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自治体の 婚活支援に 思うこと

 かつて結婚相談所に勤めていた身として、こういう話題にはつい反応してしまう。自治体が、マッチングアプリや婚活の支援に本腰を入れるようになった。いままでもいろいろ支援はあったけど、ここまできたかあという感じ。

  おもしろいのは京都市で、「VR婚活」と題し、恋愛メタバースを使ったイベントを開催。最初、読んだときは「恋愛メタバース?何それ?」と思ったけど、つまりはアバターを使った交流方法なのだった。これを婚活にも使うと。

 これですね。「Memoria(メモリア)」。デートもバーチャル空間でできるという。なんだか時代を感じる。

 実は、マッチングアプリを始めるのに躊躇する理由、「顔出ししたくない」というのをよく聞く。アバターを使えばそのためらいも解消できるから、顔を見せなくてもできる婚活・恋活の形があるなら、より多くの人に知って欲しい。
 
 けっこうあるんですよね、顔写真をめぐるトラブル。「アプリで顔を見せろって言われて、しぶしぶ送ったら音信不通になった」なんて話はめずらしくない。写真を載せようにも容姿に自信がない人だっているから、アバターを使えるならハードルが下がるな……。
 
 自治体がこうした応援を始めたことは、新しい挑戦としていいことだと思う。そして贅沢を言うなら、結婚相談所にももっと目が向けられてほしい。理由はいくつかあるけど、ざっくり言えばアプリよりも安全だから。
 
 マッチングアプリにはいろんな人がいる。当然、遊び人も多い。ただ遊びたい、一夜を過ごす相手が欲しいだけの人とか、不倫相手を探すために使っている既婚者とか。アプリのほうでは、この手の人たちを規制することがない。
 
 それはそうだ。彼らは少なくない数を占め、いわば金になる顧客だから、運営側もわざわざ押し出したりはしない。だから、真面目に恋愛や結婚の相手を探している人には、単なる危険地帯になってしまう。
 
 また、相談所はさまざまな証明書の提出が必要だから、嘘がつけない。年収をごまかすこともできず、既婚者は当然、入ってこない。みんな結婚を視野に入れているから、温度差もない。「自分は結婚を考えていたのに、相手はぜんぜんだった……」ってことがない。
 
 デメリットとしては「アプリよりお金がかかる」。もっと言えば「入会時の手間もかかる」。ただ、だからこそ不真面目な人を弾けるわけで、ここはトレードオフかなと思う。自分が推しているのは、ネット型の結婚相談所「naco-de(ナコード)」。
 
 そのへんの話はこちらの記事で書いたので、興味ある方はぜひ。

  結婚相談所で出会ったとしても、みんな半年とか1年とか付き合って結婚するから、そのへんはアプリと変わらない。交際期間でいえばアプリよりも短い。安全面に気を遣っているし、カウンセラーによるプロポーズの後押しなど、サポートもあります。
 
 だから正直、自治体は結婚相談所を支援してくれないかな……って気持ちもある。真面目な人が、アプリより安心して活動できるから。
 
 コロナで10万円の給付金が配られたとき、これを結婚相談所の入会金にあてた人もいた。彼女は「ありがとう、国!」と言っていたので、この調子で各自治体、アプリのみならず相談所も応援してほしい。
 
 クリスマスが近い11月くらいになると、相談所の入会はぐっと増える。いまごろ多くの人が、いろんな場所で「はじめまして」と出会っていることだろう。それはホテルのラウンジかもしれないし、喫茶店の入口かもしれないけど。
 
 いずれにせよ、その出会いがいいものになりますように。

  あと、クリスマスを過ごすお店はちゃんと予約しよう。どこも絶対、混むので。職場で今日の日経(夕刊)を読みながら、たくさんの出会いに思いを馳せる、火曜日。


本を買ったり、勉強したりするのに使っています。最近、買ったのはフーコー『言葉と物』(仏語版)。