ファッションが好きなすべての人へ。本当に美しいネクタイ生地、見たことありますか?
自身が運営しているヘアアクセサリーブランドmeon(ミーオン)は、主にデッドストックになってしまったネクタイ生地を、老舗ネクタイブランドメーカーから仕入れ、それをアップサイクルしてヘアアクセサリーとして展開しています。
今回は、ネクタイに対するイメージと、meonで取り扱っているネクタイ生地について掘り下げてみようと思います!
接客から学ぶリアルな反応
ブランドを始めるようになって、規模は小さいですがPOPUPをする機会が少しずつ増えて来ました。
そして当たり前ですが、そこで商品の説明をお客様にします。
「このヘアバンド、ネクタイ生地から出来ていて〜」
「一本のネクタイからアップサイクルしているんです」
接客の仕事をずっとやって来たので、お客さまの表情の変化には、結構敏感な方だと自負しております。
そこで気付いたことが、ひとつあります。
それは、女性のお客様は特に
「ネクタイ」と聞いて、それを聞いたからと言って興味を持って頂けたり、心を開いて下さる方は非常に少ない!
よく考えれば、当たり前ですよね。
ネクタイはビジネスマン、男性が主流のアイテム。対極にいるヘアアクセが好きな女性にとって、惹かれる要素は少ないはず。
「可愛い!」と手に取って頂けたので、ご説明をすると…
お客様:「え、ネクタイ……だったの?」
私の心:(え!言わない方がよかったかな…?お客様の表情が、ちょっと曇って見える)
ちいかわだったら泣くパターンだ…。笑
そんな場面を、何度か見逃せませんでした。
それ以降は、すぐに話の切り口を変えて、帽子屋時代に体験した事から生まれた商品なのだというストーリー、商品デザインなどに注力してお話をする様にしています。
ネクタイに対するイメージ
皆さんは「ネクタイ」と聞いて、どんなイメージを連想させますか?
スーツに合わせる物
サラリーマンやお父さん
なんか古くさい。今はクールビズやリモートの時代!
30代女性目線。そんな所でしょうか。笑
私も以前帽子屋に勤めていた頃までは、正直そのようなイメージを抱いていました。
なんかちょっと堅苦しい「ビジネスマンがする物」みたいな。
ところが、、とんでも、なかったんです!!
そう思ったきっかけのストーリーを、お話しします。
生まれて初めて出会った「本当に美しいネクタイ」
私が帽子専門店から、創業70年の老舗ネクタイブランドメーカーに転職、入社したばかりの頃、ひたすら任されていた仕事がありました。
それは、ネクタイの配色(カラー展開)を決める際に、必要な「サンプル帳」を製作する事。
両手を広げたのと同じくらいの、大きな一枚のシルク生地。そこには、10㎝前後の升目に仕切られていて、色が美しいグラデーションになっていました。
印の付いた升目を裁断バサミでカットし、ひたすらサンプル帳に貼って行くという作業を、暫く任されていました。
ネクタイ生地が大量に保管されている、誰もいない、しんと静まり返った地下室。
大きなシルク生地を、ひたすら裁断してゆく。
「ひたすら」と先ほどから繰り返しているのは、この作業が、閃きに繋がる階段だったから。
五感を研ぎ澄ませ、指と目で織りの美しさを確認し、持ち上げてその軽やかさに驚きました。
こんなに軽い。それでいて、この繊細で鮮やかなシルク糸が織りとなって交差して、一つのモチーフになっている…!
こんなに綺麗な生地、見たことない!!
心の中で、いや、声に出ていたかもしれない笑
私が帽子専門店に勤めていた頃、配属先の店舗では各国の帽子を取り扱っていました。
イタリアのボルサリーノや、シャネルのコレクションを彩ったメゾンミッシェルなど、ハンドメイドで丹念に作られた様々な素材に触れる機会が多くありました。
かっこいい…美しいなぁ…。その時に感じた、憧れのような「きらきらした気持ち」がそのネクタイ生地に触れた時に、駆け巡ったんです。
サンプル帳を作り終えた後の、歯抜けになったシルク生地はその後使われる事は殆どなく、デッドストックになってしまうという事を知り、何かできないかな…と考えていました。
オリジナルブランドの他に、ハイブランドや他社のOEMを請け負っていたので、英国で長い歴史を築いた、世界屈指のシルク織物メーカーの職人たちが手掛けた生地にも触れる機会がありました。
「この素材のヘアバンドとかあったら、可愛いなぁ。需要はあるかな。私だったら欲しいな」
いずれそれを形にする事になるのですが、入社当時はそれを忘れる程に忙しく、実際に形にして販売ができたのは、約2年後退社してからとなりました。
meonが取り扱っている生地について
という訳で、ネクタイ生地からヘアアクセサリーにアップサイクルをしている、という背景。
「どうやらただのネクタイではない」というのが、お伝えできていたら嬉しいです。
ネクタイ業界は、クールビズ、コロナ禍によるリモートワークの普及によって、昔よりも着用する人が減ってしまった、という声をよく聞きます。
でも、こんなに素敵なおしゃれが選択できる男の人。羨ましいとすら思いました。
そしてやっぱり、スーツにびしっと、品のあるネクタイを締めている方は、清潔感があってかっこいい。
その老舗ネクタイブランドメーカーさんと、私が入社当時とても勉強になった、ブランドを紹介している、セレクトショップのSE・バイヤーさんのブログのリンクを貼らせて頂きます。
あまり宣伝をしていないのにも関わらず、実は数多くのドラマや映画、普段皆さんが観ているニュース番組などのクレジットにも表記があり、衣装提供をしています。
これをきっかけに、ひとりでも多くの方に、知っているネクタイとは違う美しい生地があるという事。
国内は京都西陣、海外は英国をはじめとした職人さん達の手仕事が、何十年、場所によっては100年以上も長きにわたり紡がれているという背景を、知って頂けたら嬉しいです。
こんなに美しい「価値のある素材」
デッドストックから形を変えて、意味のある物を作りたかったのです。
最後に、先程「生地の写真」でご紹介したデッドストックからアップサイクルしたヘアバンドです。
現在展開中のヘアアクセサリーたちです。
ストーリーと一緒に、お楽しみ頂けますと幸いです。
自分らしさ、自信、楽しさ、やる気が「on」になるヘアアクセサリー。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
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