2023年の相場と個人投資家【株,売らぬシニア・買う若者(23.1.5朝刊)】
日本の株式市場は1月4日に大発会を迎えた.
日経平均株価は2022年12月30日の終値26,094.50円に対し,大発会の終値25,716.86円と前営業日比377.64円(約1.5%)の下落となった.個人投資家の方にはあまりよろしくない大発会だったかもしれない.
この下落によって,日経平均株価は2022年3月以来の安値となった.この月の安値が24,681.74円で,以降は上下しながらも25,500円を下回ることなく推移してきた.
2022年1年間の日経平均株価の推移を見ると,全体ではレンジ相場にあるが,直近ではかなり急激な下げ相場にあると見える.12月に入って年末にかけて大きな陰線を付けていることからも分かる.
安値ベースで見ても下落は2%未満にとどまっており,昨年末から大きな下げ相場にある中でも大発会における下落は小さく,”下げ渋った”相場になったと言えるだろう.
中でも特徴のあった銘柄は日立製作所(6501)である.大発会の始値は前営業日比で約6%安の株価を付けたが,直後には大きく上昇して引けには約2%の下落率まで戻した.
個人投資家は,上がったら売り,下がったら買うという,いわゆる逆張り投資を好む傾向にある.大型株が大きく下げるとバーゲンセールだと言われたりすることもある.
22年の相場においては,日経平均が1%下落した際の買い越し額が,1%上昇した時の売り越し額を上回る結果だった.このことから,昨年の相場は戻り売りよりも押し目買いが強かったことが分かる.
17年の相場においては戻り売りの額が押し目買いの額を上回っており,個人投資家は売り優勢だった.その後は売り幅が減少,買い幅が増加していき,21年には買い越し額がプラスとなった.
個人投資家の保有する塩漬け株が多いと,株価を戻した(上昇した)ときに売られやすく,株価の上昇にはマイナス要因となってしまう.最近ではこうした売りが減少し,結果として買い越し額が売り越し額を超えることになったと言える.
さらに,長期保有を前提として株を買う若手投資家の買いも増えている.彼らは長期保有を前提として株を買うため,足元の相場については気にしない傾向があり,淡々と持ち高を積み上げる.
しかし,昨年から続いている円安傾向により若手投資家の資金は米国株や米国投資信託にも多く流れていると思われる.
直近では円安傾向は一段落つき,徐々に円高方向へと向かっているため,こうした若手投資家の資金が日本株へと流れてくることも考えられる.
政府は24年にNISAの拡充と恒久化を実施することを決めており,運用期間の長くなる若手投資家にとっては追い風となる.
2023年,相変わらず世界情勢は不透明だが,日本株の若き買い手は着実に増えていくだろう.
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