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祝はやぶさ2帰還!今見返すと感慨深い!~プロフェッショナル 仕事の流儀「ゆっくりでも、止まらなければ、けっこう進む~宇宙工学者・國中均」~

はやぶさ2が無事に帰還し、カプセルが相模原のJAXAに届いた。大プロジェクトが成功したことを嬉しく思う。

さて、現在のはやぶさ2の最終責任者・プロジェクトマネージャーは津田氏だが、2014年4月時点のプロフェッショナル・仕事の流儀では、現在JAXA宇宙科学研究所の研究所所長になっている國中均氏がプロジェクト・マネージャーの時のインタビューが取り上げられている。

この回は、はやぶさ2打ち上げ寸前の放送で、今(はやぶさ2のプロジェクトが成功した後)この回を見ると感動するので、タイミングを逃さず、ぜひNHKオンデマンド等で見てほしい。

好きな言葉:「こんなこともあろうかと」

國中均 氏が開発したマイクロ派型イオンエンジンを搭載した、初代はやぶさは見事にミッションを完遂した。しかし、華々しい成功談の陰では、綱渡りのようにヒヤヒヤする事態が生じていた。初代・はやぶさのヒヤヒヤ体験は、下記の映画が詳しい。今見ても面白いし、はやぶさ2の成功の意味がよく分かるからおすすめだ。

初代・はやぶさの一番のピンチ(ピンチが多すぎて甲乙つけがたいが・・)は、帰還間近で1つのイオンエンジンを残して、他が壊れてしまったことだ。そのままではパワー不足で地球に帰ってこられない。しかし、そのピンチを救ったのは、國中の「こんなこともあろうかと」の精神だった。

彼は、上の反対を押し切り、イオンエンジンの中に一個の部品を忍ばせていた。複数のエンジンが止まった場合でもクロス運転ができるような仕掛けだ。そんな事態は生じないかもしれないけれど、もしそうなったとしても対応できる備えをしていたのだ。

「人間が思いつくことはすべてやりました」と言えるくらい、「想像力の限界まで準備した」と胸を張って言えるところまで、やり尽くしていたのだ。結局、この一個の部品のおかげで、初代・はやぶさは無事に帰還できた。映画の中ではイオンエンジン開発担当責任者の喜多 修(鶴見辰吾)が國中の役を演じている。一個の部品をこっそり追加してほしいと頼み込む喜多の姿が印象的で、これが実際に起こったことだというのを知り感動した。

小惑星探査機は、宇宙に飛ばしてしまうと、もはや修復することは不可能だ。何が起きても対応できるように、ありとあらゆるテストを積む。國中率いるプロジェクトチームには「想定外」という言葉は存在しないのだ。このエピソードを聞いてから「こんなこともあろうかと」という言葉を聞くと、なんだか名言っぽく聞こえるから不思議だ。

「ゆっくりでも止まらなければけっこう進む」

世界で初めて小惑星探査機にマイクロ波型イオンエンジンを搭載した國中の偉業は大注目された。しかし、当初から順調だったわけではない。國中の師匠は栗木博士だ。栗木氏がイオンエンジンを研究していた当初はまるで注目されず、ほとんど予算もつかなかった。弟子の國中は、その研究を継ぎ、秋葉原を回って中古部品をかき集めたり、電子レンジを分解しマイクロ波を出せる部品を使ったりして、イオンエンジンを手作りしていたのだ。

そんな國中の研究がやがて注目され始め、初代・はやぶさに搭載されるエンジンに選ばれることになった。大チャンスだったが、その時点では、まだまだ成功はおぼつかなかった。イオンエンジンを正常に動作させるための中和機の耐久性に問題があったのだ。初代・はやぶさの飛行期間を考えると1万時間は持つ中和機を作る必要があったが、その時点での彼らの技術力では100時間が限度だったのだ。2年も研究を重ねたが、耐久時間は伸びず、國中は不安と恐怖に押しつぶされていく。

今やっていることが正しいのか。本当に答えがあるのか。答えはないのかもしれない。実験を続けるも成果が出ない。これほど怖いことはない。

やがて國中は、恩師の栗木氏のもとを訪れ、泣きながら「もう開発をやめたい」と気持ちを打ち明けた。その時に言われた言葉が、國中の大切にしている名言だ。「歩くのはかまわない。でも止まってはいけない」。どれだけ、ゆっくりでも足を前に出すことは止めてはいけない。ゆっくりでも前に足を進め続ければ、道は開ける。実際に、その1年後、國中は中和機の耐久時間を一気に9000時間に延ばすことに成功した。

もう心が折れてしまいそうなギリギリのラインで恩師の教えが彼を救った。そして、その時にあきらめなかったからこそ、初代・はやぶさは奇跡の成功を手に入れることができたのだ。

私は國中氏ほどのプレッシャーにさらされることはないけれど「ゆっくりでも止まらなければけっこう進む」を忘れないようにしたい。成果が見えない場合は、この道(方法)でいいのか、迷いが首をもたげる。そんな時には、焦らずに一歩一歩に全身全霊を注ぐことだ。

次の世代へのバトン

國中は、はやぶさ2のプロジェクトには若手を抜擢した。宇宙科学の世界は、一人の科学者がすべてを完遂することはできない。一歩一歩、成果がもたらされる。その上に次の世代の科学者たちが、さらに歩みを進めていく。だから、國中は、これから20年後の成果のためにも、若い世代を訓練していかなければならないと考えていた。

この番組が放映された2014年から6年後、まさに國中は言葉通りにしていた。はやぶさ2のプロジェクトマネージャーには44歳(若い!)の津田氏がついている。所長の國中と共にインタビューに答えている姿は感動を呼ぶ。

國中さん、やりましたね!まさに「100点満点中の1万点」だ。

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大人のADHDグレーゾーンの片隅でひっそりと生活しています。メンタルを強くするために、睡眠至上主義・糖質制限プロテイン生活で生きています。プチkindle作家です(出品一覧:https://amzn.to/3oOl8tq