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コロナ禍だからこそ見ておきたい映画「感染列島」主演:妻夫木聡, 檀れい

4月~5月には、緊急事態宣言と自粛効果で激減した新型コロナ感染者数が、再び増加に転じている。第二派・第三派と繰り返しコロナの嵐が襲う。今のところ日本においては、死亡率は非常に低いのだけれど、アメリカ・南米・ヨーロッパでは異常なほどの死者がでている。もし、新型コロナウイルスが変異して強毒化した場合は、今の行動パターンではまずいかもしれない。

気を引き締めるために、2009年の「感染列島」を見てみた。今から10年以上前に、この映画が問いかけていたメッセージは大きい。レビューは賛否あれど、私はこの映画を見て、ゾッとしたし、新型コロナ対策に関して再度気を引き締める気になれた。啓蒙のために見ておくべき映画ではないか。

「感染列島」(あらすじ)

原因不明のウイルスが日本を襲う。そのウイルスはブレイム(神の災厄)と呼ばれる。そのウイルスに感染すると、新型インフルエンザのような症状を起こし、粘膜から出血を起こし、最終的には多臓器不全を起こし死んでいく。死亡率は30%を超える。患者第一号を診た救命救急医・松岡剛(妻夫木聡)は、感染を抑え込むために派遣されたWHOのメディカルアドバイザー、エイコ(檀れい)と共に、ウイルスの原因を突き止めるために奔走する。やがて、ウイルスは医療従事者をも容赦なく襲う。

医療従事者たちの受難

予想しない感染症が発症した直後の医療現場の混乱は見ていて痛々しい。まるで暗闇から、めくらめっぽうに殴りかかられているようなものだ。態勢を立て直す暇もなく医療崩壊寸前にまで追い込まれる。

劇中では、佐藤浩市演じるベテランの救急救命医は、最初の患者に丸腰で対応したために、あっという間に感染して死に追いやられてしまう。その後も医療関係者の感染が相次いでいく。劇中では医師(看護師)の男性がブチ切れてパニックになる様子が描かれる。特に、人工呼吸器の数が不足し、トリアージをしなければならない状況には冷や汗が出る。

NHKのドキュメンタリーなどを通して、新型コロナ対応に関する医療の現場の厳しさを知っていたが、ドラマのかたちで見ることで、どれほどの負荷が医療現場にかかるのか想像力が養われた。新型コロナの第一波の時の医療従事者のひっ迫ぶりを想像して、ゾッとした。よくあきらめないで戦ってくれたと思う。

日本の場合、政府対応は色々批判されるものの、水面下では新型コロナを封じ込め、原因を探るために本当に奔走されていたことが分かっている。特に、クラスター対策や、三密を避けるなどの具体的な指針は、日本が死者数を大幅に抑えることに直接関係したに違いない。改めて新型コロナ第一波の抑え込みに尽力してくれた人たちに感謝したくなった。

怖いのは「原因不明」であること

当初、感染症の原因は不明のままだった。ネタバレになるけれど、松岡(妻夫木聡)は、それがアボン(架空の国)で起きた感染症であることを突き止める。コウモリから人間に感染したウイルスだったのだ。それが分かりワクチンを作り始めるまでは現場は大混乱状態だ。しかし、一度、原因が分かれば解決策は見えてくる。

新型コロナの場合も同じだ。これまで見てきた番組の中でも非常に有用だった情報が、新型コロナがどのように感染するかを「可視化」したものだ。

これを見れば、三密を避けるクラスター対策や、マスクの着用、換気などがどれほど大切かが分かる。そして、それさえ分かれば新型コロナを必要以上に恐れることはないのだ。例えば、旅行や移動などは、それ自体の感染リスクが高いものではない。しかし、一緒に向かい合って飲食をしたり、カラオケなど飛沫が舞う換気しない空間にいるのはNGだ。原因が分かれば予防ができるわけだ。

ウイルスと共生すること

劇中では、感染症・ウイルスの専門家が「ウイルスはそんなに悪いものだろうか。ウイルスと共生する方法はないものだろうか」と語る。まさに、ウィズコロナだ。今から10年以上前に、この言葉を言わせているのはすごい。結局のところ、ワクチンができるのだってまだ先の話だ。ウイルスも人間も自然の一部であるわけだから、共生していけるなら、それが穏健だ。

この映画のウイルス「ブレイム」は、目や鼻から出血するわ、血を吐くわ、死亡率が高い恐ろしいウイルスだ。こんなものと共生はできないけど。新型コロナとは、今のところ一緒にいるしかない状態だ。経済を回すこととか、感染を防ぐこととか、色々な立場があるので偏った意見を聞いているとどうしてよいか分からないけど、正しい知識を得たうえで、対策をしっかり講じれば新型コロナそのものは、恐れすぎることはないのではないかと思う。

感想まとめ

食事をしながら見るような映画ではなかった。血を吐いて痙攣する患者の姿を見ていると、さすがに、どんよりした。レビューで言われているように、リアリティの無さ過ぎる脚本とか構成とか、そういうのはアレだけど、総じて見て損はない映画だった。
それにしても、海外の死亡率と医療崩壊を見ると、まさにこの映画さながらだろうから、日本の現状とは緊張感が違う。しかし、ヨーロッパなどからのウイルスが逆輸入されてきた時に、日本でも同じような状況が生じる可能性は大いにある。今のままの緊張感では危険だ。

感染予防をしっかりしましょう(しないと大変なことになるよ)という啓蒙には抜群のインパクトがあるはずだ。

今、見たいなと思っているのは、このドラマだ。
アウトブレイク 感染拡大(字幕版)

なんと、2019年年末までに作られているのだが、新型コロナの流行を予言しているようなドラマなのだ。(正直なところ、感染症ものの映画はもうしばらく見たくない・・苦笑)



大人のADHDグレーゾーンの片隅でひっそりと生活しています。メンタルを強くするために、睡眠至上主義・糖質制限プロテイン生活で生きています。プチkindle作家です(出品一覧:https://amzn.to/3oOl8tq