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ファーウェイの「5Gデターミニスティック・ネットワーク」と「エッジコンピューティング」

『戦略をアップデートする』は、競争戦略コンサルタントとしてGAFA×BATH等の米中メガテック企業をはじめ国内外トップ企業の動向をフォローしている田中道昭が、日々行っているこれら企業へのリサーチの中から、その内容をnoteでシェアするものです。

今日の『戦略をアップデートする』は、31回目に続いてファーウェイの5Gです。

ファーウェイは、2020年9月2日、「Huawei Deterministic Networking Oriented 5G MEC Solution Awarded Best Edge Computing at the 5G World Summit(ファーウェイのデターミニスティック・ネットワーキング・オリエンテッド 5G MECソリューションが5Gワールドサミットで「ベスト・エッジコンピューティング」アワードを取得)」とプレスリリースしました。

5Gワールドサミットとは、9月1~3日にロンドンで開催された、世界の通信キャリアや関連機器メーカーなどが参加した5Gのコンベンションです。

記事は、5Gワールドサミットでのファーウェイによるエッジコンピューティングのアワード取得を紹介しています。ただ、ファーウェイが同コンベンションの最高位スポンサーである点は、差っ引いて捉える必要があろうかと思います。

ここで注目したいのは、ファーウェイの5Gデターミニスティック・ネットワーキングとMEC(マルチアクセス・エッジコンピューティング)です。

デターミニスティック(Deterministic)とは「確定的」という意味。超高信頼・極低遅延通信を実現するために、つまりデバイスとクラウドの間の伝播遅延をできるだけ短くするために、デバイスが点在するネットワークのエッジ(端)でコンピューティングを実行するのが、エッジコンピューティングです。超高信頼・極低遅延通信は、デバイスから宛先ノードまで信号を伝達するにあたっての伝播遅延時間が確定するという意味で、デターミニスティックということです。

デターミニスティック・ネットワーキング(DN)能力は5Gのアプリケーションを開発するうえでのカギですが、ファーウェイは業界で初めてデターミニスティック・ネットワーキング(DN)のアイデアを提案したと言われています。ファーウェイは、2019年に「5G デターミニスティック・ネットワーキング・アライアンス」を立ち上げ、今年2月にはチャイナモバイルやチャイナテレコムらとともに「5GDN産業白書(5GDN Industry White Paper)」を発表しています。同白書では、5GDNの定義、5GDNの事業展開のステップ、「5GDN@Smart Grid」(2020年9月2日付けプレスリリース参照)や「5GDN@Smart Manufacturing」といったアプリケーションやその事例などが初めて紹介されました。

ファーウェイは、5Gコアネットワークで進む分散化では、MEC(マルチアクセス・エッジコンピューティング)のテクノロジーをカギと位置付けています(動画参照)。

ファーウェイは、「5GDN+MEC」によって、中国主要キャリアとともに、5Gインフラだけでなく産業アプリケーションも具体的に視野に入れた5Gの戦略展開をしています。

田中道昭

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