「本の本」を読む至福を感じよう【書評】読書の腕前 岡崎武志
もう、あきれるくらいに本が好きなのだけれど、その中でも、特に好きなジャンルは「本の本」だ。読書術・読書法・蔵書の整理の仕方。本を愛し、愛でる人の話を聞くのが好きだ。分かり合える感覚がたまらない。
本が好きな人なら、文句なしに共感しながら読み終えるはず。
「本の本」を読むという「至福」
本の本を読んでしまうというのは、私だけではないことを知った。著者も、本の本が大好きで、結局、自分も本の本を書いてしまったわけだ。
「本をたくさん読めば、自然に「本の本」が集まってくる。ときに、本それ自体を読むより、本について書かれた本のほうがおもしろいくらいだ。そこで紹介された本がまた読みたくなり、あるいは著者が本を読む姿や仕種を追うことで、読書欲が刺激される。これは読書の永久運動だ。」
私も、本の本、本の読み方や、読書法・読書術・自分にとっての本について論じた書を何冊も何冊も読んでいる。何が楽しいのかもわからないのだけれど、定期的に読みたくなる。そして「本っていいよね」という感想を持って満足するのだ。ある意味では、学ぶものはないのかもしれない。
最近は、佐藤優氏の読書術を呼んでいた。博覧強記。ちょっとレベルが違うけれど。本が好きな人に悪い人はいない。そんな気になった。ちょっと顔は怖いけど。
共感し合えた時の気持ちで心が満たされる。オフ会みたいな感じか。
本が本を呼ぶ人生
さすが、読書家だなと思うほど、共感できるコメントがあふれている。
「読書の習慣が身体になじんでくると、いくらでもどこからでも読みたい本が向こうのほうから飛び込んでくる。」
「結局私の場合、どんなささいなことも、すぐ本に直結する。目の前で見たこと、知ったことが読むべき本を指示し、ああ今日もまた読むべき本が増えてしまったという毎日である。本はいつでもどこからでも、むくむくと立ち上がって、今日も読め、明日も読め、と急き立ててくる。」
私も何度も何度も、引っ越すたびに大量の本を処分してきた。それでも、やはり、どんどん本がたまる。「また、買ったの」、結婚当初は、よく妻に言われたが、最近は何も言われなくなった。冷たい視線を感じるけれど。
最近は、kindleがあるので、紙ベースを卒業しつつあるが、読まなければならない(読みたい)本が、絶えず迫ってくるのは同じだ。
Amazonのリコメンドも誘惑だ。また、良いレビューを書くレビュアーも多いのだ。そんなレビューを読んでいるだけでも楽しいので、あっという間に、Amazonで1時間~2時間過ごしてしまう。著者のレベルにあったレビューが集まるのも面白いよね。
本は鏡
「鏡をいくら凝視していても、「自分」なんて見えてきやしない。「自分」を見つめる手がかりは、読書こそにある。真剣にそう思う」
本を読むことは究極的には、本を鏡として、自分自身を見つめることだ。だから、年齢を重ねるごとに本読みの悦びは大きなものになる。人生経験を積まねばわからなかった言葉の意味に心を動かされるようになる。それが分かり始めた時は、一冊の本から、何度も何度も教えられることになるのだ。
著者は「本だけ読んで死にたい人生」のようだ。
あまりに、よくわかりすぎてつらい(笑)。内向型の知的な冒険は、見た目からは、ほとんど無活動の引きこもりに見えるんで。