見出し画像

同調圧力と闘う方法~又吉直樹のヘウレーカ!「なぜ人は“空気”を読むのか?」

又吉直樹のヘウレーカ!は面白い。過去の放送は、どんどん見られなくなってしまうので、NHKオンデマンドですぐに見なければいけない番組だ。特に、今回の放送は面白かった。コロナ禍の中でいっそう際立つようになった日本の「同調圧力」「空気」の存在に焦点を当てて、倫理学の先生が講義をしてくれる。ゲストは、ぼる塾。

同調圧力の正体から、同調圧力と闘う方法まで学べたぞ。

「空気」を読む日本人

コロナ禍の中で、日本は世界の中でも珍しい国として改めてスポットライトを浴びた。各国が外出制限・マスク装着のために罰金や罰則を設けて、強制的にコロナ対策を徹底させようとした。しかし日本の場合は、罰則を伴わない「自粛要請」だけで、市内から人が姿を消した。また、誰もがマスクをつけて街中を歩く。たまにマスクをつけていないだけで、不審な目で見られる。実は、この日本の独特な「空気」、つまり「同調圧力」がコロナ対策においてはメリットになった。

1977年に出された名著、山本七平の「空気の研究」では、日本の場合は社会的な規範(周囲の人たちからどう見られるか)が判断基準になっており、しかも、その基準に従わないと「抗空気罪」ともいえるような制裁を科されると書かれている。今読んでも全く古くならない日本人論だ。

同調圧力とは

そもそも同調圧力が研究されるようになったのは、第二次世界大戦中のナチスのユダヤ人迫害だ。一人一人は決して邪悪ではないドイツ人が、ユダヤ人迫害を積極的に(または間接的に)推し進めた。当時の世の中の「空気」がそうさせたのだ。同調圧力は二つの影響からなっている。

1:情報的影響(周囲の人たちを見て、自分が間違っているかもしれないと思い合わせようとする。)
2:規範的影響(正しいことが何かはわかっていても、悪目立ちするのを恐れて周囲に合わせる。)

ホロコーストのように道徳的に間違ったことをするようにという同調圧力がかけられた時に人は大きな葛藤を感じることになる。日本人はとりわけ同調圧力に屈しやすい国民性だ。過去の戦争での大敗に関しても、自滅的な作戦も「当時の空気」の中ではしょうがなかったとされる。今回のコロナ対策のように同調圧力がメリットになる場合もあるが、ナチスの場合のようにデメリットに働いた時は怖い。

明らかに間違っていると分かってもそれに乗っかってしまう危険があるからだ。同調圧力について研究したソロモン・アッシュの有名な実験を見てほしい。

同調圧力の危険

同調圧力の問題は、安全と個人の自由のバランスをとるのが難しいところにある。この問題に関しては、以下の3つのポイントがある。

1:他者危害原則(他の人に迷惑をかけてはいけないという社会的な圧力がかけられる)
2:パターナリズム(本人の安全のために社会的な圧力がかけられる)
3:全体の利益(大多数の安全のために少数者に社会的な圧力がかけられる)

日本の場合「自粛警察」が表れて、自粛しない店舗やサービス業などへの誹謗中傷が行われるようになり問題となった。大多数の人の安全のために「お前は犠牲を払うべきだ」と要求する人たちの歯止めが効かなくなったのだ。同調圧力の厄介な点は、法律ほどラインが明確ではないこと。何が善で、何が悪なのか、どれくらいが許されているのか、どこからがダメなのか、誰もが分からないまま暴走する危険がある。

特にSNSの場合は、声の大きい人(発信力のある人)の発言が大きく取り上げられることで、それが社会全体の声のように感じられて同調圧力が加速するのだ。「夜の街」や「クラスターを出した店」・「コロナ感染者を受け入れている医療施設」など、一定のターゲットがいじめられるような現象も生じた。実際、日本においては法律違反の罰金よりも、SNSなどで社会的に制裁を受けることのほうが恐ろしい。

同調圧力と闘うには

同調圧力と闘う方法は、勇気を出すことだ。それができれば苦労しないけど。「空気の研究」の山本七平氏によれば「水を差す」ことが大事だという。「水を差す」ことで空気は壊れ、人は現実の障害に目を向けるようになるのだという。ソロモン・アッシュの実権では40%前後の人が、間違った回答に引っ張られて同調圧力に屈したが、一人でも正しい回答を貫く人がいた場合、同調圧力に引っ張られる割合は5%まで減ったのだ。

分かりやすい例として「裸の王様」が挙げられていた。本当は、王様は裸なのにほとんどの人が、王様の服を褒めているうちに誰も王様が裸だと言えなくなってしまった。でも、一人の子供が「王様は裸だ!」と言ったことで、同調圧力の綱がほどけたのだ。誰かが勇気を出して、周りの意見に同意していないことを示すことだ。

有名な話だけど、ローマカトリックでは、聖人を選考する会議で「悪魔の代弁者」と言われる人を選任して、とにかく周囲の意見に反対する役がいた。こういう人がいるだけで、同調圧力が壊れていくのだ。(参考:悪魔の代弁者(WIKI)

こういう時、ASD(アスペルガー気質)の人は絶妙な役割を果たすことがある。普段、空気を読めないことで違和感を味わうこともあるかもしれないけど、こういう人がいることで、同調圧力をぶっ壊すことができるのだ。「え?それ言っちゃうの?ここで?」ということ言うからね。

まあ、同調圧力に悩む人は、基本的にぶっ壊し組にはなれないだろうから、あえて空気を読まない人と付き合っておくのも良いかもしれないね。まずは、同調圧力について少しでも知っているだけで、その罠(デメリット)を避けることができる。しっかり勉強しておきたい分野だね!

#同調圧力 #又吉直樹のヘウレーカ #又吉直樹 #ぼる塾 #空気を読む #NHK #コロナ禍  

大人のADHDグレーゾーンの片隅でひっそりと生活しています。メンタルを強くするために、睡眠至上主義・糖質制限プロテイン生活で生きています。プチkindle作家です(出品一覧:https://amzn.to/3oOl8tq