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フェイスブックがデータポータビリティに関する公式コメントをFTCへ提出

『戦略をアップデートする』は、競争戦略コンサルタントとしてGAFA×BATH等の米中メガテック企業をはじめ国内外トップ企業の動向をフォローしている田中道昭が、日々行っているこれら企業へのリサーチの中から、その内容をnoteでシェアするものです。

今日の『戦略をアップデートする』のテーマは、フェイスブックのデータポータビリティです。

フェイスブックは、2020年8月20日、ニュースルームに「Facebook Files Official Comments on Data Portability with Federal Trade Commission(フェイスブックはデータポータビリティに関する公式コメントを連邦取引委員会(FTC)に提出)」という記事をアップしました。

フェイスブックが提出した公式コメントとは、連邦取引委員会(FTC)が9月22日に開催する予定の「データポータビリティに関するワークショップ」に先立って提出されたものです。フェイスブックは、「ユーザーの個人データは、彼らが望むアプリやサービスとシェアされるべき」として、データポータビリティを支持しています。

データポータビリティとは、個人データをプラットフォーマー間や事業者間で移動させられるようにする権利です。例えば、アップルのiCloudに保存されているAさんの個人データを、グーグルのクラウドにあるAさんのアカウントにそのまま移動するようなケースです。欧州のGDPR(一般データ保護規則)やCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)では、すでに、このデータポータビリティ権が定められており、現在米国の連邦レベルで、日本の公正取引委員会に相当する連邦取引委員会(FTC)によって、その法制化が検討されています。

フェイスブックは、実際に今年4月、データポータビリティ・サービスを開始、まず「Googleフォト」との間でフェイスブックの写真と動画を移動させることができるようにしています(現時点では米国・カナダのみ)。

データポータビリティ権の保障は、プラットフォーマーによる個人データ独占の阻止への方策になる可能性がある一方で、広く行動履歴や位置情報、購買履歴、検索・閲覧履歴や視聴履歴といった個人情報の移動という点では、セキュリティやプライバシー保護にかかわる管理も課題となってきます。

田中道昭

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