八尺瓊勾玉の破壊力

小4兄と小1弟は遊びのような、ケンカのような、じゃれあいを毎日おこなう。おだやかに遊び始めたと思ったときでも、最後には戦いごっこになっていることが多く、どこかで仕入れてきたワザの名前を叫び合って対戦している。

「とぅりゃっ!ヤサカニノマガタマ!!」
「えいっ!アマノムラクモ!!」

どうも聞き覚えのある難しい名前を叫ぶものだなあと思っていたら、三種の神器のそれだった。彼らの読む漫画のキャラクターが使うワザの名前だそうだ。
「八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)」
「天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)」
「八咫鏡(やたのかがみ)」

八尺瓊勾玉と八咫鏡は天照大神(あまてらすおおみかみ)が岩戸に隠れたときに、神々が岩の前で祭りを行ったときに飾られていたという。天叢雲剣は草薙剣と呼ばれ、須佐之男命(スサノオノミコト)がヤマタノオロチを倒したときに尻尾から出てきた剣だ。

天照大神のことも須佐之男命のことも、いざなぎといざなみのことも、大国主命のことも、長男は調べ済みとのこと。あれ学校でそこまで習ったかしらと思って話を進めていると、どうやら学校で古事記をさらっと習ったのと、漫画と、図書館の本で日本の神話に関する知識をもりもりと増やし中らしい。興味の赴くままに知のなかを泳いでいてとても良いな。

母はいままでバラバラに見聞きしていた古事記や日本書紀について、きちんと読んでみようと本を手に入れた。ビギナー用を選んで正解だった。神様の名前がたくさん出てきて覚えきらないけれど、現代語も多く入っていて助かる。長男はどうやって名前や流れをスラスラと頭に入れ、それを出し入れできるのだろう。

三種の神器は本当にこの世に存在していて、天皇陛下が持っていらっしゃるのだよと言ったら兄弟は「!?!?」となった。伝説と現実の混在に興奮しておしゃべりが止まらなくなり、今朝は遅刻ギリギリだった。

あの「!?」となったときの彼らの目の輝きはおぼえておかなくてはと感じた。

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