「正しいこと」のラテン語

アルファベット言語とラテン語の話です。

「justice(正義)」、「jurist(法学者)」、「just(公平な)」……

「jus」という文字列を見たら、なんとなく「正義」「法」「公正」など、正しさに関わる言葉だと見当をつけることができます。これはもともとラテン語で「法律」「権利」「正当」を意味する語です、jus。

また動詞で「juro」というのがあります。これもニュアンスは「正しい」感じ。
「誓う」とか「保証する」という行動を意味します。

「justus」という形容詞になると「正当な」という意味に加えて「適切な、根拠のある」「当然与えられるべき」という語意も持つようになります。「当然与えられるべきもの」=「権利」という派生の仕方ですね。

ドイツ語圏の児童文学として名高い『飛ぶ教室』の中にも、教師の鑑のような存在として「der Justus(デア・ユストゥス)」と呼ばれる男性教師が出てきますが、邦訳を見ると「正義さん」とか「道理さん」とか訳されています。和訳からもわかる通り、人として正しい感じのニュアンスなんですね。「デア」は男性名詞であることを示す、英語の「the」みたいなものです。

ラテン語がわかると、アルファベット言語に馴染みが出てくるので、ちょっとだけその言語の勉強が楽になります。語幹が同じ場合が多いので、はっきりとした訳はわからなくても「『jus』ってついてるし、『公正』とか『法』とかそんな感じかな……」で乗り切れるので便利。(ちゃんと単語を勉強するのが一番ですが)

本を買ったり、勉強したりするのに使っています。最近、買ったのはフーコー『言葉と物』(仏語版)。