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発達障害(ADHD)は「普通」以下であることを認めたところからライフハックが生まれる。

発達障害は「普通」ではない。そのことは、認めないと話が進まない。しかし、発達障害の認知度が上がるにつれて「発達障害は普通じゃないけど、その分、すごい才能があるんだ。ある意味、普通以上!」と主張する人も増えた(自分もたまにする。)アインシュタインも、エジソンも、スティーブ・ジョブズも「普通」じゃなかった。

しかし、その基準で発達障害を見てはいけない。発達障害は普通ではないけれど、多くの場合は普通以上になることはめったになくて、普通以下なのである。これは、ADHD特性を持つ当事者の言葉として許してほしい。自分のことを「もしかして、俺ってできる人なんじゃない?」と誤解すると痛い目を見てしまうからだ。

その点で、現在の自分をしっかり認めたうえで、ADHDと向き合っている人がいる。もう、この世界では超有名人だが「借金玉」さんだ。

「できないこと」を認める

借金玉さんは、大手金融機関に勤めたものの、ADHDの傾向ゆえに退職。その後、起業するも失敗して大借金を負う。その背後には、なんだかんだ自分は才能があるという思い込みがあったという。現在は、営業マンとして生きつつ、上記の本にあるようなライフハックを駆使してADHDとして生きている。残念ながら「普通」以下であるということを認めて編み出したライフハックの数々が泣ける。

本書には、いくつものライフハックがあるが、特に面白いのが、自分が忘れ物をすることを前提にして予備を持ち歩いているという話だ。合鍵は6個、名刺ケースは3つ、スマホ充電を夜に忘れることを想定済みにしてモバイルバッテリーを二個。尋常じゃない。だから、すべてが入る大きなカバンを持ち歩いている。ここまでやって、ようやく「普通」の人と肩を並べられるのだ。自分は「できないこと」があると認めて、初めてこのライフハックが生まれる。

私の知り合いのADHD女性は、保育園に努めているのだが、とにかくハサミとかノリとか工作用グッズを忘れたり、失くしたりするので、ありとあらゆる場所に5セットくらい用意していると言っていた。忘れ物をしないように気を付けるのではなく、忘れ物をすることを前提に生活を組み立てるのだ。これくらい、潔くないとADHDとして生活することが不可能だ。

「できる人」にはわからない

借金玉さんのようなライフハック本は、ADHDあるあるの要素も加わり、私たちのような、ADHD特性を持つ者からすると、たまらなく面白いのだけれど「普通」の人が見たら、なぜ、こんな努力をしているのかわからないだろうなと思う。その溝は一生埋まることはないのだ。

しかし、それでも借金玉さんの本はバカ売れしているのだから、それだけADHD特性を持つ人、グレーゾーン、隠れADHDは多いのだろう。ちょこっとだけど書評してみた。


私も、数々のADHDならではの仕事術を開発しているが(日々の失敗から生み出している)、普通の人である妻にとってみると、何をそんなに工夫しているのかわからないそうだ。私が、延々と発明を繰り返しているのに、横であっさりと私ができないことを行えている姿を見ると地味に傷つく。

でも、だからこそ、ネタが生まれるんだよなぁと思って割り切って生きている。それなりに、凸凹がある生活も楽しいし。

私も、第二の借金玉さんを目指して、ADHDとして生きていくためのノウハウを日々、作っていこう。

大人のADHDグレーゾーンの片隅でひっそりと生活しています。メンタルを強くするために、睡眠至上主義・糖質制限プロテイン生活で生きています。プチkindle作家です(出品一覧:https://amzn.to/3oOl8tq