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シャノアール、ありがとう、さみしいよ。
シャノアールが全国から姿を消した。
物語が毎日頭の中にあふれてきた時期があって、よくシャノアールで小話を書き留めてた。混みすぎず、広い座席で、ウエイターの方々もゆったりしていて、追い出される感じもなく、人感をほんのり感じながら集中することができた。朝8時頃から夜22時くらいまで営業していたので、仕事前やあとによく立ち寄った。価格設定と客層を選ばないノーブルな雰囲気がそうさせるのか、老若男女問わずジャンルレスな人びとが出入りしていた。そしてそこではいくつものドラマが繰り広げられていた。あるときは何かの契約をする人がいて、あるときは占い師と若い女性が真剣な顔で向き合って、あるときは別れ話風のカップルがいて、あるときは一流企業の人の名刺が落ちていて、またあるときは私と同じように集中して何かを書いている人もいた。わたしはいくつか公募に応募したんだけどひっかからなかったな。
20代、会社をいったん辞めて次の会社を探そうと、同時期に辞めた友人とよく集った。読売新聞と朝日新聞と赤ペンを持ち寄って、日曜版に掲載されるマスコミ系求人欄を見ながら未来の話をした。何にもない私たちだったけど、何かができる気がしてた。
その友人からURLだけがぽろっと送られてきて、シャノアールが全部なくなっちゃうことを知った。彼女とはいま、お互いフリーランスで一緒に仕事をしている。
シャノアールは夢をえがいた場所であり「あたしたちきっとなんかできる」のメタファーみたいな場所だった。だからとてもさみしい。でも、とってもありがとう。
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