Kyoko Machiba

大阪に暮らす医薬翻訳者(英日・日英・仏日)|映画『れいわ一揆』英語字幕スタッフ|LOV…

Kyoko Machiba

大阪に暮らす医薬翻訳者(英日・日英・仏日)|映画『れいわ一揆』英語字幕スタッフ|LOVE:犬|猫|馬|映画|編み物|文芸翻訳を勉強中

マガジン

  • 書評講座Vol.3

    • 4本

    課題書: 1)『フランキスシュタイン』- アメリカ、ジャネット・ウィンターソン著、木原善彦訳、河出書房新社、2)『喜べ、幸いなる魂よ』- 日本、佐藤亜紀、角川書店、3)自由選択(海外文学で邦訳が出ているものなら、文字通り何でも)

  • 書評講座 Vol. 4

    • 8本

    課題書:1)インヴェンション・オブ・サウンド(チャック・パラニューク著、池田真紀子訳、早川書房)、2)自由課題

  • 書評講座 Vol. 2

    • 6本

    課題書: 1)『掃除婦のための手引き書』- アメリカ、ルシア・ベルリン著、岸本佐知子訳、講談社、2)『ハムネット』- イギリス、マギー・オファーレル著、小竹由美子訳、新潮社

  • 書評講座 Vol. 1

    • 11本

    課題書: 1)『エルサレム』- ポルトガル、ゴンサロ・M・タヴァレス著、木下真穂訳、河出書房新社、2)『キャビネット』- 韓国、キム・オンス著、加来順子訳、論創社、3)『クィーンズ・ギャンビット』- アメリカ、W・テヴィス著、小澤身和子訳、新潮文庫

最近の記事

書評『嘘つきのための辞書』(エリー・ウイリアムズ著 三辺律子訳 河出書房新社)掲載のお知らせ

「図書新聞」にエリー・ウイリアムズ『嘘つきのための辞書』(三辺律子訳、河出書房新社)の拙評を掲載していただきました。 いわく付きの辞書をめぐって、19世紀に生きる男と現代に生きる女の、言葉に取り憑かれた日常がキュートに描かれた素敵な作品です。 ぜひご一読くださいませ。 https://note.com/yasushi_kaneko/n/n88906d3d9f3b

    • 書評『インヴェンション・オブ・サウンド』 チャック・パラニューク著/池田真紀子訳

       疫病に戦争。明日にでも終末を迎えそうなわたしたちの世界を、最後のひと突きで崩落させるのは、あるいは、人間が腹の底から発するたった一つの悲鳴かもしれない——何かの比喩かと思われるかもしれませんが、あに図らんや。邦訳は十八年ぶりとなるチャック・パラニュークの新作『インヴェンション・オブ・サウンド』(池田真紀子訳)で、悲鳴という名の音は「物理的」に世界を破壊します。  舞台はハリウッド。音響技士として働く三十代の女性ミッツィは、特に「悲鳴」のクリエイションに定評があり、年若いな

      • 『ハムネット』マギー・オファーレル著 小竹由美子訳 <田園に生きるひとの苦悩と恢復>

         史実その一。十八歳で八歳上の女性を身ごもらせ結婚した後に、ロンドンで劇作家として名を馳せるまでのウィリアム・シェイクスピアに関する記録はそれほどなく、「失われた年月」と呼ばれている。  史実その二。彼の息子、ハムネット・シェイクスピアは十一歳で他界した。死因は定かではない。その四年後にシェイクスピアは『ハムレット』を書く。  史実その三。当時流行していた黒死病(ペスト)あるいは疫病という言葉にさえ、シェイクスピアは戯曲でも詩でも一度たりとも言及していない。  作者マギー・

        • 書評『赤の自伝』掲載のお知らせ

          「図書新聞」No.3570 ・ 2022年12月10日に、アン・カーソン『赤の自伝』(小磯洋光 訳、書肆侃侃房)の書評をご掲載いただきました。http://www.toshoshimbun.com/books_newspaper/index.php 「図書新聞」編集部の許可を得て、書評を投稿します。 書評は下記リンクよりお読みいただけます。 https://note.com/yasushi_kaneko/n/n5cf9569da1dd

        書評『嘘つきのための辞書』(エリー・ウイリアムズ著 三辺律子訳 河出書房新社)掲載のお知らせ

        • 書評『インヴェンション・オブ・サウンド』 チャック・パラニューク著/池田真紀子訳

        • 『ハムネット』マギー・オファーレル著 小竹由美子訳 <田園に生きるひとの苦悩と恢復>

        • 書評『赤の自伝』掲載のお知らせ

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        • 書評講座Vol.3
          4本
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        記事

          『キャビネット』キム・オンス著/加来順子訳<風変わりな人々の、身につまされもする物語>

          ときおりツイッターのタイムラインに流れてくる『虚構新聞』の記事を目にしたことはあるだろうか。どう考えてもありえないようなニュースが大真面目に書いてある。洒落がきいていて、どうかすると現実の世界を強烈に皮肉る内容になっていることもある。 二○○六年に発表され、キム・オンスの代表作となった本作『キャビネット』は、火山の噴火で一瞬に消えた町で唯一生き残った男の短い話が語られたあと、「虚構新聞」もハダシで逃げ出すほど荒唐無稽なショート・ショートがつぎつぎに展開する。ガラスを主食とす

          『キャビネット』キム・オンス著/加来順子訳<風変わりな人々の、身につまされもする物語>

          『エルサレム』ゴンサロ・M・タヴァレス著/木下眞穂訳——夜明け前のもっとも闇の濃い時間で展開する物語

          二〇〇四年、アンゴラ生まれのゴンサロ・M・タヴァレスがポルトガル語で発表し、数々の文学賞を勝ち取り、世界五十ヶ国で翻訳された衝撃作だ。書名は『エルサレム』だが、舞台はどこかのドイツの街らしい。 それほど長くはない小説なのに、実に三十二もの短い章から構成される。途中には謎めいた預言書のようなおもむきの小説「ヨーロッパ02」が、入れ子構造のように挿入されてもいる。時間は不思議な進み方をする。ぐんと進むかと思えば少し後戻りし、種明かしがなされたかと思えば、また迷宮のような過去へと

          『エルサレム』ゴンサロ・M・タヴァレス著/木下眞穂訳——夜明け前のもっとも闇の濃い時間で展開する物語