パリ五輪への道: 渡邊雄太選手の挑戦と決意

笠原彰　とちぎスポーツ医科学センター協力心理相談員　プロメンタルコーチ　作新学院大学教授

2023年9月7日 16:42

バスケットボール日本代表のエース、渡邊雄太選手は、9月6日に自身のTwitterを更新し、国際試合での10連敗を背景に「このチームでパリ五輪に進出できない場合、国際代表としての活動を終えよう」という前回の発言について、その真意を明らかにしました。

渡邊選手の言及によれば、このような発言をすることの必要性を感じたのは、自身が困難な状況に直面した際、それを乗り越える力を発揮してきた経験からでした。彼は大学2年生の時に参加したオリンピック予選で2連敗、その後2019年のワールドカップで5連敗、2021年のオリンピックでも3連敗と、世界の舞台での連敗が続き、これに大いに心を痛めていました。

彼は、日本のバスケットボール界が進歩を遂げるためには勝利が不可欠だと考えており、もし再度敗北してしまうと、それは自身の責任と感じ、新世代を中心としたチーム構築を早めるべきだとの結論に達しました。他の国々で世代交代の困難さを目の当たりにしてきた彼は、自らがその原因となることを極力避けるべきだと痛感していました。

さらに、渡邊選手は自らの“引退宣言”をした後、多くのファンやチームメイトからのサポートやエールに感謝し、それが彼をさらに奮起させ、ついには世界の舞台での勝利を手にすることができました。その喜びを、ファンに向けてのメッセージで伝えています。

また、彼は大会期間中の8月28日にも、自身の足の状態に対する心配に対して、適切な検査を受けており、重傷ではないことを強調。また、彼がプレーを続ける判断は、トレーナーや医師の意見も基にしているとのことです。

そして、パリ五輪出場を果たした際には、自身の発言に対する不安を率直に打ち明け、ファンのサポートに感謝の意を表しました。

このエピソードから、渡邊選手が自らに厳しく、しかし常に前向きな考えを持ち続けていることが伝わります。彼の真摯な態度は、多くの人々に感銘を与え、共感の声が集まっています。

笠原彰心理学的分析:
渡邊選手の発言や行動は、彼の高い自己認識と責任感を示しています。彼は自身の弱点や失敗を受け入れる一方で、それを乗り越えるための戦略を持っています。このような特質は、高いレベルでのスポーツ選手にしばしば見られるもので、彼らは困難な状況に直面したとき、そのストレスを乗り越えるレジリエンス（回復力）を持っています。また、渡邊選手は公然と自らの弱点を認めることで、ファンやチームメイトとのコミュニケーションを深め、更なるサポートを受け取ることができています。このような開かれた態度は、他者との深いつながりを築くことができる重要な要素となります。

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