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ギャンブル依存症:あなたも陥る可能性がある精神的なトラップ

こんにちは。メンタルウェルネスあおぞらです。

最近、メジャーリーグでギャンブル依存症についてのニュースをよく見ます。多くの人々がギャンブルを単なる娯楽と見なしていますが、一部の人々にとっては、これが深刻な依存症へと発展することがあります。ギャンブル依存症は、個人の生活に甚大な影響を与える精神疾患です。本記事では、依存症がどのようにして発生するのか、その社会的影響と効果的な治療法を、科学的研究を基に詳しく解説します。

目次:


1. ギャンブル依存症の定義と診断

ギャンブル依存症は、個人がギャンブル行動をコントロールできず、日常生活に重大な支障をきたす心の状態です。DSM-5では、「ギャンブル障害」(表1)としてこの状態を分類し、コントロールの喪失や増加する賭け金、ギャンブルに熱中していることを隠そうとうそをつく、などが診断基準に含まれます。これらの症状が12ヶ月間にわたって見られる場合、診断されることが一般的です。

2. 依存症の生物学的根拠と社会的影響

依存症は、脳の報酬系におけるドーパミン放出の過剰により引き起こされると言われています。神経科学の研究によると、ギャンブルによる勝利体験が脳内で快感として記録され、繰り返し行動を促します。悪いことだと頭で分かっていても行動を止めることができなくなるのです。これにより、家庭や職場での問題、さらには犯罪に至ることもあります。また、うつ病や不安障害といった精神的健康問題も引き起こされることがあります。

3. 治療法と社会的支援の詳細

ギャンブル依存症の治療には、認知行動療法(CBT)がて多くの効果を示しています。以下はその主な効果です:

  1. ギャンブルの行動の減少: CBTはギャンブル行為を減らすことが報告されています。具体的には、治療を受けた参加者は治療前に比べてギャンブルの頻度や金額が大幅に減少しました。この治療は継続して効果があることが示されており、短期間だけでなく、長期間にわたっても効果が持続します。(Jiménez-Murcia et al., 2007)

  2. 認知の修正: CBTは誤ったギャンブルに関する認識や思考の修正を助けます。これには、ギャンブルの結果に対する非現実的な期待や自己制御の認識を含みます。治療を受けた多くの患者が、治療前に比べて制御感を高め、ギャンブルへの衝動を減少させました。(Garcia-Caballero et al., 2018)

  3. 生活の質の向上: CBTはギャンブルによる問題を減少させるだけでなく、患者の生活の質や日常生活の機能を向上させる効果があります。これには、不安、抑うつ、その他の心理的ストレスの軽減が含まれます。(Petry et al., 2006)


薬物治療としては、ドーパミン系の調整を助ける薬剤が用いられることがあります。(Kraus, Etuk, & Potenza, 2020)
また、ギャンブラーズ・アノニマスのような自助グループも支援として重要な役割を果たします。その他にも経済的な問題を整理する、家族関係を修復する、ストレスの対処への代替方法を身につけるなど様々なアプローチを行うこともあります。

4.まとめ

 ギャンブル依存症は一人で解決することが難しい問題ですが、科学的な理解と継続的なサポートにより、多くの人が新たな一歩を踏み出しています。依存症は決して心が弱い人がなるものではありません。脳の仕組みがそのような行動を引き起こすように学習し常態化してしまう病気です。ギャンブルに限らず、薬物依存、アルコール依存、スマホ依存、買い物依存、異性への依存などさまざまな依存症があり、誰でもなりうる病気です。
ストレスは依存症の大きな引き金となります。リラクゼーション技術、運動、趣味などを通じて効果的にストレスを管理する方法を学ぶことが重要です。自分自身のストレスを早めに察知し、適切な対処方法をとることが予防の第一歩となるのです。

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