#こんな社会だったらいいな ~出産編~

同性カップルが子どもを持てる世の中になるかもしれない、と思う。

そう言うと「いまでも同性カップルが子どもを育てている国はあるでしょう?」「同性婚をした人たちが養子縁組するってことですよね」と言われそうだけれど、私が言っているのはそういうことではなくて、同性カップルの、お互いの遺伝子を持った子どもができるということだ。

「いきなりラディカルなこと言うね」と思われるかもしれない。だけど、ゲイカップルに関して言えば、彼らの血を引いた子どもを「作る」技術の実現はほとんど間近らしい。


男性の染色体はXYなので、(つまりX要素もY要素もあるため)人工的に卵子と精子を掛け合わせることが可能になる。ただ、レズビアンカップルの場合どちらもXXなので、彼女たちだけの血を引いた子どもを産み出すことは(今のところ)できないそうだ。

もっとも私の説明がどこまで正しいかは確信が持てないので「ゲイカップルの血を引いた子どもを人工的に生み出す技術が実現しそう」「望んでいる人さえいるなら、それが実用化されたらいいね」という話がメインです、と言うに留めておく。

ただ、そのためにはたくさんの障害があるだろうことは、容易に想像がつく。

まず、世間の「試験管ベビー(人工的受精によって産まれる子ども)」に対する理解が進む必要がある。「人工的に子どもを作るなんて、倫理的に許されない」と主張する人や、「理屈はわからないけど、生命に関わることに科学技術が使われるなんて不気味」と感じる人もいるだろう。

新しい科学技術に対する反発の気持ちや、技術が自分の予想を超えて発展していくことへの薄気味悪さ、科学が「出産」という生命の領域にまで踏み入って来ることへの抵抗は、多くの人が感じることだと思う。

日本では「自然な出産」にこだわる人も多いから、試験管ベビーに対する目は厳しいものになるかもしれない。

あるいは、実用化されて売り出されたところで、結局はそれに安くない金額を払えるような富裕層しか子どもを持てず、それは不公平だという意見も出てくるかもしれない。保険は利くのかどうか、生命に関わることに資本主義をどこまで持ち込むのかという論争になるかもわからない。

科学技術の力を借りてでも自分の子どもを持ちたいと願う人は今もいるから、生命に関わる技術自体への需要はあるわけで、それはこれからも変わらないだろう。その流れはむしろ加速する方向に行っている。

個人的に、科学技術は誰も傷つけず人のためになる限りにおいて受容されるべきだと思っているので、同性カップルの子どもも(それが望まれているのであれば)産まれることが可能な社会になってほしいと思う。

(ただ、これについてはこれから議論が進む分野だろうし、考えを変えることも十分ありうる)

本を買ったり、勉強したりするのに使っています。最近、買ったのはフーコー『言葉と物』(仏語版)。