ている。

さて、この話題を私自身に向けてみよう。

私は「紙の本派」であるのは間違いない。
ただ、今まで何度も引越しを繰り返してきて、「断捨離」をし、たくさんの紙媒体のものを取捨選択してきた。
捨てる時の罪悪感は、仕方ないとはいえ、正直苦しい。

そして、「いつか捨てる可能性が高い本」を、これからも買い続けるのか?と自分に問う。

いや、もうそんなことはしたくない。
これから「紙」の本を買うなら、ずっと、それこそ一生、買ったことを後悔しないものが良い。
じゃぁ何を選ぼう?
「選ぶ」?違うな、むしろ、「何を選ばないべき」なのかを考えた方が良いのかもしれない。

そう考えた時、まず思い浮かんだのが漫画。買うこと自体は全く否定しないが、電子書籍で十分である。紙ではもう買わない。
それから需要が一過性の雑誌。例えばファッション誌や料理雑誌。これも電子書籍で十分だし、これだけファッション情報もレシピ情報も無料であふれている時代に、こういう雑誌を買う意味が薄れてきたように思える(少なくとも私にとっては)。
それから広い意味で、「娯楽」に分類される小説。楽しむのは大切だが、正直、二度と読み返すことは無いだろうという本も多い。この辺もこれからは電子書籍にしよう。
ビジネス書も、、、電子書籍にしよう。日々変化していく内容を扱っているし、時流に合わせているから「一過性」の部類に入ると思われる。

残りは何があるだろう。

芸術性が高く、廃れない文学作品。
世の中がどんなに変わっても、変わらない基本的価値観を説いた哲学書籍。
自伝、歴史書、社会学、経済学、政治学…。

なんというか、「書物」と呼ぶにふさわしいものばかりである。
私は「書物」という言葉には、時代を超えて普遍的に受け継がれるものという定義を感じているのだが、そうか、「書物」と呼べるものが、私がきっと一生本棚に置いておきたい本の部類なんだろう。
それにこそリアルな「実物」としての紙媒体の本が相応しく、本棚に置いておきたい・買ったことを後悔しないという希望に合致すると思う。

いつかPsycho-Passや1984年の世界のように、「発禁本」なんかに指定されても、紙の本ならどこかで生き残る可能性もあるし、とか、けっこう現実味を帯びてきた「仮想未来」を考えてみたりもする。

これからは自分が選んだ「書物」で本棚を埋めていこう。

いつかデジタルで読んだものでも、それが漫画であれ、自分にとっては重要と感じたら紙のものを買うかもしれない。(私はけっこう漫画・アニメ好きでもある)
断定を避けたい私はこういう余地も…ちょっと残しておく。

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