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フィードバックする時に気をつけていること

シナリオライターとしてしばらく働くなかで
フィードバックをする、されるどちらも経験した。
今年の頭くらいにPJを異動、現在は新規PJで働いているのだが、
それまではクオリティチェックする立場だったので
どちらかというとフィードバックするほうが多かった。
ここで、フィードバックする際に気をつけていたことをまとめた。

意識することは大きく2点だ。
・相手に投げっぱなしのコミュニケーションを取らない
・ポジティブな表現を心がけて相手の書いた作品に敬意を払う

具体的な方法を紹介しよう。

◆まずは褒める

どんな小さなことでもいい。「ここのセリフがいい」
「このシーンはキャラクターがよく動いている」などなど。
内容で褒めるところが見つからなければ、
「納期をきちんと守っている」など、どんなことでもいい。
出してもらったものをしっかり読んだことを伝える意味もあるし、
FBされる側が楽しく二稿が書けるように心がけた。

◆書いた本人の意思をきちんと確認する

クオリティが厳しいものだとしても、
書いた側には絶対にこのような内容にした意図があるはずだ。
こちら側の「ここはこうしたほうがいい」ばかりを伝えるのではなく、
「どういうシーンにしたい?」「なぜこうした?」
「自分はこう思ったが、あなたはどう書きたい?」などを引き出して
方向性をすり合わせていく。
FBする側として、クオリティを担保しなければならないが、
それは相手の意思をシカトすることではない。
できる限り互いが納得できる形をとることで
書いた本人も作品への責任感がより強まり、モチベーション高く修正作業に
入れるのではないかと考えた。

◆「こうすればもっとよくなる」という伝え方

今のものがダメだから直せ、ではなくて
「こうすればもっとよくなる」という言い方をする。
できるだけ相手の書いたものを否定しない、書いたものを
受け止めたうえで「もっとよくなる方法を考えよう」という方向性で
すり合わせを行う。ネガティブはダメ、絶対。

◆文面、口頭どちらでもFBする

文面だけでは細かいニュアンスが伝わらなかったり、
どれだけ書き方を気をつけても冷たい印象になってしまう。
なので、まず文面でFBし、チェックしたものを返す際に
「FBの内容を読んだら声かけてください」と促していた。
時間は2倍かかるが、早い段階できちんとすり合わせしたほうが
結果的に仕上がる時間は短縮できる。

◆文面もまろやかに。内容は具体的に

文面でFBする際はできるだけまろやかな文面を心がけた。
また、指摘の際は必ず代替案を出した。

悪い例)
このシーン、キャラクターのセリフが説明的すぎる
良い例)
このシーン、キャラクターのセリフが説明的すぎかもです。
「○○である」ということは言わずとも状況は伝わると思いますので
例えば「〜〜〜」というセリフはどうでしょう?

…的な。
ダメ出しを食らって「じゃあどうしたらいいんだよ(怒)」と
自分がよく感じていたので、絶対に代替案は出すようにしている。
浮かばない時は「ちょっと今代替案が浮かばないので、
口頭で相談しましょう」とか。とにかく、
「フィードバックは相手に投げっぱなしにしない」ことが大切だ。
もちろん、先述した通り代替案は出すがそのとおりにする必要はない。
口頭できちんとすり合わせた上でどうするかを決める。最後には担当者を信頼して任せることもとても大切だ。

よく「じゃあどうすればいいんですか?」と聞くと
「自分で考えろ」とか投げ返す人がいるが、
自分の考えも言わずに相手にそれを要求するのは違う。
「考える」にはヒントが必要だ。そのヒントを提示したり、
一緒に考える方向性を探すのがフィードバックする側の使命だと思う。

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どれも当たり前のことかもしれないが、
気をつけないと案外できないものだ。
私もはじめのうちはネガティブなFBをしていたと思う。
意識するようになったのは佐藤大さんのトークセッションを聞いてから。
「まず褒める」は彼が話していたことだ。

時間がなかったり、あまりにも厳しいクオリティだとどうしても
ネガティブが強くなったり、投げっぱなしになってしまいがち。
FBはする側もされる側もどうしてもストレスを感じる作業だ。
だからこそ丁寧に取り組みたい。

…とここまで書いたが私は本当に人に指摘することが苦手だ。
自分だってできてないのに。とか、相手が嫌な気持ちになったらどうしよう、とか。FBのたび毎度気を重くしていたのが実のところだったりする。

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