見出し画像

スペシャリストのASD。ゼネラリストのADHD。

ADHD傾向がある人は、雑務がこなせないという特徴がある。とにかく言われたことをちゃんとできないので「使えない人」というレッテルを貼られることが多い。しかし、実際には使える場所で使えば、これほど「使える人」はいないのだ。(と、思いたい)

スペシャリストになるASD

社会では、何らかの「スペシャリスト」(専門家)が求められることが多い。一つの分野に特化して極めている人ほど有能だという風潮がある。

その点、ASD(自閉症スペクトラム)の方は、ハマるところにハマれば超有能な働きをすることが多い。その没頭する性質から、各分野のエキスパートになることがある。私もアスペルガーを代表とするASDの診断をされている友人を数名持っているが、そのとびぬけた集中力で、ある分野では一流だ。人間関係がうまくないのはご愛敬で、その分野でのスペシャリスト具合はうらやましい。

サッカーに例えていえば、ゴール付近でシュートを決めることに特化した才能を持つFWとか、ゴール間際では唯一手を使うことができる特殊なポジションのゴールキーパーとか、このポジションの人はこれだけやってくれればいいから!という職に向いている。

ゼネラリストとして活躍したいADHD

ADHDがスペシャリストになることは、マレなことだ。彼らは注意散漫で、あちらに興味を持ち、こちらに興味を持ちを繰り返すので、一つの分野に習熟することは少ない。私の知り合いでも、ADHD傾向の人でスペシャリストはあまり見ない。ある分野への集中力は並外れているのだが、その分、飽きっぽくて、次に会ったときには違うことに集中していることも多い。

しかし、それは逆に言えば、幅広い分野に関して、それなりの知識や経験を有しているという強みととらえることもできそうだ。広い範囲の知識や能力を持つ人を指す「ゼネラリスト」という言葉がある。視野の広さと的確な判断力を身に着ければ、ADHDはゼネラリストになれる。

サッカーで言えば、司令塔のように全体を見回して、適切なところにパスを出すポジション。または、監督やコーチのように自分が直接プレーしないで、側面サポートしながらプレーヤーの能力を引き出すポジションだ。

私自身も、様々な仕事を経験する中で、自分の「使えなさ」には驚いていたほどだった。どんな小さな頼まれごともちゃんとこなせないので、本当に自分で自分が大丈夫だろうかと心配になるほどだった。

しかし、あるきっかけで、管理業務に入った時に、意外なくらいに自分の長所が活かされることが分かった。(また、細かい管理は向いていないのだが)。特に、他の人の長所を見つけて、それを活かすような組織・チーム作りには長けていることを発見できた。(自分でやるとミスを連発するので指示を出しているのがちょうどよい)。

その分野を磨けば、磨くほど、類似した仕事が集まるようになった。いつの間にか、得意分野で仕事させてもらえるようになった。

明らかに向いていない仕事に取り組んでいるならADHDは転職も視野に入れたい。実は、ただ向いていないだけなのかもしれないからだ。注意散漫で、何でも関心を持ってしまう性質、とりわけ人に興味があるなら、その能力は活かせるかもしれない!

自分のポジションで働く

時々、ASDだから使えないとかADHDだから使えないという論議になることが多いが、適材適所で働く限り、どちらもチームには欠かせない人材になることが多い。世界最高のFWだけを集めても、チームとしてはバランスが欠けているだろう。MFもDFも皆が必要なのだ。

ASDやADHDというラベルに縛られるのではなく「この人は何が得意で、何が苦手だろうか」という視野で、一人一人に合った仕事を提供したいし、そういう社会であってほしい。そうなれば、もっと幸せに働ける人がゴマンといるはずだ。

今のところ、ADHDだから「使えない人」と、認定されている人は、あきらめずにゼネラリストを目指そう!これまでの知識や経験、興味、好奇心がすべてつながる時が来る。間違いなく来る。(と、思いたい。)


大人のADHDグレーゾーンの片隅でひっそりと生活しています。メンタルを強くするために、睡眠至上主義・糖質制限プロテイン生活で生きています。プチkindle作家です(出品一覧:https://amzn.to/3oOl8tq