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センスタイムのAI画像認証テクノロジーを活用した”SenseCare”肝臓・心臓AIソリューション

『戦略をアップデートする』は、競争戦略コンサルタントとしてGAFA×BATH等の米中メガテック企業をはじめ国内外トップ企業の動向をフォローしている田中道昭が、日々行っているこれら企業へのリサーチの中から、その内容をnoteでシェアするものです。

今日の『戦略をアップデートする』で取り上げる企業は、中国のセンスタイム(Sencetime)です。2014年に設立されたセンスタイムは北京、上海、深セン、杭州、香港などに拠点を持ち、「より良い明日のためのAI(AI for a Better Tomorrow )」というミッションを掲げるAI画像認証に強みを持つ企業です。

センスタイムは、2020年11月17日、ニュースルームのサイトに「SenseTime Achieves New Healthcare Breakthroughs with SenseCare Liver and Cardiac AI Solutions to Enable Faster and Improved Clinical Workflow(センスタイムは、”SenseCare”肝臓・心臓AIソリューションによってヘルスケアに革新をもたらし、より迅速で改善された臨床ワークフローを可能に)」という記事をアップしました。

記事によれば、センスタイムは、中国放射線医学会議でセンスタイム独自ののAIテクノロジーを活用した”SenseCare”肝臓・心臓スマート臨床ソリューションを発表、このソリューションによって造影剤増強肝臓CT画像と冠状動脈コンピューター断層撮影血管造影(CTA)画像の解析を支援、病変の位置を特定し、定量的・定性的なデータを提供することで医師の診断を容易にするとしています。このソリューションで肝臓、腫瘍、血管などのリアルタイム3Dレンダリングが可能になり、3D作成にかかる時間が1時間から1分未満に短縮、これにより医師の術前ワークフローが改善されるとしています。

第45回で「AI×音声認識」のアイフライテックを取り上げましたが、中国では、2017年に「次世代人工知能発展計画」が策定され、2030年には160兆円以上のAI市場を創造するという目標が掲げられています。現在AI国策事業が強力に進められていますが、アリババが「AI×都市計画」、テンセントが「AI×医療映像」、バイドゥが「AI×自動運転」、アイフライテックが「AI×音声認識」、そしてセンスタイムが「AI×顔認証」の領域を担当しています。

一方で、センスタイムは、2019年10月の時点で、アイフライテックなどとともに米国外交政策上の利益に反する事業活動に従事する企業として、米国商務省によっていわゆるブラックリストである『Entity List』に列挙されています(米国商務省サイト参照)。

センスタイムはまだ未上場のスタートアップ。いくつかの主要企業からは出資も受けています。アイフライテックとともに、世界一のAI強国を目指す中国の最先端AI企業の注目すべき一社です。

田中道昭

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