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バイドゥ傘下の動画配信プラットフォーム事業者「iQIYI」が米国SECの調査を受けていることを開示

『戦略をアップデートする』は、競争戦略コンサルタントとしてGAFA×BATH等の米中メガテック企業をはじめ国内外トップ企業の動向をフォローしている田中道昭が、日々行っているこれら企業へのリサーチの中から、その内容をnoteでシェアするものです。

今日の『戦略をアップデートする』は、中国のネットフリックスとも呼ばれる、バイドゥ傘下の動画配信プラットフォーム事業者「iQIYI(愛奇芸)」をピックアップします。

iQIYIは、2020年8月13日付けプレスリリースで2020年第2四半期の業績を発表しました。取り上げたいのは、そのプレスリリースの中で、米国の証券取引委員会(SEC)が、ナスダック上場企業であるiQIYIの2018年1月以降の財務・営業記録や買収・投資に関する書類を調査中で、iQIYIはその調査に協力していると開示したことです。(Bloomberg Markets and Finance動画参照)

直接の背景にあるのが金融関連リサーチ会社「Wolfpack Research」が2020年4月に指摘したiQIYIによる売上高や顧客数の粉飾・改ざんの疑いですが、やはりナスダックに上場していた中国の飲料チェーン「Luchin Coffee」(現在は上場廃止)が不正会計などを認めたことを受けて、SECなど米国当局は中国企業に対する不正会計疑惑をより積極的に調査していました。

さらには、大統領選も近づく中、法律や大統領令によって、米国会計基準に従わない、米国へ安全保障上のリスクを及ぼす可能性があるなどとされる中国企業を米国市場から締め出す動きも強まるなど、政治的な背景があることも完全には否定できないでしょう。

ナスダックのアリババ、NYSEのバイドゥ、ナスダックのJD、NYSEのテンセント・ミュージック・エンターテイメントなど中国の主要企業が米国市場に株式を上場していますが、アリババやJDなどはすでに香港市場にも重複上場しています。「米中新冷戦」がますます注目されてくる状況で、かれらの動向を注視していく必要があるでしょう。

田中道昭

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