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ベトナム人と日本語学習

「タピる」って言葉を知っていますか。っていきなり会社のベトナム人スタッフから聞かれて衝撃を受けた。どこでそんな言葉を知ったのだろうか。

今日、多くのベトナム人が日本語を勉強している。日々、日本の若者から発せられる略語というのか造語というのか、何というのか分からないが、こんな日本語まで覚えていこうとするなら、彼らの苦労は計り知れない。

「タピる」はぎりぎり知っていたが、日本を離れて約5年。日本のドラマやバラエティー番組、ニュースもさほど見ない私にはもう意味の分からない流行り言葉が数多くあるのだろう。(これらを日本語と言ってしまっていいのかは甚だ疑問ではあるが)

日本語能力試験 JLPT1級(通称N1)の勉強をしているベトナム人の同僚から、度々日本語に関する質問を受けるが、日本人ながら返答に窮するものが多い。例えば、「運命」と「宿命」の違い。「避(よ)ける」と「避(さ)ける」の違い。なんとなく、感覚的に、使い分けができている気がするけれど、いざ違いを説明しようとすると上手く言葉にできず、また間違ったことを教えるわけにもいかないので、結局ネットで調べた結果を伝える始末。

言葉による表現は、その国の文化や人柄に大きく影響されていると感じる。以前同僚から、「亭主元気で留守がいい」とはどういう意味ですかと聞かれた。文字通りの意味です、としか答えようがないのだが、聞けば一つ一つの単語の意味は分かりますけど、なぜ「旦那さんは留守のほうがいい」のかが分からないとのこと。なるほど。確かにベトナム人は家族を大切にするし、単身赴任の家庭なんてほとんど耳にしない。旦那さんが飲み会に出かければ、奥さんから何時に帰ってくるのか、誰と何処にいるのかなどといった電話やメッセージが来るのはよく聞く話。だから日本人女性の「亭主元気で留守がいい」といった考え方は理解しづらいのだろう。

日本語能力試験は日本の国語の試験のような感じで、文章の読解もある。筆者の考えに当てはまるのはどれかなどといった選択問題もある。こんな問題は、日本語の理解というより、日本人の考え方を理解できないと難しいのではないかと思う。私自身この手の問題は、文章のテイストが自分に合わないと、筆者の考えを理解する気が起きなくて、ことごとく正解を外していた学生時代の苦い思い出がある。

自分がN1を受験したら何点とれるのだろうか。ベトナム在住の日本人同士で口をそろえて言うのは、満点を取るのは絶対に無理だろうということ。

ベトナム人の日本語学習者と話していると、ちょっとした日本語の質問にも上手く答えることができなかったりで、自分の日本語力の不足を痛感する。

ベトナムの人と日本語でやり取りする際、自分の発する日本語に注意を払うようにしている。言葉遣いだったり、なるべくシンプルで分かりやすい言葉で話すようにしたり。でもときどき方言だと知らずに関西弁を発して、ベトナム人をキョトンとさせてしまうこともある。

暇つぶしにベトナム語を勉強したり英語を勉強したりしているが、日本語の勉強もやり直した方が良いかもしれない。読書の際に読めない漢字や分からない言葉が出てきたら、すっ飛ばさずに都度調べる習慣をつけるところから始めなければと考える今日この頃である。


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