最近の記事

受け継がれる「でぶミルク」

家庭の味は何、と聞かれたときにわたしは決まって、「でぶミルク」と答える。 何それ、でぶミルクって、と大抵の人に驚かれるが、なんてことない、カルピスの牛乳割りである。それを我が家では、「でぶミルク」と呼んでいる。 これ以上いれたら喉がいがいがしちゃう、というギリギリを見極めて、コップにたっぷりカルピスを注いだら、そこに牛乳をとっとっと、とぽぽっ。2、3回軽く混ぜればでぶミルクの完成である。 実家では母方の祖母と暮らしていた。 小学校が夏休みの間、外に活発に出かけていくタイ

    • わたしが美容院を苦手な9つの理由

      わたしは、美容院が苦手だ。 ここ数年は同じ美容師さんに担当してもらっているおかげで、段々と苦手意識が薄れていたが、最近その方が産休・育休に入られたため、やむなく美容院ジプシーとなり、避けていた美容院のあれやこれやと向き合わざるを得なくなった。 わたしが美容院を苦手な理由も、美容師の方にしたら「何をそんなことで」「こちらも理由があってそうしているんだ」と怒られそうなことばかりだが、「こんな人間もいるんだな」という温かい目で見ていただきたい。 1.誰を指名すればいいか分から

      • 魔法を探して

        東京都江戸川区にある、魔法の文学館こと、江戸川区角野栄子児童文学館に行ってきた。 『魔女の宅急便』の作者として知られる角野栄子さんの作品や、彼女が自ら選んだ児童文学や世界の絵本を単に読むだけではなく五感全体で楽しむことができるとのこと。 高校からの友人と葛西臨海公園で待ち合わせ、大通りぞいのロイヤルホストで腹ごしらえし、近況をああでもないこうでもないと話したあと、足取りも軽く魔法の文学館へと向かった。 魔法の文学館は、旧江戸川沿いにあるなぎさ公園の敷地に建てられており、

        • 生活の動詞〜読む〜

          読書が好きだ、というと、たいていの場合好きな作家は?とか、月に何冊読むんですか?と聞かれる。 その質問にどう答えるかによって、人間性だとか読書愛の程度だとかを計られているように感じて、答えにつまってしまう。「あそこで◯◯が好きと答えたのは王道すぎたかな…」だとか、「『月に◯冊しか読んでないのに読書好きだなんて烏滸がましい』と思ってる目だったな…」などと、無意味な反省をしながら帰路につく、ということを今まで何度となく経験してきたので、会社では趣味が読書であることをひた隠しにし

        受け継がれる「でぶミルク」

          2023年も終わると言うのに

          まだ産休中だった、年初に立てた目標の1つに、「自分を表現する場を持つ」がある。 いやいや1歳の子ども育てながらフルタイムで働いて、自分の時間なんてそう作れるわけないじゃん、2024年は達成できそうな目標を考えなきゃ、と湯船に浸かりながら思ったところで、わたし、一生このままかも、と突然ゾッとして、足のつま先がジンと冷えるような気がして、急いで浴室を飛び出しドライヤーもしないまま今この文章を書いている。 学生の頃から文章を書くのは好きで、比較的得意だという自覚があったが、社会人

          2023年も終わると言うのに