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プロコーチになりたければWワークをしなさい。

今日もちょっとWワークの話をしたいと思う。

タイトル通り、コーチングでプロになりたい人は
Wワークをやるべきだと思っている。

なぜか?
前にも言ったけど、

  • 安定収入があること

  • 所属があること、

  • コモンセンスを失わないこと

この3つのメリットがある。

でも最大のメリットはこれ以外にある。
それは

その分野の専門的な知識をゲットしやすい

ということだ。

コーチングを学ぶと当然コーチ仲間ができる。
スクールの同期や先輩後輩などだ。

このコミュニティは確かに心地よい。
なぜなら「コーチング」という
共通言語を持っているからだ。

しかも基本的に相手を動機づけるのが
コーチングの目的だったりするので
基本的にダメ出しされることがない。

そう。このコミュニティに居る限り
コーチングに対するモチベーションは
簡単には下がらないだろう。

だがしかし、このコミュニティにも
問題点は存在する。

コーチング以外の情報が入りにくいことと
すべての情報をコーチングというフィルターで
見てしまいがちになるということだ。

少し例を出してみよう。

あなたがコーチングを学んで、
これからプロとして生きていくことを
決心したとする。

幸いあなたの周りには同期もいるし、
スクールの先輩たちもいる。
この人たちとはいつでもZOOMで
つながることができるし、
会おうと思えば会える人がいる。

あなたは就活生を応援することにした。
幸い、一人の女性が依頼をしてくれた。

彼女は20歳。アルバイトしている。
本当は大学に進学したかったのだが、
経済的な理由で行くことができなかった。

そこで学費をある程度ためてから
再チャレンジを決意し、アルバイトを始めた。

アルバイトは楽しいし、時給も悪くない。
店長からは「正社員にならないか?」とも言われた。

でも自分としては、もっと違う仕事がしたいし
大学も諦めているわけではない。

でもここで彼女には大きな問題があることがわかった。

家族の問題だ。
彼女の両親は早くに離婚をし、
彼女は母親と4つ下の弟の3人で生活をしてきた。
3人の生活は決して楽ではなかったが、
それでも大学進学の可能性はあった。
母もそれを望んでいた。

しかし、高校3年の夏に事態は急変する。
母親が倒れたのだ。
過労により、自律神経系に異常をきたしたのだ。

それ以来、母親は寝たり起きたりの生活になる。
収入も不安定になった。
フルタイムで勤めていた会社も退職した。

そこで彼女がアルバイトで家計を支えながら
自分の学費をためることになったのだ。

母親は少しずつ元気になっている気がした。
ところが弟が引きこもりになった。
入学した高校になじめず不登校になったのだ。
もう高1の5月から学校に行っていない。
このままでは2年生になれないので、
退学となってしまう。

母はその様子を見て、なんとかサポートしようとした。
でもうまくいかない。暴言を吐かれるようになった。
そしてやがて母のメンタルがおかしくなる。
診断の結果「初期のうつ病」だった。

つまり整理するとこうだ。

彼女はアルバイトをしているが、
正社員として働きたいと思い
コーチングを希望してきた。

でもその裏で進学もあきらめきれていない。

ただ、家庭の事情が大変でありそれも気になる。

自分でわかっていることは、自分がしっかりして
家族を支えないといけないということである。


ざーっとこれだけの情報がある。
実際にはもっと細部にいくので
かなりの情報量になるだろう。


さて、この彼女をどうコーチングするのか?

単にモチベーションを高めて、
自分が「本当にやりたいこと」を見つけて
そこに向かうサポートをすればいいのか?

おそらくはそうはならない。
なぜなら、彼女には夢や希望があるが
同時に生活があるからだ。

このケースの場合、家族の問題は
切り離して考えないといけない。

となると、テーマは更に増える。

1.彼女の就職のこと
2.彼女の進学のこと
3.彼女のアルバイトのこと
4.弟のこと
5.母親の病気のこと
6.家庭の経済状況のこと

そして少し考えたらわかるように
4~6がある程度クリアにならないと
彼女自身のテーマには進めない。

こういう複合的な問題を抱えたとき、
コーチだけの知識ではどうにもならない。
コーチングのコミュニティでも
すべてを網羅することは難しいだろう。

ましてやコーチのフィルターがかかっていたら
彼女を元気づけて、その彼女が
弟を自立させて、
母の病気を治す
なんてことにもなりかねない。

普通に考えて無理だ。
きっと他の専門家の力を借りる必要があるし、
もっと現実的な問題を解決する必要もある。

でもコーチングだけしかやってないと
こういった知識や情報は得られない。

だからWワークをすすめている。
なぜなら、Wワークをしている職場には
こうした実際問題に直面している人たちが
必ずいるからだ。
起業なら、総務や人事に聞けば
教えてくれることもたくさんある。

私の場合、行政にいるので
行政的なサービスや、福祉のことはわかるし
医療のこと、学校のこと、司法のことも
情報としては入手できる立場にある。

これは実際にコーチングをする際に
とても役に立っている。

コーチ業だけやっているのでは
これだけの範囲の人たちと
会う機会はないと思う。

今回挙げた例は、レアケースかもしれない。
でもこれに近い相談は結構な数受けたことがあるし、
もっとヘヴィなケースもある。

大事なのは、クライアントの
表面的な望みをかなえるのではなく、
その人の生活が成り立つことであり
その上で夢を叶えることだ。

そしてこの感覚を失わないためにも
Wワークはやっておく方がいい。


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